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構造改革特別区域基本方針の一部変更について


平成18年2月17日
閣議決定


 構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第3条第3項に基づき、構造改革特別区域基本方針(平成15年1月24日閣議決定)の本文を別紙のとおり変更する。



【別紙】


構造改革特別区域基本方針


 構造改革特別区域(以下「特区」という。)において、地方公共団体が事業を実施し又はその実施を促進することによって経済社会の構造改革の推進及び地域の活性化を図るため、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号。以下「法」という。)第3条第1項に基づき、政府における基本的な施策の推進の方向を示すものとして、本基本方針を定める。
(注)用語の定義は法による。

   
1.構造改革の推進等の意義及び目標
(1)構造改革の推進等の意義
 経済の活性化のためには、規制改革を行うことによって、民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大することが重要である。日本の経済社会が人口減少・超高齢社会の到来や地球規模でのグローバル化の進展などの大きな環境変化に直面していることを踏まえると、一刻も早く規制改革を通じた構造改革を行うことが必要であるが、全国的な規制改革の実施は、様々な事情により進展が遅い分野があるのが現状である。こうしたことを踏まえ、地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により、地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域を設けることで、当該地域において地域が自発性を持って構造改革を進めることが、特区制度を導入する意義である。
 したがって、地域においては、国があらかじめ何らかのモデルを示したり、従来型の財政措置による支援措置を講ずることに期待するのではなく、「自助と自立の精神」を持って「知恵と工夫の競争」を行うことにより、地域の特性に応じた特区構想を立案することが期待される。また、そのような地域の独創的な構想を最大限実現するための環境整備を、内閣一体となって行っていくのが特区制度である。


(2)構造改革の推進等の目標
 特区制度の導入により実現すべき目標は、以下の2つである。地方公共団体や民間事業者等は、これらの目標を実現し得るような特区構想を立案することが期待される。
ア)特定の地域における構造改革の成功事例を示すことにより、十分な評価を通じ、全国的な構造改革へと波及させ、我が国全体の経済の活性化を実現すること。
イ)地域の特性を顕在化し、その特性に応じた産業の集積や新規産業の創出、消費者・需要家利益の増進等により、地域の活性化につなげること。


2.構造改革の推進等のために政府が実施すべき施策に関する基本方針
(1)特区の推進に関する基本方針
1)特区の推進
 特区制度は、「規制は全国一律でなければならない」という考え方から、「地域の特性に応じた規制を認める」という考え方に転換を図り、地域の実態に合わせた規制改革を通じて、「官から民へ」、「国から地方へ」という構造改革を加速させるための突破口となるものである。
 こうしたことから、特区の推進に当たっては、定期的に地方公共団体や民間事業者等から提案を受け付け、それらの提案について「実現するためにはどうすればいいか。」という方向で検討を行い、別表1を追加・充実していくものとする。
 さらに、特区において実施される規制の特例措置は、一定期間後に評価を行うことにより、特区の成果を着実に全国に広げていくことが必要である。
 これらの一連のプロセスは、透明性を保って進めていく必要がある。また、個別の規制の特例措置については、規制所管省庁は別表1に定める事項及びこれに即して定められる法律、政省令(告示を含む。)、訓令又は通達(以下「法令等」という。)で規定する条件以上のものを、通達等により付加しないものとする。
 また、今後とも特区の検討に当たっては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(平成17年6月21日閣議決定。以下「骨太の方針2005」という。)を踏まえ、その推進を図るものとする。


2)特区制度の見直し
 特区制度については、法附則第2条において「政府は、この法律の施行後5年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされている。
 このため、法の施行の状況について検討を行うとともに、特区制度の在り方、解決すべき地域の政策課題に関する地域からの提言を踏まえつつ、特区制度の見直しを進めていく。


