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(資料1)


構造改革特区第5次提案及び地域再生第2次提案について


平成16年7月6日
内閣官房
構造改革特区推進室
地域再生推進室

1.提案の概要

 6月1日から30日までを「特区、地域再生、規制改革・民間開放集中受付月間」として、地方公共団体、民間事業者等の方々から、構造改革特区において実施すべき規制改革要望、地域再生のための支援措置について、提案を受付けた。385の提案主体(地方公共団体が250、民間事業者が135)[※特区第4次 223主体、地域第1次 392主体]から652件の構想[※特区第4次 338、地域第1次 673]の提案があった。

 今回はじめて、特区の規制改革要望、地域再生のための支援措置要望を同時に受け付けた。この結果、提案の中には、規制改革、補助金改革等の様々な政策手段を組み合わせた地域からの総合的な戦略ともいうべき構想が90件を超えて寄せられた。(別添:規制改革、補助金改革等の複合的な構想の例[PDF])

 民間事業者等からの提案は160件にのぼり、直近に行った前回の地域再生の提案と比較すると50件(約4割)の増加となっている。

 分野別には、介護・福祉、まちづくりなどの生活に密着した分野の提案が多い傾向となっている。これらに続いて、産業活性化、国際交流・観光、教育、環境・新エネルギー、農業の分野が多くなっている。

 6月上旬に提案募集の周知のために行った「あじさいキャラバン」をはじめ、各都道府県の地域再生伝道師、特区エキスパートによるきめの細かい地域での周知、相談の結果、新たな規制改革要望、地域再生のための支援措置の要望が数多く提案された。


2.特区の規制改革要望の状況

 これまでの提案募集と比べ、分野別に大きな偏りはないが、介護、福祉など、生活に密着した提案が比較的多い傾向にある。

 新しい提案を中心に分野別の主な提案を例示すれば、以下の通り。

(1)生活福祉

  • サテライト型介護・福祉施設のための基準緩和
     日常生活圏域内で地域のニーズに適合した包括ケアを実現するため、大規模な特別養護老人ホームではなく、既存の地域資源活用も視野に入れたサテライト型特別養護老人ホームの整備を可能とする。(千葉県、社会福祉法人ほか)

  • 外国からの介護・看護等人材の育成・受入
     介護・看護分野において今後顕著になる労働力不足に対応するため、介護・看護の資格について諸外国と相互認証制度を確立するとともに、入国制限を緩和する。(ヒューマンホールディングス梶Aセントスタッフ鰍ルか)

  • 離島の救急患者搬送に係る自衛隊ヘリコプター派遣要請手続きの簡略化
     ひとりでも多くの救急患者の人命を救うため、自衛隊ヘリコプター派遣要請に係る市町村長及び県知事からの要請手続きを省略し、直接病院長から自衛隊派遣要請を行えるようにする。(長崎県福江市)

  • 過疎地で行うNPOボランティアによる有償クリーニング可能化事業
     高齢化の進んだ過疎地において、NPO又は社会福祉法人等が有償ボランティアによる洗濯サービスを行うことを可能とする。(徳島県上勝町)

(2)まちづくり

  • 地域通貨の有効期間の延長
     市民主導のまちづくりを推進するための有効な手段である地域通貨の全市的な普及を図るため、課題の1つである地域通貨の有効期限(6ヶ月)について規制を緩和する。(北九州市ほか)

  • 区画整理事業完了前の保留地の権利保全措置
     区画整理事業の長期化に伴う弊害を緩和するため、保留地について所有権に匹敵する権原を持たせることで保留地購入者への金融機関の融資等を促進し、円滑な事業運営を図り、魅力あるまちづくりの早期実現を図る。(京都府福知山市、東急不動産ほか)

  • 地域の防犯活動で車両に脱着式青色回転灯使用の容認
     市民が主体となって行う防犯パトロールや、河川堤防等のパトロールにおいて、パトロールに使用する車両に着脱式の回転灯を装備使用できるようにすることにより、活動時の安全確保や市民の士気を高める。(岐阜市ほか)

