TOP > 九州・沖縄ブロック 開催レポート

地方創生 対話フォーラム

開催レポート

地方が活力を取り戻し、安心して暮らしていけることが、日本再生の大きな力になります。それが2025年6月に閣議決定された地方創生に関する「基本構想」の目標であり、その実現に向けた方策などを検討する「地方創生対話フォーラム@九州・沖縄ブロック」が1月19日、熊本城ホール(熊本県熊本市)で開催されました。会場では、地域で取り組まれている好事例の紹介など、地方創生の推進に向けた議論を深めました。

※所属・肩書・組織名などは、2026年1月19日時点のものです。

全編動画

開会挨拶

開会挨拶

黄川田 仁志

地域未来戦略担当大臣

強い経済の実現に向けて

「地方の活力こそが日本の活力である」との認識のもと、従来からの地方創生の取組を土台としつつ、より経済に重きを置いた取組を「地域未来戦略」として推進してまいります。具体的には、地域ごとの産業クラスターを全国各地に形成し、世界をリードする技術やビジネスの創出、地場産業の付加価値向上に取り組みます。今後は、地域未来戦略本部のもとで、昨年末に策定した「地方創生に関する総合戦略」等を基盤に、強い経済の実現に力点を置いた施策を追加し、全体戦略としての「地域未来戦略」を取りまとめてまいります。

来賓挨拶

来賓挨拶

木村 敬

熊本県知事
※ビデオメッセージ

地方創生の先端地域を目指す

半導体関連企業の集積がここ熊本で進んでいます。また、本県は全国有数の農業県でもあります。「新生シリコンアイランド九州」「フードアイランド九州」をテーマとする本日のフォーラムでは、九州・沖縄の各地域で地方創生の成果を上げてこられた皆様が登壇されます。半導体産業の産学官による広域連携の加速や、稼げる農水産業の実現にかかわる知見を私どもも共有し、地方創生の先端地域としての発展を目指してまいります。

竹内 信義

熊本県副知事

本来であれば、本県知事の木村敬が直接ご挨拶申し上げるところでございますが、出席がかなわなかったため、ビデオメッセージをご覧いただきました。知事の地方創生にかける熱い思い、そして本日のフォーラムに対する強い期待をご理解いただけたかと存じます。本日のフォーラムの開催地として、ここ熊本を選んでいただきましたこと、そして本日、多くの皆様方にご参集いただいておりますことに深く感謝申し上げます。

政策説明

政策説明 政策説明
政策説明 政策説明

海老原 諭

内閣官房 地域未来戦略本部事務局長

「地域未来戦略」では経済が切り口のポイント

日本の人口は、2008年にピークを迎え、現在は減少局面にあります。今後、当分の間は人口が減っていくことを前提に、「どうすれば地域が元気になるのか」を考え、昨年6月に地方創生に関する「基本構想」を閣議決定しました。
さらに、昨年12月23日には、①強い経済②豊かな生活環境③選ばれる地方を政策目標とする「地方創生に関する総合戦略」を閣議決定し、今年夏をめどに、全体戦略としての「地域未来戦略」を策定する予定です。
特に「地域未来戦略」では「経済」という切り口に力を入れてまいります。

元気な地域経済を取り戻す政策パッケージを5月に

地域で働く人がいない、若者や女性が地域から離れてしまっている現状は、地域経済に元気が失われていることの裏返しでもあります。「強い経済」「豊かな生活環境」を構築し、その上で「若者や女性に選ばれる地域」をつくる取組は、地域が活力を取り戻す好循環を生み出します。
具体的な方針として、以前は「生活環境の改善」と「経済の活性化」を、地域を活性化するための両輪としていましたが、現高市内閣では、「経済オリエンテッド(経済重視)」で地域を活性化するという方針を打ち出しており、今年5月ごろをめどに「地域未来戦略」の政策パッケージを取りまとめる予定です。

企業版ふるさと納税で自治体の施策支援を

産業は、業種の枠組みの中はもちろん、その枠を越えて取引関係を結ぶことで成り立ちます。それは、ブロック単位、県単位の大きなクラスターもあれば、個別の企業でもキラリと光る事業で海外取引を展開するケースもあります。それぞれの規模や枠組みに応じて、地域の活力を取り戻すための支援策を国として講じてまいります。
支援のためのツールには、地域未来交付金のほかに、「企業版ふるさと納税」があります。地方公共団体が地域振興の事業を具体的に立案し、事業に賛同する企業が、その地方公共団体に企業版ふるさと納税で寄付をします。返礼品はありませんが、最大9割の税が減免される仕組みです。
企業の協力によって地方公共団体発のプロジェクトが拡大していくことを国として期待しています。