(2)特区において講じられた規制の特例措置の評価に関する基本方針
1)基本理念
 規制の特例措置の評価において、特段の問題が生じていないと判断されたものについては、速やかに全国展開を推進していくものとする。
 特段の問題が生じているかは、規制の特例措置について全国展開を行った場合に発生する弊害と効果により、判断するものとする。
 規制の特例措置の全国展開とは、現在、規制の特例措置により実現している規制改革について、構造改革特別区域計画の認定制度によらず、当該規制が本来規定されている法令等の改正等を行うことにより、全国規模で規制改革の成果を享受できるよう措置することである。規制の特例措置の全国展開に当たっては、供給者の視点のみならず、消費者・需要家の視点をより重視して、規制の特例措置の要件、手続について、特区における実施状況を踏まえて、必要な見直しを行うべきである。
 また、特区で実施されていない又は実施の少ない規制の特例措置については、その原因を調査することにより、規制の特例措置の是正及び新たな規制改革の実施を図ることが必要である。
 さらに、特区における規制の特例措置の実施状況を調査し、関連する規制に問題があるために円滑な実施が妨げられている場合について、新たな規制改革の実施を図ることが必要である。
 このような基本理念に基づき、規制の特例措置の効果等を評価し、その結果に基づき、構造改革の推進等に必要な措置について、構造改革特別区域推進本部長(以下「本部長」という。)に意見を述べるために、民間事業者、学識経験者等第三者からなる評価委員会を平成15年7月、構造改革特別区域推進本部(以下「本部」という。)に設置した。


2)特区において講じられた規制の特例措置の評価
 本部は、特区において講じられた規制の特例措置については、毎年度その実施状況について以下の2つの観点からの評価を行う。
i)規制の特例措置の在り方に関する評価
 規制の特例措置について、
ア)地域を限定することなく全国において実施
イ)引き続き当該地域特性を有する地域に限定して適用
ウ))規制の特例措置の廃止
のいずれかの評価を行う。
ii)個別の特区において講じられた規制の特例措置の効果、影響等に関する評価
 規制の特例措置が特区内において適切に実施されているか、構造改革特別区域計画に記載されているような効果を上げているか、について評価し、必要に応じて規制の特例措置の是正又は取消しや、構造改革特別区域計画の改善の要求又は認定の取消しに係る判断の材料とする。


3)評価のプロセス
@)規制の特例措置の在り方に関する評価のプロセス
ア)規制の特例措置の全国展開に関する評価
 特例措置が講じられる規制の所管省庁の長は法第47条第1項に基づき毎年度規制の特例措置の適用状況について調査を行い、その結果を本部に報告するものとする。
 この規制所管省庁の長の調査に加えて、評価委員会は、規制の特例措置を全国展開することによる効果等について独自の調査を行い、規制所管省庁の長からの報告を踏まえ、弊害の発生について検証し、特段の問題が生じているか否かについて評価するものとする。
 評価委員会は、必要に応じて、規制所管省庁から意見を聴取した上で、下記CB)の基準に基づき評価を行い、規制の特例措置ごとに上記2)@)ア)からウ)の判断のための意見を本部長に提出するものとする。
 本部は、評価委員会の意見を踏まえ、下記CB)の基準に基づき、上記2)@)ア)からウ)の判断について決定を行う。
 評価に当たって、評価委員会は、規制の特例措置の特区における実施状況を踏まえて、評価の対象となる規制の特例措置について、調査開始の3か月前までに規制所管省庁に通知するものとする。通知を受けた規制所管省庁は、調査開始の2か月前までに調査計画を作成して評価委員会に提出しなければならない。評価委員会は、規制所管省庁の調査計画を踏まえて、評価委員会の調査計画を作成する。
 これらの調査計画は作成後、調査の対象となる認定地方公共団体に対して時間的余裕をもって周知するものとする。


イ)特区で実施されていない又は実施の少ない規制の特例措置の評価
 評価委員会は、特区で実施されていない又は実施の少ない規制の特例措置について、その要件、手続が過剰なものになっていないか等の観点で評価し、規制の特例措置の是正等のための意見を本部長に提出するものとする。
 本部は、評価委員会の意見を踏まえ、規制の特例措置の是正等について決定を行う。