  • 公営住宅団地再生のための入居者募集方法等の規制緩和
     オールドタウン化した公営住宅団地の再生・活性化を図るため、団地内の住み替えを行う際に入居者の募集方法の適用除外により、公営住宅における世帯人員と住戸規模のミスマッチの解消を図る(兵庫県)

  • 行政財産の民間貸付によるフットサルコートの運営
     行政財産(公園・スポーツ施設など)を民間企業に運営させることにより、都心エリアでの社会人企業人間の交流、地域住人との交流、並びに国際・文化交流の促進を図る。(スポーツテレビジョン梶j

  • 土地収用委員会の設置権限の市町村への委譲
     都道府県に設置される土地収用委員会が欠員等で機能しない場合、土地収用委員会を市町村等に設置することにより、公共事業を円滑に推進できるようにする。(千葉県野田市)
(3)産業活性化

  • 工業団地内における騒音規制の見直し
     騒音基準値を守る敷地境界線を個別の工場ではなく、工業団地をひとつの事業場とみなすことにより、工業団地外の地域との境界線とすることにより、工業団地の本来の特性を活かして操業の効率化を促進し工場経営の活性化を図る。(可児工業団地協同組合ほか)

  • 特定供給による電力事業者に対する道路占用の特例
     エネルギー最適利用モデルや温室効果ガス排出削減モデルの先進地としての取り組みを推進するため、風力発電や特定供給を行う事業者についても、道路占有を認める。(青森県)
(4)教育

  • NPOが設置する不登校児等対象以外の学校設置の容認
     NPO法人が学校の設置主体となることについては特区で認められているが、不登校児等を対象としたものに限定されている。英語や理数科、スポーツなど、地域の多様なニーズに対応するため、対象範囲を拡大する。(NPOバイリンガルろう教育センター龍の子学園、NPO法人横浜シュタイナー学園ほか)

  • 外国大学の日本分校の認定と留学在留資格の特例
     外国大学日本校がその国の正式な認定機関から認定を受けている等の場合は大学を教育制度上「外国の大学」とし、学校教育法の大学に準ずるものとすることにより、学割の適用、留学の在留資格の付与が可能となり、国際的人材の育成、留学生等の受入れ拡大による地域の国際化を推進する。(テンプル大学ジャパン)
(5)農業・都市農村交流

  • 薬草等の薬効明記による庭先販売可能化
     農家が庭先で販売する薬草には、摂取量を間違うと副作用が起きる可能性のあるものも散見されるため、お茶や薬膳料理の材料については、薬効・使用法等を記載して販売できるようにする。(徳島県上勝町)

  • かやぶき古民家等を利用する宿泊施設の許可条件緩和
     かやぶき民家に象徴される自然豊かな日本の原風景を残し、日本一の田舎を実現するため、既存の農家住宅を活用した民宿の起業を容易にし、併せて外装だけではない本来の伝統的な建築様式を保存できるよう、建築基準法の例外を設ける。(京都府美山町)
(6)地方行革・その他

  • 水道事業の変更認可基準の緩和
     水需要の漸減という状況に対応し、水道事業の変更認可申請が必要な範囲を限定し認可申請等事務を合理化することによって、人的負担と経費の節減を図り、水道事業の生産性向上と健全な企業会計の維持を図る。(埼玉県草加市)

  • 建設業者による同業種への人材派遣の容認
     建設業を取り巻く状況は厳しさを増しており、従業員の雇用が難しくなっていることから、雇用を維持するため、建設業者が近隣地域で人材を必要としている業者より依頼を受け人材を派遣できるようにする。(長野県小谷村)

  • 部分休業の承認をすることができる時間等の拡大
     育児に係る部分休業の承認を「勤務時間の始め又は終わりにおいて、一日を通じて2時間を超えない範囲内」から「任命権者が承認する日又は時間」に改めることにより、子育ての支援を図る。(岐阜県多治見市)


