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事例 自治体

官民連携の三好モデル! 「地方創生テレワーク」で、都市部企業で活躍する人材との関係人口を創出する

今年から都市部企業との2つの大きなプロジェクトが始まり、テレワークを駆使して企業人材との関係人口創出を行っている徳島県三好市。官民両方の視点で、三好市役所地方創生推進課の藤原さんと、一般社団法人三好みらい創造推進協議会代表理事の丸浦さんにお話を伺いました。

藤原 晃さん

徳島県三好市役所
三好市 企画財政部
地方創生推進課
主任主査

地域

徳島県三好市

丸浦 世造さん 

(一社)三好みらい創造推進協議会
代表理事

地域

徳島県三好市

地方創生テレワークのきっかけ

移住施策から「産業の担い手」となる、都市部企業の人材との関係人口づくりへ!

藤原さん:三好市はこれまで人口減少対策として移住支援に力を入れていましたが、実際に移住はハードルが高いと感じていました。その中で「関係人口」という言葉が出てきて、私たちはこれを「地域課題の解決につながるような産業に貢献する担い手」と定義しました。移住だけでなく、Uターンやこの地域を出ていく予定の人が留まるような人口流出の抑制等も対象にしながら、テレワークを活用しながら三好市で産業を成長させることができる人材を増やす方向に事業領域を拡大しました。 また、当時「地方消滅」という言葉が全国で騒がれて、三好市が「消滅都市」の一例としてテレビに映った影響もあり、行政だけでなく民間にも危機意識が広がりました。そこで「官民一緒にやっていかないといけない」と、丸浦さんたちの地域再生推進法人が立ち上がりました。その当時から三好市は「官だけでは限界がある、民だけがやるのも難しい、だから双方の良いところを活かしながら一緒にできれば」という考え方を持っていました。

徳島県三好市地域交流拠点施設「真鍋屋」築100年以上の旧真鍋家の商家

取組内容

民間主導で、都市部企業で活躍する人材を集める3つの型を取り入れた三好モデルをスタート

藤原さん:2015年頃から移住支援を目的としたハードの施策が始まり、実際に2018年と2019年にそれぞれ2つの地域交流の拠点施設をオープンしました。1つはまちの中の人と外の人が交流する場として、築100年の古民家を改修した「真鍋屋」。もう1つは子育て支援や生涯学習など地域住民を含め、移住後の活動拠点としても利用できる施設です。「真鍋屋」は地域の方と交流をして移住につなげていくというコンセプトで運営していて、そのための滞在拠点として「お試し住宅」を設置し、生活を体験するため滞在してもらう時間を増やしました。 ただ、「交流」といっても単発のイベントだけでは三好市に興味を持ってもらうのは難しいため、さらに関係性をつくる施策が必要でした。そこでワーケーションやテレワークを切り口に、市内の廃校を利用した「ウマバ・スクールコテージ」を今年オープンしました。その他にも住宅オフィスの整備、アクティビティ面では自然豊かな特徴を生かして、吉野川のウォータースポーツ体験を組み合わせた企業研修プログラムの確立等を行っています。

丸浦さん:ワーケーションが和歌山県白浜等で始まった時は、リゾート地がワーケーションのメインになるのかと思いましたが、実際に企業の声を聞くと、「ワーク」ができる環境を重視していることがわかりました。そこで、ワークを中心として、都市部で活躍する人材を集めるのが三好モデルだと3つの方向性を決めました。 1つ目は同じ徳島の神山町のようなサテライトオフィス型で、都市部の企業が地域に拠点を持ちテレワークで仕事をつくること。2つ目は人材開発研修型で、都市部では得られない体験を地域で行うこと。例えば地域の課題解決を、都市部の企業人材と地域の企業、市民や高校生と一緒に考えるプログラムです。実際に今年12月から都市部企業による人材開発プログラムが本格開始します。三好市をフィールドにして四国の企業も入って、3週間単位のプログラムを今年度実施する予定です。そして3つ目は、都市部企業の新規事業等の実証実験型です。この実証実験を行うためには、その地域の官民両方が応援しないと成り立ちませんが、三好市は地域全体で応援する土台ができていました。実際に、都市部企業と「脱炭素社会」と環境配慮型のワーケーションの共創プロジェクトが開始しました。このプロジェクトは現在、複数の都市部企業や四国の企業が参加し取り組んでいますが、回を重ねるごとに参画する企業もどんどん増えています。

四国のへそと呼ばれる三好市。築70年の日本家屋で宿泊とお食事が出来るheso camp

取り組みの結果

丸浦さん:地域交流拠点の「真鍋屋」は、初年度の利用者が約1.8万人でした。その後、廃校を活用した研修施設兼サテライトオフィスの開設に広がり、そこから都市部企業との2つの共創プロジェクトが立ち上がり、さらに新しい地域再生推進法人も立ち上がって関係人口創出の成果が少しずつ出てきました。 藤原さん:この数年で官民一緒に取り組んでいくんだという機運を醸成することができ、実際にプロジェクトも始まり、やっとスタートラインに立てたと思います。民を主導にして行政がバックアップする体制にしたことで、丸浦さんたち民間が自分ごとになってプロジェクトが推進されたと感じています。

廃校を活用した「ウマバ・スクールコテージ」の体育館にて。丸浦さんと市役所の皆さんと共に。

今後の展開

丸浦さん:来年度にはリモートワークに対応した宿泊施設が8戸できる予定で、新たな企業との出会いを期待しています。現在行っているプロジェクトがさらに広がる、新しいプロジェクトが生まれる。三好モデルで関係人口を増やしていきたいと思います。 藤原さん:市としてはプロジェクトの支援に加えて移住支援の窓口設置や廃校施設の貸し出し等の取り組みを行い、より三好市に根付いてもらうような動きを考えています。まずは現在行っていることを全体的に底上げしていきたいと思います。

(取材日:2021年8月19日)

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