ウ)関連する規制の評価
 ア)及びイ)の意見の提出に併せて、関連する規制に問題があるために特区で適用された規制の特例措置が円滑に実施されていない場合には、関連する規制が妨げとなっていないか等の観点で評価し、新たな規制改革を行う必要性についての意見を付すものとする。
 本部は、評価委員会の意見を踏まえ、特区又は全国での新たな規制改革の実施について決定を行う。


エ)評価の時期
 特区において講じられた規制の特例措置の平成18年度における評価は、4月から9月までを第一期、10月から3月までを第二期として年に二度行うものとする。この際、規制所管省庁が行う調査は、原則として、第一期では4月から5月、第二期では10月から11月にかけて実施するものとする。
 平成19年度以降のスケジュールについては、法附則第2条に基づく特区制度の見直しの状況等を踏まえ、定めるものとする。


オ)規制改革・民間開放推進会議との連携
 特区において講じられた規制の特例措置の評価に当たっては、全国における規制改革の検討と整合的に進める必要があるため、規制改革・民間開放推進会議と密接な連携を図るものとする。


ii)個別の特区において講じられた規制の特例措置の効果、影響等に関する
 評価のプロセス
 内閣総理大臣は、必要に応じて地方公共団体の特区における構造改革特別区域計画の実施状況について調査を行い、構造改革特別区域計画の変更等が必要であると認められる場合には、法第8条第1項に基づく措置を講ずるものとする。なお、内閣総理大臣が法第8条第1項に基づく措置を講ずる場合には、本部を通じて評価委員会の意見を求めるものとする。
 また、規制所管省庁の長は、必要に応じて規制の特例措置の実施状況について調査を行い、当該規制の特例措置の適正な適用を地方公共団体に求めることが必要であると認められる場合には、当該規制所管省庁の長が法第8条第2項に基づく措置を講ずるものとする。なお、規制所管省庁の長が法第8条第2項に基づく措置を講ずる場合には、本部を通じて評価委員会の意見を求めるものとする。
 評価委員会の評価の結果、規制の特例措置の実施による弊害等の発生や規制の特例措置の効果が認められないこと等により、構造改革特別区域計画の認定の取消しが必要な場合には、内閣総理大臣は当該地方公共団体に対して法第9条に基づく措置を講ずるものとする。


4)評価の具体的方法
規制の特例措置に関する評価の具体的方法は以下のとおりである。
i)規制所管省庁の調査
 規制所管省庁は、規制の特例措置の適用状況の調査に当たって、特区において適用された規制の特例措置による弊害の発生の有無に基づき、全国展開により発生する弊害について立証責任を有するものとする。また、規制所管省庁は、調査に当たって、弊害の発生の有無の判断に資する情報を最大限把握するものとする。
A)評価委員会の評価
 評価委員会は、評価意見の作成に当たっては、規制の特例措置の地域要件等の要件、手続について、弊害の発生を予防し、又は弊害が発生した場合でも拡大を防止、軽減する措置(以下「予防等の措置」という。)として適切かとの観点から、必要な見直しを行うものとする。
 評価委員会は調査に当たり、特区で実施されていない又は実施の少ない規制の特例措置に関する調査、規制所管省庁の実施した調査結果の検証のための調査を中心に、総務省行政評価局の機能を活用する。
B)評価の具体的基準
 上記2)@)ア)からウ)の具体的な判断は以下のとおり行う。
ア)地域を限定することなく全国において実施
弊害が生じないと認められる場合
b弊害が生じていても、規制の特例措置の要件、手続を見直すことで弊害の予防等の措置が確保され、かつ、見直された予防等の措置について特区における検証を要さないと認められる場合
c弊害が生じていても比較的微少であり、規制の特例措置を全国展開した場合の効果と比較検討し、効果が著しく大きいと認められる場合
イ)引き続き当該地域特性を有する地域に限定して適用
弊害が生じていても、規制の特例措置の要件、手続を見直すことで弊害の予防等の措置が確保され、是正又は追加された予防等の措置について特区における検証を要すると認められる場合
ウ)規制の特例措置の廃止
弊害が生じており、かつ、規制の特例措置の要件、手続を見直すことで予防等の措置を確保することが困難と認められる場合