3.地域再生のための支援措置の提案状況

 地域再生の支援措置の提案については、
 (1) 補助金の整理・統合等の補助金改革
 (2) 補助対象施設の目的外利用の弾力化の範囲の拡大
 (3) 権限移譲の推進
 (4) 民間資金の誘導
のおおむね4つに分類されるが、このうち、多数を占める(1)の補助金改革については、政策テーマごとに補助金を整理・統合するなど、地域の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する改革を求めるものが数多く提案されている。
 提案された個々の支援措置のうち、主なものを例示すれば次のとおりである。

1)補助金改革

 補助金制度について整理統合、交付金化等を求める提案は、地域介護・福祉、生活排水処理といったテーマに集中したことをはじめ、省庁横断的なものも含め、多岐にわたる。分野別に見ると次のとおりである。

(1)地域介護・福祉関連
 サテライト型の特別養護老人ホームに通所介護、訪問介護等の機能を付与した小規模多機能サービス拠点を整備するため、特別養護老人ホームの設置基準を緩和するとともに、施設整備のための複数の補助金を整理・統合することを求めるものなど。(愛知県高浜市、岐阜県大垣市、愛媛県ほか)

(2)生活排水処理関連<省庁横断>
 生活排水処理という同一の目的ながら手段により複数の省庁に所管が分かれている下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽に関する補助事業について一元化を求めるものなど。(岩手県、京都府美山町ほか)

(3)環境保全・新エネルギー関連<省庁横断>
 資源循環型社会の形成に向けて、バイオマス利活用のための研究開発、施設整備、事業者支援のために複数省庁に所管が分かれている補助事業について整理・統合することを求めるものなど。(神奈川県三浦市など)

(4)こども関連<省庁横断>
 小学校、幼稚園・保育園の総合施設、児童館の機能を持つ複合施設の整備や保育と子育てに関する事業の一体的な実施のために、省庁横断的に補助金を整理・統合することを求めるものなど。(東京都千代田区など)

(5)商店街振興関連<省庁横断>
 商店街振興のため、ハード事業、ソフト事業を一体的に行うために関連する複数の補助事業を大くくりすることを求めるものなど。(栃木県など)

(6)地域防災関連<省庁横断>
 地震発生時の建物内の人命の保護や避難地・避難路の確保のため、学校、社会福祉施設等の各種公共施設や住宅の耐震化を推進するための各種補助金の一元化等、地域防災の推進を求めるものなど。(愛知県犬山市など)

(7)IT関連
 過疎地におけるケーブルテレビジョンを高度化するため、関連する複数の補助金を統合し、事業の効率化を図ろうとするものなど。(山形県櫛引町など)

(8)産学連携関連<省庁横断>
 地域の大学、研究機関が協力して、教育、研究、開発支援などの複合的な機能を持つ拠点整備のため、総合的な補助制度を整備することを求めるものなど。(東京都三鷹市など)

2)補助対象施設の目的外利用弾力化の範囲の拡大

 補助対象施設の目的外利用については、すでに地域再生の支援措置として定められている目的外利用の承認の柔軟化の措置の対象を、需要が著しく減少しているものに限らず、新たなニーズに適合するために機能更新を図る場合などに拡大するもの(埼玉県岡部町等)をはじめ、多様な分野について提案があった。

3)権限移譲の推進

 都市計画や農地転用などの土地利用に関する市町村への権限移譲をはじめ、廃棄物処理施設の許可や狩猟鳥獣に関する許可など、多様な分野について権限を求めるものなど。
 土地利用関係では、国が認める計画に記載されたプロジェクトに限定して、開発許可や農地転用に関する許可の権限を一体的に市町村に移譲することにより、縦割り行政の是正、地域主導のまちづくりの推進を図ろうとするものなどがある。(愛知県岩倉市など)

4)民間資金の誘導

 民間資金の誘導の観点からは、次のものがあった。

  • まつりファンド、高度先進医療ファンドの創設(福岡県福岡市)
  • 区画整理事業の保留地の民間都市開発推進機構による買取の推進(東急不動産)
  • PFI事業に対する国の補助事業の不整合の是正(愛知県東郷町)