平成13年12月4日 都市再生本部決定 |
地震時に大きな被害が想定される危険な密集市街地(東京、大阪各々約6,000ha、全国で約25,000ha)について、特に大火の可能性が高い危険な市街地を対象に重点整備し、今後10年間で最低限の安全性を確保する。
(1)東京において、密集市街地全体を大きく貫く緑のオープンスペース機能を持つ連続した骨格軸を形成する。このため、環状六号線と環状七号線の間の未整備都市計画道路やこれに連なる公園や沿道の市街地等の整備を集中的に実施する。また、大阪においても同様に骨格軸の形成を図る。
(2)密集市街地のうち、特に大火の可能性の高い危険な市街地(東京、大阪各々約2,000ha、全国で約8,000ha)について、今後10年間で重点地区として整備することにより、市街地の大規模な延焼を防止し、最低限の安全性を確保する。
このため、空地の確保や建築物の耐震不燃化に向け、
(3)密集市街地全域について、敷地の集約化・整序や地区内の空地確保等居住環境向上に向けた住民の主体的取り組みの支援体制を強化する。このため、
(4)また、民間活力を最大限発揮できる制度を導入する。
(1)既存の建築物について、都市住民や時代の要請に応えていけるよう、長期間にわたって活用を促すしくみを整備する。
(2)既存の民間の住宅について、安心して売買や更新ができるしくみを整備する。
(3)公共賃貸住宅約300万戸について、今後10年間の建替え、改修、用途廃止等の方針を定める総合的な活用計画を平成14年度内に策定する。
(4)学校の余裕教室や用途廃止した庁舎をはじめとする公共施設等について、用途の転換により、都市住民のニーズに対応した有効活用を推進する。
(5)大阪御堂筋をはじめとする都市の中心部におけるメインストリートをゆとりとにぎわいを持った都市空間として再生する。このため、民間の創意工夫を活かしつつ、社会実験を活用する等により、道路の多面的な利活用に積極的に取り組む。
1.まとまりのある自然環境の保全
大都市に残された貴重な財産であるまとまりのある自然について、その保全を図る。このため、大都市に残る保全すべき自然環境を総点検した上で、それらの保全に必要な施策の強化等を図る。
2.緑の創出
高度経済成長の過程において大幅に消失した大都市における緑について、長期的な視点に立ち、以下をはじめとする多様な施策の展開を通じてその創出を図る。
(1)臨海部における緑の拠点の形成
大都市の臨海部において戦略的に緑の拠点の創出を図る。この先導的事例として、以下の取り組みについて地方公共団体と関係者が連携して、計画の作成等その具体化を図る。
(2)市街地における緑の領域の拡大
沿道の緑化、公園の整備、屋上緑化等の推進により、市街地における緑の領域の着実な拡大を図る。
3.水循環系の再生
地表の被覆等の都市化に起因してその健全性が大きく損なわれている都市の水循環系について、河川や海の再生、市街地の雨水貯留・浸透機能の回復等、各領域の施策を総合的に推進することによりその再生を図る。
(1)河川の再生
大都市における水循環系の主軸である主要な河川について、河岸の再自然化、河畔林の整備、水質の改善等により、その環境の再生を重点的に推進する。
このモデルとして、東京都心部の主要な河川のうち、神田川及び日本橋川について、環七地下河川の整備を踏まえた再生構想の策定に着手するとともに、渋谷川・古川の再生に着手する。
また、「水都大阪」を再生するため、都心部の河川について沿川のまちづくりと一体となった再生構想を策定するとともに、このうち先行的に道頓堀川の環境整備を推進する。
(2)海の再生
水質汚濁が慢性化している大都市圏の「海」の再生を図る。先行的に東京湾奥部について、地方公共団体を含む関係者が連携して、その水質を改善するための行動計画を策定する。
(3)水循環系再生構想の策定
大都市における水循環系の中で最も密接不可分の関係にある河川及び下水道を中心として、モデル流域を選定し、排水系統の再編や水質の改善等に着目した長期的な観点からの水循環系再生構想の策定に着手する。
4.推進方策
以上の施策の展開に際しては、行政機関のみならず、NPO、市民ボランティア等の多様な主体の参加・連携の下にこれを推進する。