(3)法令解釈事前確認制度の運用に関する基本方針
 法第4条第7項に基づく法令解釈事前確認制度は、地方公共団体が構造改革特別区域計画の案を作成するに当たって、事前に法令の解釈を明確にすることにより、特区制度の円滑な運用を促進するための制度である。
 地方公共団体は、関係行政機関の長に対して確認を求める際には、本部のホームページ上(https:/tiiki/kouzou2/index.html以下同じ。)に公表するあて先に書面又は電磁的方法により行うものとする。確認を求められた関係行政機関の長は、原則として30日以内に当該地方公共団体に対して書面又は電磁的方法により回答するものとする。30日以内に回答ができない場合には、その理由及び回答予定日を書面又は電磁的方法により当該地方公共団体に回答するものとする。
 回答を行った関係行政機関の長は、回答の写しを本部の事務を処理する内閣官房(以下単に「内閣官房」という。)に速やかに送付するものとする。個別の回答の内容については、原則として本部のホームページ上において公開するものとする。


(4)民間事業者等から地方公共団体への提案に関する基本方針
 法第4条第4項、第5項に基づく民間事業者等による地方公共団体への構造改革特別区域計画の案の作成についての提案は、民間事業者等のニーズを踏まえた真に地域の活性化に資する特区を実現するために設けられた制度である。
 地方公共団体は、本条項に基づき民間事業者等から提案を受けた場合には真摯にそれらを検討し、構造改革特別区域計画の案を作成する場合には、民間事業者等からの提案を十分に踏まえたものとすることが望まれる。
 また、構造改革特別区域計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を提案した民間事業者等に通知しなければならないが、その場合提案を受け付けてから30日以内に書面又は電磁的方法により回答することが望まれる。


(5)地方公共団体、民間事業者等からの苦情処理・相談等に関する基本方針
 法に基づき行う内閣総理大臣の認定及び認定の取消しに関して地方公共団体に不服がある場合には、地方自治法の規定に基づき国地方係争処理委員会に対し審査の申出をすることができるが、このような事態に至る前に紛争を未然に防ぐため、内閣官房に地方公共団体、民間事業者等からの苦情処理等のための相談窓口を設けた。
 地方公共団体や民間事業者等は、例えば上記(3)の法令解釈事前確認制度に基づく関係行政機関の長からの回答が期限までにない場合や、民間事業者等から地方公共団体への提案をしたにも関わらず地方公共団体から何ら回答がない場合等において、この相談窓口に事実の確認等を求めることができる。


(6)その他特区の推進のための基本方針
1)定期的な規制改革の提案の募集
 地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案を可能とし、特区制度を充実していくためには、可能な限り幅広い規制を特区において特例措置を講ずることを可能とする必要がある。
 そのため、特区において講ずべき規制の特例措置についての提案募集を、地方公共団体及び民間事業者等から行う。
 平成18年度における第1回目の提案募集は、6月を目途に実施することとし、平成18年度におけるその後の提案募集は、法附則第2条に基づく特区制度の見直しの状況を踏まえ、別途、内閣官房が定める。
 提案を受けたものについては、内閣官房が関係省庁と調整を図り、別表1の改定を行うことにより規制の特例措置の追加・充実を決定していくものとする。
 内閣官房と関係省庁とが調整を図るに当たっては、特区は、地方公共団体が自発的な立案に基づき責任を持って実施し、国はそれを事後的に評価する制度であることを十分踏まえ、地方公共団体や民間等からの提案を「少なくとも特区において実現するためにはどうすればいいか。」という方向で検討する。
 また、提案の実現度を高めるために、規制を所管する関係省庁は、地方公共団体や民間等からの提案について対応不可と回答するに当たっては、提案者に不採用の理由に対する意見の提出の機会を十分に与えるため、その理由を具体的に公表・明示するとともに、提案の趣旨を実現するために別の手法がとりえないかについても併せて検討し、回答を行うものとする。
 これらの内閣官房と関係行政機関の調整状況については、これまでと同様に可能な限り本部のホームページ上において公開するものとする。
 なお、既に構造改革特別区域計画の認定を受けている地方公共団体においても、新たに追加された規制の特例措置を特区内で実施するために、構造改革特別区域計画の変更を申請することができる。