トークセッション1

トークセッション1 トークセッション1 トークセッション1 トークセッション1 トークセッション1 トークセッション1

テーマ:新生シリコンアイランド九州 ~広域リージョン連携による産業クラスター形成~

吉村 貴寛

福岡県

吉村 貴寛

一般社団法人九州経済連合会 新生シリコンアイランド九州推進部 部長

「イノベーション・マルチハブ」を構築

九州経済連合会は、会員企業、約1,000社からなる経済団体で、産業振興や地域の活性化に取り組んでいます。私どもが半導体産業の振興に向けて、九州の各自治体や経済団体等と協力して策定したのが「新生シリコンアイランド九州グランドデザイン」です。これには、「世界有数の半導体ビジネスエコシステムを擁し、国内外との協業により、半導体の生産と応用、およびトップ人材をはじめとする人材の輩出をリードし続ける“イノベーション・マルチハブ”」というビジョンを掲げています。イノベーション・マルチハブは、半導体の製造拠点やR&D拠点、大学・研究機関が集積する産官学連携拠点を九州各地に整備し、各拠点が戦略的に連携する仕組みです。
このビジョンを定めると同時に、ビジョン実現に向けた課題および課題解決の方向性も網羅的にピックアップし、8分野のべ64種に整理・集約しています。

会員企業、行政、台湾と連携の輪を

グランドデザインに沿って現在、①ビジネスモデルの創出、②ビジネスエコシステム中核拠点の整備、③サプライチェーン強靱化 ―の視点から、会員企業や行政、台湾との連携事業を進めています。例えば、会員企業との連携では、半導体戦略専門部会を立ち上げ、九州各地でどういった産業分野を強化できるか、ビジネスエコシステム中核拠点の整備・運営に係る制度案などを検討しているところです。行政とは、九州地域戦略会議の「新生シリコンアイランド九州プロジェクト」において九州一体となった官民連携施策を検討しています。また、九州経済産業局が事務局を担う九州半導体人材育成等コンソーシアムとも連携して取り組んでいます。
半導体先進地の台湾とは、2025年4月に台湾貿易投資センター福岡事務所が開所したのを契機に、TAITRA(台湾貿易センター)およびジェトロ(日本貿易振興機構)と三者で覚書を締結し、台湾企業の九州進出や日本企業との連携を支援していきます。さらに、九州の地銀13行連携のQ-BASS等とも協力しながら、九州大学、台湾・陽明交通大学、日台企業との産学連携も進めていきます。

末吉 裕明

佐賀県

末吉 裕明

日清紡マイクロデバイスAT株式会社 代表取締役社長/さが半導体フォーラム 副会長

子どもたちに教育と広報

佐賀では、2022年3月に九州半導体人材育成等コンソーシアムが立ち上がったのを機に、同年10月、さが半導体フォーラムが設立されました。佐賀の半導体産業基盤の強化を図る当フォーラムのミッションは、①半導体人材の育成と確保②半導体関連企業の取引・サプライチェーンの強化③半導体産業の認知度向上④県内半導体関連企業間の交流促進―の4つです。本日は①③に関連する2つの取組を紹介します。
佐賀では毎年、子どもたちにものづくりに触れ、佐賀の産業を知ってもらう祭典「SAGAものスゴフェスタ」を開催しています。このフェスタに、さが半導体フォーラムゾーンとして出展し、シリコンウエハーに触る、ゲームを作るなどの体験を通じて、半導体の魅力を知ってもらっています。

広域の取組が必要

高校生向けの取組も実施しています。県内7拠点で計100人の高校生が3年間、最先端のデジタル技術を学ぶ「DI SCHOOL SEIRENKATA(セイレンカタ)」という産学官金連携の人材育成プログラムです。内容は、半導体の設計、AI、プログラミングなどに加え、佐賀の地元学も学んでもらい、地域への理解と愛を深めてもらいます。
こうした活動を続ける中で、課題も見えてきています。佐賀は中小企業が非常に多く、サプライチェーンの強靱化を自前では実現できそうにない点です。そこで、この課題を克服する糸口として、九州に今後広がっていくイノベーション・マルチハブに大きな期待を寄せています。

中島 一哉

熊本県

中島 一哉

熊本県 商工労働部 産業振興局長

「くまもとサイエンスパーク」構想を形に

熊本県の半導体産業は1967年の三菱電機進出から始まり、現在は約200社の関連企業が集積する巨大なサプライチェーンを構築しています。この流れを加速化させたのが2021年のTSMC進出です。第一・第二工場の投資額は約3兆円に上り、この歴史的な契機を九州全域の活性化につなげる「新生シリコンアイランド九州」の実現を目指しています。
半導体産業の集積という強みを生かしながら、地域の持続的な発展につなげるため、昨年3月に「くまもとサイエンスパーク推進ビジョン」を策定しました。このビジョンでは、県内各拠点を有機的につなぐ分散型パークの実現を掲げました。単なる製造拠点にとどまらず、大学や研究機関を誘致し、産学官連携によるイノベーションを創出すると同時に、新たな技術と人材を熊本から生み出し、次世代の産業を創造する場にしたいと考えています。

