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平成19年度 構造改革特別区域推進本部 評価・調査委員会
地域活性化部会(第4回)議事概要


1.日時平成19年12月11日(火)10:00〜12:00
2.場所地域活性化統合事務局 7階会議室
3.出席者(委員)樫谷委員長、黒川委員、島本委員、藻谷委員、山根委員、米田委員、西山専門委員
  (規制所管省庁)法務省入国管理局入国管理企画室 坂本入国管理企画官、石岡審査指導官、藤田補佐官、中園係長
  (事務局)内閣官房地域活性化統合事務局 上西事務局長代理、黒岩次長、石田参事官、岩片参事官、松本参事官、石川補佐、西森補佐
4.主な議事経過
 (1)事務局より、平成19年度の全国展開に関する評価、関連する規制の評価について、評価・調査委員会が行った調査の結果、規制所管省庁が行った調査結果の説明がなされ、その後、特例事業ごとに委員から意見が開陳された。
 (2)506については、規制所管省庁に対するヒアリングが行われた。
(1)に関する説明の要旨、主な意見は、以下のとおり。
➢ฺ 「104 公共交通利用促進事業」
<事務局説明(要点)>
  • 特区申請は2件あり、岐阜県岐阜市では、協議会は開催したものの具体的な交通規制は行われていない状況である。協議会での合意はなされたが、民間バス会社のバス路線網の再編成がまだなされていないことが原因であり、諸条件が整い次第、交通規制を行うとのことであった。
  • 神戸市は、まだ協議会が立ち上がっていない。
  • 警察庁の調査結果もほぼ同様の内容であった。
  • 今回、全国展開に向けた結論を導くのは難しいのではないか。
その後、意見交換が行われた。主な発言は以下の通り。
  • 今後の見通しはどうか。
  • 岐阜市は実現に向けた努力はするが、今すぐというわけではない。神戸市に関しては、住民との調整が終わっていない状況である。まだしばらく状況をみる必要がある。(事務局)
  • 実現を待ち、その後に評価をする以外にないか。
  • 公共インフラの利害調整は、規制緩和になじまないと考えている。本提案は、どこが主導的な役割を果たしたのか。
  • 元々は岐阜市が主体的に動いている。バス路線の利便性を向上させることが目的である。そこで交通規制との兼ね合いがあり、警察との調整が難航した。規制を撤廃するという意味合いとは異なり、新しい枠組みを作るという点がポイントであった。(事務局)
  • 5回の協議会で、何を実施したのか。
  • 協議会で実施すべき話し合いは終わった。実現のためには路線網の再編が必要である。(事務局)
  • バス路線の再編は民間会社が実施するのか。
  • そうだ。現在進んでいる。(事務局)
  • 神戸市において、協議会の合意が得られていないとは、どういう理由によるものか。
  • 具体的には、六甲地区が対象であり、観光地域であるため、パークアンドライドで活性化したいという目的があった。一方で、旅館は無料送迎バスでお客を送迎しており、そこはバスだけでみれば競合している。旅館にとって、無料送迎バスをやめるのはサービスダウンになるため懸念しているようだ。(事務局)
  • 住民の日常生活というよりも、旅館のサービスに差し障りがあるということか。
➢ฺ 「1205 重量物輸送効率化事業」
<事務局説明(要点)>
  • 特区申請は3件であり、茨城県・栃木県は、計画策定時は重量物輸送を想定していたが、実際は製品(建設機械)の自走で対応した。日向市は、企業誘致が進まず、想定していた事業者が車両導入をしなかった。北海道では、過去には66回走行しているが、平成19年度は1回も走行していない。
  • 国土交通省でも昨年度と同様に、現時点での判断はデータが不足しているということだった。
  • 新たに岩手県釜石市で特区申請の動きがある。今後、釜石市の事業が開始されれば、データが蓄積されると考えている。
その後、意見交換が行われた。主な発言は以下の通り。