2)訓令又は通達に関する措置
 法に定める特区制度の対象となる規制は、法律、政令又は主務省令で定められているものであるが、法附則第3条を踏まえ、訓令又は通達による規制についても、特区制度において本指針の適用に当たっては、法律、政令又は主務省令で定められている規制と同一の扱いとする。


3.構造改革特別区域計画の認定に関する基本的な事項
(1)構造改革特別区域計画の認定に関する基本方針
 地方公共団体の作成した構造改革特別区域計画については、3.に定める事項を満たす場合には認定するものとし、その数は限定しない。
 したがって、内閣総理大臣の認定に関する事務を行う内閣府(以下単に「内閣府」という。)においては、地方公共団体の構造改革特別区域計画を選抜していくという「査定」をするのではなく、3.に定める事項を満たすように助言、支援をしていくという姿勢で対応すべきである。
 また、構造改革特別区域計画の全体が、3.のすべてを満たさない場合であっても、内閣総理大臣は、認定基準を満たさない部分を除外した部分に限るなど、一定の条件を付すことにより、構造改革特別区域計画を認定することができる。


(2)構造改革特別区域計画の認定申請のスケジュール等
 平成18年度における地方公共団体が作成する構造改革特別区域計画の認定申請の受付期間は、5月、9月及び平成19年1月を目途に実施することとし、具体的なスケジュールは別途、内閣府が定める。(規制の特例措置の追加に係る構造改革特別区域計画の変更認定申請の受付期間も同じ。)
 平成19年度における認定申請の取扱いについては、法附則第2条に基づく特区制度の見直しの状況等を踏まえ、定めるものとする。
 具体的な認定申請の手続等については、内閣府令において定められているが、その詳細な手引については、ホームページ上において公開する。


(3)構造改革特別区域計画の認定申請に当たっての基本的な事項
1)計画の認定申請の主体
 構造改革特別区域計画の認定申請の主体となりうる地方公共団体は、都道府県、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、地方自治法第284条第1項の一部事務組合又は広域連合であるが、その主な組合せを例示すると以下のようなものがある。
ア)市町村(特別区を含む。以下同じ。)単独
イ)複数の市町村の共同
ウ)複数の都道府県の共同(ただし、法第4条第3項に基づき関係市町村(事業実施地域となる市町村)の意見を聴かなければならない。)
エ)都道府県単独(ただし、法第4条第3項に基づき関係市町村(事業実施地域となる市町村)の意見を聴かなければならない。)
オ)都道府県と市町村の共同(ただし、都道府県にあっては、法第4条第3項に基づき関係市町村(事業実施地域となる市町村)の意見を聴かなければならない。)


2)構造改革特別区域の範囲
 特区の範囲は、地方公共団体が実施しようとする事業の内容に応じて、例えば市町村の区域内の一部又はその全域、市町村の区域をまたがる特定の区域又はその全域、市町村又は都道府県内の複数の区域(いわゆる「飛び地」)など、当該事業を実施するために合理的な範囲で任意に設定できる。


3)構造改革特別区域計画に記載すべき事項
 構造改革特別区域計画に記載すべき事項については、法第4条第2項に基づき、記載の様式、詳細な事項について内閣府令において定められているが、詳細な記載方法の手引については、本部のホームページ上において公開する。


(4)構造改革特別区域計画の作成に当たって必要な事項
 地方公共団体は、下記の事項に従って構造改革特別区域計画を作成する必要がある。
ア)特区において講じようとする規制の特例措置が、法令等で定められているところに適合するものであること。
イ)地方公共団体が実現しようとしている目標の達成のために、必要不可欠な規制の特例措置であること。
ウ)地方公共団体が実現しようとしている目標、実施しようとしている事業の内容に照らして、特区の範囲の設定が妥当であること。
エ)実施しようとしている事業の内容と講じようとする規制の特例措置とが整合していること。
オ)民間事業者等から提案を受けて作成した場合における民間事業者等からの提案を踏まえたものとなっており、かつ実施主体等から適切な意見聴取等を行っていること。


