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LIFE STYLE移住者の暮らし

移住でつかんだ好きなことを続けられる道

吉田 真理さん

PROFILE
吉田 真理さん

吉田 真理さん

埼玉県出身。2016年6月に埼玉県から山形県小国町に移住。2020年4月に山形県南陽市に移住。

  • 移住時の年代:20代
  • 家族構成:単身
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:アーティスト

山形のアトリエで始めた新しい生活

大好きな花の絵や自然あふれる風景画……。カラフルな油絵やイラストがアトリエの壁をにぎやかに飾る。山形県南部の南陽市。アーティストの吉田真理さんは2020年4月から、ここで新しい活動を始めた。

「山形新幹線も止まるJR赤湯駅から徒歩7分の場所でアパートを借り、以前よりも便利になった暮らしを満喫しています」と吉田さんは笑う。それまで、同県小国町で4年近く過ごした。東京から山形新幹線で約2時間かけて米沢駅まで行き、さらにJR米坂線に乗り換えて約1時間半、列車に揺られると小国駅に着く。最も近いコンビニまで車で約30分、日本有数の豪雪地帯。それに比べると、南陽市は自然もありつつ、ほどよく便利なちょうどよいバランスの街なのだ。

カラフルな油絵

アトリエは、同じ建物に入っているデザイン事務所から借りている。ここで作品を展示販売したり、隣接する神社に頼まれて御朱印の挿絵のイラストを描いたりして、生計を立てている。「たくさんのご縁でお仕事をいただけているので、本当にありがたいです。大好きな絵を描くことで暮らしが成り立っていて、移住によって充実した生活を送ることができているので嬉しいです」

日本有数の豪雪地帯に単身、Iターン

生まれ育った埼玉県上尾市から小国町に引っ越したのは2016年6月。
しかし、なぜ?

高校生の時に山形と最初の縁ができた。美術コースのある埼玉県内の高校に進学し、1年生の夏、山形市にある東北芸術工科大学で夏合宿。キャンパスに近い蔵王山など、豊かな自然に囲まれながら絵を描くうちに「ここで創作を続けたい」と思うようになり、同大へ進学した。ゆったりとした生活ペースで創作を続け、充実した大学生活を送っていた。

それが大学を卒業すると、生活ががらりと変わった。15年4月、創作を続けながら、東京都内の寝具メーカーに総合職として就職。商品部で仕入れなどを担当していたが、埼玉の実家から片道1時間以上かけて満員電車で通勤する日々が想像以上につらかった。

「ストレス性の難聴になってしまい、自然に触れる機会も減って絵を描こうと思っても、描きたいことが頭に浮かんでこなくなってしまいました」

制作中の吉田さん

そんなとき、母校の大学の卒業生が小国町の依頼を受けて、アートを通した地域振興の活動に関わっていることを知った。「studioこぐま」というプロジェクト。町立の小中学校の校舎跡地を利用して、様々な芸術文化関連のワークショップやアートイベントを開く。

ちょうど、新メンバーの募集を行っていた。都会での慣れない生活で無理していることを吉田さん自身がよく分かっていたので、16年5月に勤め先を退職し、山形に移住することを決めた。

地方で暮らすためのきっかけをつくる

「studioこぐま」での仕事は、旧校舎を活用するため、創作ワークショップを企画したり、地域に入り込みたい学生をアテンドしたり、地域に根差した活動を行った。大学で学んだことを活かせる仕事ばかりで、ワクワクしながら仕事に励んだ。

女性で単身の移住。不安はなかったのだろうか? 「私の場合、都会の生活にストレスをためていたという事情もあるので、生活を変える手段として移住することが必要だったのかもしれません」。さらにデザイナーやカメラマンなどフリーで活動している母校の卒業生も多く、そのつながりで仕事をいただけるという点でも恵まれていたという。 また、創作の面でも四季がはっきりとしていて自然の多い山形では、創作のテーマが次々と浮かぶようになったという。

「私は性格的に移住が合っていたのかもしれません」と吉田さんは話す。都会にはない地域の温かさを感じるという。さらにITの発達で、どこにいてもオンラインで打ち合わせができ、イラストの納品などもデジタルで瞬時に行うことができるようになった。

油絵たち

吉田さんは、移住を考えている人、特に女性に、その魅力を強調しながら、スムーズに移住するためのアドバイスもしている。「いきなり地域に飛び込むのではなく、どういう町で、どういう人たちが暮らしているのかを事前にきちんと理解しておいた方がいい」。吉田さんの場合、「こぐま」という拠点があったことが、現地の実情を知るための大きな助けになった。

「移住によって、地域からさまざまな力をもらっています。 これからはアートをもっと身近に感じてもらえるように、アトリエでいろいろな人と交流していきたいです。ただコロナ禍ということもあるので、ネットでも絵を見たり買ったりできるように整備していこうと思っています。好きなことで身の丈にあった暮らしを紡いでいく。楽しいことも辛いこともありますが、この暮らしができて幸せです。こんな生き方もあるよと伝えていけたらと思っています。 」

制作中の吉田さん
photo kazue shibuya

(2020年9月17日取材)

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