この建物は、吉井の重厚な町並みのなかでも、現存する唯一の屋敷型建造物です。（屋敷型建造物とは家屋の周囲を庭園、土蔵、塀で囲んだものです）吉井は精蝋、酒造、菜種の製油など農産物の加工品を製造、販売することによて莫大な富を得ました。また、有馬藩の城下町久留米と天領日田を結ぶ豊後街道の宿場町として大いににぎわいました。そこで商家や地主は競って富を誇示するような豪勢な建築を建てるようになりました。この建物の正面部分は文久3年（1863）に建てられ、その後、背面の座敷や2階の増築は明治26年（1893）に建てられました。なお、この建物は、平成3年の台風被害がひどく、取り壊されることになっていましたが、旧吉井町が町並み保存に取り組んでいることに理解をいただき、佐賀市在住の所有者、籠田氏により、町に寄付をいただきました。