(5)構造改革特別区域計画認定の基準
 法第4条第8項各号に定める基準の具体的な事項は以下のとおりである。
1)1号基準(構造改革特別区域基本方針に適合するものであること)
i)「構造改革の推進等の意義及び目標」と合致していること
 地方公共団体が構造改革特別区域計画を作成するに当たって、上記1.に定める構造改革の推進等の意義及び目標に合致していることを立証する必要がある。
 その際、構造改革特別区域計画の内容が、地域特性に応じた地域活性化のみならず、上記1.(2)ア)に示したように、将来全国的な構造改革へと波及し得るような地域発の構造改革たり得るものであることに留意する必要がある。
ii)「構造改革特別区域計画の認定に関する基本的な事項」と合致していること
 構造改革特別区域計画に記載されている事項が、上記(4)ア)からオ)を満たすことが判断基準である。
2)2号基準(当該構造改革特別区域計画の実施が当該構造改革特別区域に対し適切な経済的社会的効果を及ぼすものであること)
 特区において構造改革特別区域計画に定める事業を総合的に行うことにより期待される経済的社会的効果が、具体的かつ合理的に説明されていることが判断基準である。実施しようとしている事業の性格にもよるが、生産額の増加や雇用の増加など可能な限り定量的に示すべきである。
3)3号基準(円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること)
 構造改革特別区域計画が認定された場合に
ア)規制の特例措置を受ける主体が特定されているか、特定される見込みが高いこと
イ)事業の実施スケジュールが明確であること
 が判断基準である。なお、構造改革特別区域計画の申請時点では規制の特例措置を受ける主体が特定されていない場合には、内閣総理大臣は計画の認定の日から1年以内に同主体を特定することを条件として、構造改革特別区域計画を認定することができる。


(6)関係行政機関の長による同意の手続
 内閣総理大臣は地方公共団体から申請のあった構造改革特別区域計画を認定すべきであると判断した場合は、法第4条第9項に基づき期限を付して個別の規制の特例措置について当該規制所管省庁の長に対して文書にて同意を求めるものとする。
 同意を求められた規制所管省庁の長は、期限までに書面又は電磁的方法により同意又は不同意の回答を行うものとする。別表1に定める「特例措置の内容」及びこれについて規定した別表1に即して定められる法令等(以下「特例措置の内容等」という。)に定められている事項への適合の判断は地方公共団体が行うものとし、規制所管省庁の長は、構造改革特別区域計画に記載された規制の特例措置が別表1に定める「同意の要件」及びこれについて規定した別表1に即して定められる法令等(以下「同意の要件等」という。)に適合していれば、構造改革特別区域計画に記載された特例措置の内容が「特例措置の内容等」に明らかに反する場合を除き、同意をするものとする。
 規制所管省庁の長が不同意をする場合には、構造改革特別区域計画に記載された規制の特例措置についてどのような部分が「同意の要件等」又は「特例措置の内容等」を満たしていないのかについて、具体的な理由を付すものとする。規制所管省庁の長が不同意と回答する場合には、内閣総理大臣は当該構造改革特別区域計画の認定を行う前に、当該構造改革特別区域計画を作成した地方公共団体及び規制所管省庁から事実の確認等を行い、所要の調整を図るものとする。
 また、規制所管省庁の長は、同意する場合にあっては、当該構造改革特別区域計画の認定に当たって「同意の要件等」に関する条件を付すことを、内閣総理大臣に対して求めることができる。


(7)認定しなかった場合、不同意の場合の理由等の通知
 地方公共団体が作成する構造改革特別区域計画を内閣総理大臣が認定しなかった場合及び認定した場合であっても構造改革特別区域計画に記載された規制の特例措置の一部について規制所管省庁の長が最終的に同意しなかった場合においては、その理由を当該地方公共団体に書面又は電磁的方法により通知するものとする。


