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「ガツガツする」のはクールじゃない
地方の方が「チルってバエる」

原田 曜平さん(マーケティングアナリスト)

「コロナ禍」で移住も選択肢に

新型コロナウイルス感染症の流行により、会社に出社せずに仕事をする「テレワーク」が注目を集めました。2020年6月時点の調査では東京で25%の人が何らかの形でテレワークを経験しています。大企業が中心で、中小企業ではまだまだテレワークは浸透していませんが、少なくとも東京にいなくても仕事ができるという認識を持つ人が出てきました。地方に移住することが選択肢の一つとして視野に入った若者も、出てきています。

大学進学で東京に出てきた地方出身者の多くは、そのまま東京に本社がある大企業に就職することを望んできました。確かに 東京はあらゆるものが簡単に手に入る、世界の中でも突出して便利な街です。一度東京での生活を経験すると、なかなか地方に戻れません。でも、自分のライフスタイルを大切にする人にとっては、必ずしも東京がすべてではありません。家賃は高い。通勤に時間がかかる。しかも電車は混んでいる。

「イイね」が欲しい「ジェネレーションZ」

1990年代なかば以降に生まれた世代を「ジェネレーションZ」と呼びます。生まれたころからインターネット環境があり、SNSを当たり前のツールとして育ってきた世代です。小さいころから何よりも「イイね」をもらうことを目指して育ってきたのがその特徴です。自分の生き方に共感してもらいたいと考える若者たちの中には、「東京でガツガツすることはクールじゃない」と思う人もいるのではないでしょうか。

この世代のキーワードは「チル」。まったりとする、というような意味です。バリバリ働いて朝まで酒を飲むのではなく、「チルってました」。のんびり、まったり過ごす。『スマホで動画見て、チルってました。』といった具合です。

もう一つは「インスタ映え」。東京では最新グルメなど、インスタ映えするにはとかくお金がかかります。でも地方では必ずしもそうではありません。東京にはないインスタ映えスポットがまだまだあるはずです。農村とか、漁村だけでなく、東京とそれほど変わらない生活ができる地方都市にもあります。 地方での「チルってバエる」暮らしを求める若者が出てくる可能性もあります。

若い世代は親や地元友達とのつながりが大事

それから、今の若者は親と非常に仲が良い。「母の日市場」が今、非常に伸びていまして、高校生の男の子でも、母親にプレゼントしたり、「母の日デート」という言葉を平気で使ったりしています。また、小さいころからSNSを当たり前のように使っているから、小学校時代の友達ともずっとつながっている。だから、大学進学で東京に出てきた地方出身者にとっては、親や地元友達とのつながりを大切にして、卒業後に地元に帰ることも「快適な暮らし」となりうると思います。

PROFILE

原田 曜平さん

マーケティングアナリスト。1977年、東京都生まれ。
慶応義塾大学商学部卒業後、株式会社博報堂に入社し、博報堂生活総合研究所研究開発
局を経て博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを務める。
2018年に退職し、マーケティングアナリストとして活動。
若者研究とメディア研究を中心に、次世代に関わる様々な研究を実施。

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