都市再生本部第5回資料一覧

都市再生のために緊急に取り組むべき制度改革の方向

平成13年12月4日
都市再生本部決定



 現下の経済状況に鑑み、経済活性化に貢献するとともに、構造改革につなげるため、従来の「行政」主導の取り組みから、都市再生の重要な担い手としての「民間」の役割に注目し、その力が最大限発揮できるよう、緊急に制度改革に取り組む。

(1)民間事業者の力の発揮による都市再生の推進

  1. 「民間」の重要な担い手である民間事業者について、時間リスクの軽減と民間の活動領域を拡大するなどの観点から、主として地方公共団体の「運用」について、以下のとおり、早急に改善を図る。
    イ)手続きの並行処理などによるスピードアップ

    ロ)事前明示性の確保

    ハ)地区の実態に即した適切な規制等

    ニ)民間投資を誘発する完了寸前の都市計画道路の強力な整備

  2. 民間事業者が、より強力に事業を推進できるよう法律上の権能を強化するなどの観点から、次期通常国会を目指して、以下のとおり法改正を行う。
    イ)民間の事業計画に基づいた思い切った都市計画変更

    ロ)民間事業者に一定の強制力をもった事業権能創設

    ハ)民間事業者に対する事前確定性の確保

    ニ)設計の自由度の向上による民間事業者の創意工夫の発揮

  3. 大都市中心部における産業及び人口の過度集中の防止等を目的とし、工場及び大学等の新増設を制限する工業(場)等制限法について、産業構造の変化、少子化の進行等社会経済情勢の著しい変化に伴い、次期通常国会を目指し、廃止を含め抜本的に見直す。



(2)地域住民の主体的なまちづくりの取組みの推進

  1. 「土地所有者」や「居住者」、それらの集まりである「まちづくり組織」が、地震や災害に弱い密集市街地の不燃化や地方中心市街地の活性化などのためのまちづくり活動に積極的に取り組むことができるよう、次期通常国会等を目指して制度的な改善措置を講じる。

    イ)まちづくり主体の権能の強化

    ロ)地域におけるノウハウの蓄積・専門家による情報提供

    ハ)地権者主導の建替え活動の促進

  2. 更新時期を迎えている多数の老朽化したマンションについて、その円滑な建替えが進むよう、マンション建替えを行う主体に対する法人格の付与、新築マンションへの担保権等の権利の円滑な移行の確保などを内容とする立法措置を次期通常国会を目指して講じる。

(参考)都市再生を進めるため、引き続き検討をすべき基本的課題




 以下の課題についても、さらに内容を精査しつつ、その具体化 に早急に取り組んでいく。

  1. 社会経済情勢の変化への対応
    イ)個々の民間事業者が負担していたリスクを広く分散し、あるいは分担する新しい事業手法を構築
    ロ)不良債権処理に係る政策との連携の強化

  2. 行政と住民との間の適切な関係の確立
    イ)地域住民等に対して行政手続きへのより一層十分な参画機会を確保
    ロ)行政手続きについて、相当程度の意見集約が図られた段階で次の法手続に移行するシステムの構築

  3. 民と民との適切な関係の確立
    イ)都市再生の前提となる境界画定などの民・民紛争を迅速に処理するシステムを構築

  4. 国と地方公共団体の新しい関係の確立
    イ)我が国の国際競争力確保等、「都市のあり方に関する国家的な観点からの政策方針」と、地方分権の下での「地方公共団体の方針」とを対等な立場で相互に調整するシステムの構築