(8)規制の特例措置が適用されなくなる場合の対応
 規制の特例措置が全国展開される場合、規制の特例措置が廃止される場合、規制の特例措置の対象が存在しなくなる場合等、特区において規制の特例措置が適用されなくなる場合には、次の対応によるものとする。
ア) 規制の特例措置が適用されなくなる日が、次回の認定申請の受付終了日から3か月以内となることが予定される場合には、規制所管省庁は内閣府に時間的余裕をもってその旨を通知するとともに、内閣府は次回の認定申請の受付開始日の約1か月前までにその旨を本部のホームページ上において公開するものとする。
イ) 規制の特例措置が適用されなくなることにより、規制の特例措置の適用が全く無くなる構造改革特別区域計画については、法第9条に基づき、当該計画を取り消すこととなるが、取消しの対象となる計画を有する地方公共団体に対しては、あらかじめ時間的余裕をもってその旨を通知するものとする。


(9)市町村の合併に伴う対応
 市町村の合併に伴い、構造改革特別区域計画の認定を受けた地方公共団体の法人格が消滅する場合、具体的には新設合併により新たな地方公共団体となる場合及び他の市町村に編入される場合は、当該合併が成立する日以前に、当該計画の作成主体の名称の変更を行うための申請を行うことが必要である。なお、法人格が消滅しない場合、具体的には単に他の市町村を編入する場合には変更の申請を要しない。


4.構造改革の推進等に関し政府が講ずべき措置についての計画
(1)提案募集に基づき講ずることとなった規制改革
1)特区において講ずることが可能な規制の特例措置
 上記2.(6)1に基づく地方公共団体や民間事業者等からの提案を受けて検討した結果、特区において規制の特例措置を講ずることとされたものについては、本部決定に基づき、別表1に適宜追加・充実していくものとする。
 別表1には、特区において講ずることとした規制の特例措置の内容、関係行政機関の長の同意の要件、規制の特例措置に伴い必要となる手続等を定める。
 規制所管省庁においては、別表1に掲げられた規制の特例措置を定める法令等の案を作成するに当たっては、別表1に即して作成するとともに、内閣官房と所要の調整を行うものとする。また、規制の特例措置を定める政省令、訓令又は通達は、別途、構造改革特別区域計画の認定申請の時期を考慮して、本部において定める時期までのできる限り早い時期に公布し、当該時期に施行するものとする。
2)全国において規制改革を実施することとなった規制改革事項
 上記2.(6)1に基づく地方公共団体や民間事業者等からの提案を受けて検討した結果、全国において規制改革を講ずることとされたものについては、本部で決定するとともに、本部決定後、規制改革の趣旨を損なわないよう、進捗状況について規制改革・民間開放推進会議が適切に監視していくものとする。


(2)評価に基づき講ずることとなった規制改革
1)全国展開することとなった規制の特例措置
 特区で実施する規制の特例措置について、本部において上記2.(2)2)@)ア)と決定されたもの及び規制所管省庁が自ら全国展開するとしたものについては、別表1から削除するとともに、実施時期、全国展開の実施内容を明示して、別表2として決定し、速やかに必要な法令等の改正等を行うものとする。
 規制所管省庁は、別表2に移行した規制の特例措置を定める法令等の改正等案を作成するに当たっては、別表2に即して作成するとともに、内閣官房と所要の調整を行うものとする。
 上記法令等の改正等に当たって、規制所管省庁は、既に認定されている特区計画において実施されている規制の特例措置について、実施主体に対して新たな許認可の申請を求めない等の実施の継続が円滑に行われるよう措置しなければならない。


2)是正又は廃止することとなった規制の特例措置
 本部において上記2.(2)2)@)イ)と決定されたもののうち要件、手続等の見直しが必要とされたもの及びウ)と決定されたものについては、別表1を改定し、規制所管省庁は必要な法令等を改正する。
 規制所管省庁は、改定された別表1に掲げられた規制の特例措置を定める法令等の改正案を作成するに当たっては、別表1に即して作成するとともに、内閣官房と所要の調整を行うものとする。


3)新たな規制改革の実施
 本部において規制の特例措置に関連する規制について、新たな規制改革を講ずるものと決定された場合は、特区で行うものについては上記(1)1と同様の取扱いを、全国で実施するものについては上記(1)2)と同様の取扱いを、それぞれ行うものとする。