  • 今回新たな申請もあり、この状況を持って判断するということだが、タイミングはいつ頃になりそうか。
  • スタート時期は関係機関と調整中で決まっていない。(事務局)
  • 釜石市の特区計画における想定ルートをみると、橋を通っている。この橋は大丈夫なのか。
  • 大丈夫である。橋は新日鐵の敷地内の橋であり、特区とは関係ない。(事務局)
➢ฺ 「707 特定農業者による濁酒の製造事業」
<事務局説明(要点)>
  • 本特例については、現地視察(雫石)にも行ってきたところである。
  • 規制所管省庁から具体的にヒアリングを行いたい。12月25日に集中的にヒアリングを行いたいと考えている。
  • 特区申請は77件であり、進捗段階としては、現在特定事業を実施中の特区が58%である。様々な効果が発現しているようだ。
  • 予定より遅れている理由として、事務手続きがに難しいといわれている。ヒアリングでも、事務手続きや申請手続きがあまりに煩雑なため、新たな参入は難しいとのことであった。
その後、意見交換が行われた。主な発言は以下の通り。
  • 25日のヒアリングでは誰が来るのか。
  • 財務省の担当者である。主に財務省の規制関係が厳しいという声が多いので、それを中心に聞きたい(事務局)
  • 保健所の問題もあるようだが。
  • ヒアリングでも、保健所がネックになっているということは聞かれなかった。ポイントは財務省の関係だと感じている。(事務局)
  • 財務省は手続きを簡素化していると言っているが、現場はそうでもないようだ。具体的になにが問題なのか、具体例を示しながら聞いていきたい。
(2)に関する説明の要旨、主な意見は、以下のとおり。
➢ฺ 「506 外国人研修生受入れによる人材育成促進事業」
<事務局説明(要点)>
  • 特定事業の内容は、中小企業等が外国人研修生の受入機関となる場合の要件である、受入人数枠を3人から6人に拡大するというもの。
  • 特区として4件実現している。具体的な効果として、地域での国際交流、生産性向上等が生じている。
  • 規制所管省庁側は様々な弊害が出ているとしているため、規制所管省庁へのヒアリングを行いたい。
<規制所管省庁説明(要点)>
−外国人研修・技能実習制度の概要と論点
  • 同制度は、発展途上国の人に日本で技術、技能等を習得してもらい、母国の発展に寄与する人材を育成することを目的に国際協力・貢献として推進するものである。
  • 実務研修がある場合は事実上の就労にならないよう、企業単独型、団体管理型別に研修生要件を設定している。なお、研修生、実習生には法的保護に差があり、技能実習生は「特定活動」の資格で労働者として扱われ、入管法令と労働法令に基づき保護されるが、研修生は「研修」の在留資格で就労は認められず労働性はなく、入管法令で保護される。研修手当の水準については、本国の派遣元企業から給料をもらっているはずだとの考えもあり、あくまで報酬ではなく日本での研修期間の生活実費の弁償という位置づけだが、実際問題として報酬となってしまう恐れがある。
  • 特区の特例措置は、そもそも特例である団体管理型研修についての特例であるため、3つの要件を設けている。
−規制所管省庁による調査結果
  • 全国展開に関する評価は平成16、17、18年度に次ぎ4回目となるが、毎年度、一部特区で研修生の失踪などの不適正な事例が発見されている。当省では毎年、調査で弊害が認められた受入機関を適用から除外するとともに、不適正事例の予防措置や受入機関の運用状況の確認、他の関係機関との連絡・連携体制の構築など、特例措置の適正実施を求める事務連絡を地方公共団体に発出し必要な注意喚起を行ってきた。だが、本年も一部特区で不適正事例が発生している。
  • 弊害の発生原因の特定は難しいが、これまで問題のなかったところが、特区の特例措置を利用するようになって不適正事例を発生させたのは事実である。また、直接の弊害ではないが、認定申請をしておきながら特例措置を利用していないケースもある。
  • 平成19年度は、従来調査とは別に、過去に不適正事例が発生した特区の地方公共団体2カ所に対し、特例措置の適用状況について報告を求めた。その結果、問題の発生要因として受入機関において特例措置の内容や制度の趣旨について理解が不足していること、実施体制としては兼任が多く他機関との連携が十分でないこと、自治体に受入機関を特定するのに必要な知識・方法等がないこと等が明らかとなった。
−制度の見直しについて
  • 規制改革推進のための3カ年計画でも見直すように言われている。実務研修中の法的保護、在留資格の整理、法令以外の規制の見直しの3点が決定されており、平成21年通常国会までに関係法案を提出することになっている。
  • 制度見直しについては関係省庁と協議していくが、当省としては制度の厳正運用を通じた適正化が重要と考えている。
その後、意見交換が行われた。主な発言は以下の通り。
<質疑応答>
  • 状況はよくわかったが、特例措置による弊害というよりは元々の研修・技能実習制度の問題のようだ。いまは特区を議論するよりも、元の制度を議論した上で、その中で特区を考えるべきというお話だとの理解でよいか。
  • 北海道の特区では問題は見られなかった。問題のあった愛媛の特区については、弊害の発生原因を特定するのは難しいが、過去に問題を起こしたことのない優良企業が特例措置の利用後に不適正事例を発生させたのは事実である。受入れ数に対する失踪者数の割合(研修生・実習生計)をみると、愛媛の特区を含む東予地域は1.23%で、全国平均1.48%よりは低いが、愛媛県全体の0.96%に比べれば高くなっている。(規制所管省庁)
  • 北海道では問題はなく愛媛では問題があったことについて、様々な要因が複雑に絡み一概には言えないが、地方公共団体の取り組みが大きいとは言えるだろう。それが全国展開で地方公共団体の関与がなくなれば、受け入れ枠が拡大することと相まって、問題の発生が増えると予想される。(規制所管省庁)
  • 国際協力・貢献という趣旨と、労働力としての期待という現実にギャップがあるのはわかるが、不正行為があるから特区は問題だとはならないのではないか。また、本年400件超の不正行為があったというが、その内訳はどのようか。また、失踪率1%は、かなり高いと見るべきなのか。何と比較すべきか。
  • 件数は現在進行形であり、内訳もあくまで現時点だが、最多は労働基準法、最低賃金法などの労働関係法令違反。次いで、申請とは別の企業等で研修を行っていたという、いわゆる名義貸しが多い。昨年の実績では、不適正事例229件中、名義貸しの74件が最多で、研修生の所定時間外作業の69件、研修実習計画と実際の相違46件が次いでいる。なお、件数は延べ数である。(規制所管省庁)
  • 失踪率について、法務省入国管理局では平成16年より不法滞在者(計画当時の推定約25万人)を5年間で半減させる計画を持っており、まだ約17万人残っていると見ている。入国時の在留資格が「研修生」の者は3,300人で、失踪者は不法残留につながるものと思われる。3,300人というのは累積なので、この1〜9月の失踪者が2,000人超というのは余程の人数と思う。(規制所管省庁)
  • 研修生は50人に1人くらいだというが、その他はどうか。
  • 17万人のうち半分弱が「短期滞在」の在留資格である。入国目的を偽っていたか、心変わりしたかは分からない。(規制所管省庁)
  • 不適正事例400件超や、不法滞在者17万人、あるいは失踪率の値をどう見るか。たとえば海外との比較など何かデータはあるか。
  • 諸外国とは制度が異なるため比較は難しい。米国やオーストラリアは単純労働力も含めて移民を受け入れるが、日本は専門的、技術的分野の労働者しか受け入れていない。(規制所管省庁)
  • 研修生より実習生の失踪率が高いのは、受入れ期間が1年に対し2年と長いためか。
  • 失踪者にヒアリングできているわけではないのでわからないが、実習生の場合、帰国間際に稼ぎ足りないと思って居残ることが考えられる。(規制所管省庁)
  • 研修・技能実習制度の本来の目的である「人づくり」を通じた国際協力について、帰国後に地域の技術が実際にどう活かされているか等を知りたい。
  • 評価・調査委員会による調査結果によれば、地方公共団体からの回答であるが、「より多くの技術習得者が派遣元国で学んだ技術を教えていることにより、元国の水産加工技術の向上に貢献している」、「帰国後、会社の班長やリーダーとなり、身につけた技術力と共に、日本の企業における職場管理や規律保持などの体験をもって本国の企業においてよい影響を与えている」、「人材育成や国際交流の促進に多大な貢献をしている」といった回答も得ている。(事務局)
  • 帰国後の状況について我々も十分調査できているわけではないが、たとえば縫製業について、帰国後に縫製業の仕事に就く人が結構おり、また、日本語を活かして通訳になったり現地日系企業に就職する人もいると聞いている。(規制所管省庁)
  • そうしたポジティブな効果をどう評価するのか。
  • まだ十分な材料を得ているわけではないので、今後、情報収集に努力し、事実関係を把握した上で、評価し、判断したい。(規制所管省庁)
  • 2点ある。1つ目は、平成21年に向けて法改正を議論しているとのことだが、どのあたりが規制緩和に向かっているか教えてほしい。特区の全国展開を超えて緩和される可能性もあるのではないか。2つ目は、北海道では問題がないが愛媛ではあったことについて、もしかしたら北海道は人がいないため受入地域で大事にされているのではないか。愛媛は都会であり、他に働き口もあることなども影響しているのではないか。
  • 法改正については政府内で議論している段階で、具体的なことは申しあげられない。ただ、現在問題になっていることの認識は一致している。一部で制度を低賃金労働として利用しようとするところがあり、結果的に研修生・実習生が被害を被っているが、こうした問題を解消する方向で法改正したい。実務研修中の法的保護などがあがっている。(規制所管省庁)
  • 人数の増加も検討課題にあがっているか。
  • これだけ問題があるので、制度見直し段階では難しいと少なくとも法務省では考えている。きちんと制度を作り、適正運用がなされてからだ。(規制所管省庁)
  • 平成21年の法改正に向けた議論で人数拡大が検討課題でないとすれば、会議後も、特区の人数枠拡大の要望は残るわけだ。
  • いまは検討中であり、詳しくは申し上げられない。(規制所管省庁)
  • 先ほどの米田委員のご発言に関して、北海道で不適正事例が見つかっていないのは、過疎地での活用だからというよりは、地方自治体による管理が十分なされているからだと考えている。(規制所管省庁)
  • 全国的な労働不足の中でこうした問題が生じている。少子化のため、こうした問題が全国的に頻発することは目に見えている。そうした中では、インセンティブとして、きちんとやった優秀な企業等には人数枠を拡大することも考えられるのではないか。そうした全国一律と逆の発想もあるのではないか。
  • 適正な受け入れ管理をしている企業等に対しては、その範囲で、人数枠拡大について検討することは可能だと思う。まずは制度改正をし、そうした中で適正管理をしている企業について検討するべきではないか。(規制所管省庁)
  • きちんとやったら人数枠を拡大するなどと言わないと、経済原理上、企業は動かないだろう。
  • 先ほどのご説明で、従来は問題のなかった企業等が、特例措置を認めたら問題を起こしたとのことであったが、受入人数枠が3人から6人になったからといって二重帳簿を作るとは思えない。検査を厳しくしたせいで、いままで見過ごしてきたものが見つかったのではないか。また、もともとサンプル数が少ないため、1人居なくなったら数字が跳ね上がる。特例前後であまり変わっていないとも読める。データの期間も平成19年1〜9月と短い。本当に人数枠が3人から6人に拡大したことの影響なのか。そこをきちんと調査していただきたい。
  (文責 構造改革特区推進室 速報のため事後修正の可能性あり)