課題解決と九州全域への波及を目指して

急速な開発に伴う交通渋滞や地下水の保全といった課題には、知事をトップとする対策推進本部を立ち上げ、機動的に対応しています。特に地下水については、リアルタイムで水位や水質をウェブで公開して見える化を図り、県民の安心感醸成に努めています。
今後は、この経済波及効果を県南地域など県内全域に広げるとともに、九州各県との連携をさらに深めていきます。行政、産業界、教育・研究機関、金融機関が普段からのお付き合いを大切にして一体感を高め、将来的に東アジアを代表する産学官連携拠点となるよう、着実に歩みを進めていく決意です。

鈴木 清己

大分県

鈴木 清己

株式会社スズキ 代表取締役社長/九州半導体人材育成等コンソーシアム サプライチェーン強靱化ワーキンググループ 座長/大分県LSIクラスター形成推進会議 企画委員長

大手半導体企業と地元企業をマッチング

九州にはもともと半導体産業が集積していますが、私たちは、関連企業の一社一社が持続可能な成長を遂げ、Society 5.0に対応した産業構造へと進化する「新生シリコンアイランド九州」を目指しています。その中核を担うのが、2022年に設立された九州半導体人材育成等コンソーシアムです。コンソーシアムには九州全域の産学官金162機関が参加し、半導体人材の育成・確保とサプライチェーンの強靱化を目的に活動しています。
具体的な取組の1つが、大手半導体企業と地域の中堅・中小企業をつなぐマッチングイベント「チャレンジマーケット」です。これまでに大手2社の協力のもとで開催し、好評を得ています。今後は大学や産業技術総合研究所とも連携し、中小企業の技術シーズに磨きをかけ、大手企業のニーズに合わせて提案できるレベルまで引き上げられるよう、伴走支援をしていきます。

広域連携の成功は共通課題への着手から

また、喫緊の課題である物流の労働力不足に対しても、九州全域を網羅する独自の共同配送プラットフォームの構築を進めています。大分港を活用した海上輸送や、九州各地を結ぶ幹線便・循環便のネットワークを整備し、今年4月からトライアル運用を始める計画です。
こうした広域連携を成功させる秘訣は、まず企業が本気になって取り組むことのできる共通課題から着手することです。半導体産業には極めて高いスピード感が求められます。曖昧な戦略ではなく明確な評価指標を定め、信頼関係に基づく小さな成功体験を積み重ねていくことが、九州全体の活力を生むと確信しています。

岸田 里佳子

モデレーター

岸田 里佳子

内閣官房 地域未来戦略本部事務局 内閣審議官

小さな成功の積み重ねで連携強化を

立場の異なる産学官などの組織が、都道府県を越えて連携し、同じ方向に進んでいくことは決して簡単ではありません。こうした中で、まず取り組むべきは、各組織が共通して抱える「人材育成」などの具体的な課題を起点に、本気で協力し、小さくとも着実な成功体験を積み重ねていくことだと改めて認識しました。
また、机上の制度設計にとどまるのではなく、「顔の見える関係」を大切にして信頼関係を築く重要性を共有することができました。

トークセッション2

トークセッション2 トークセッション2 トークセッション2 トークセッション2 トークセッション2 トークセッション2

テーマ:フードアイランド九州 ~農水産品の高付加価値化と海外展開~

木下 秀鷹

長崎県

木下 秀鷹

ごと株式会社 顧問/株式会社リージョン・クエスト 代表取締役社長/離島経済新聞社 常務理事/中小企業診断士

離島のストーリーが消費者から共感

東京から1,200キロ離れた五島列島で、当社は3つの事業を展開しています。中心となるのは、長崎五島産サツマイモ「ごと芋」の加工・販売です。この芋は「おいしい」と評判を呼んでおり、それには秘密があります。有機JAS(オーガニック)認証に対応した肥料を栽培時に使用し、収穫後は約40日間熟成させています。すると、デンプンが平均糖度36度以上の糖に変化し、スイーツのように甘くなります。さらに、焼き立てのおいしさを再現するため、マイナス55度まで急速冷凍できる設備を導入しました。
その甲斐あって、毎年開催されているさつまいもの品評会「日本さつまいもサミット」で、「さつまいも・オブ・ザ・イヤー」を2022年~24年まで3年連続受賞し、2025年に殿堂入りを果たしています。

レトルト食品の製造や海外進出にも着手

2022年にはレトルト専門の工場を新設し、1日1万食の製造が可能になりました。五島産の食材で出汁をとったカレーや鍋つゆの生産を始め、大手食品メーカーなどのプライベートブランドやOEMも受注しています。4年ほど前からは、レトルト食品の海外輸出にも取り組んでいます。台湾、香港、シンガポール、タイ、フィリピンに新たな販路を築いており、海外で成功するには、その国の好みや文化を理解し、試食会を開催するなど、地道に努力を重ねていくことが求められます。
離島での事業には、海上輸送費がかかり、人もリソースも限られています。離島の大きなハンデをストーリーとして強みに変え、「ここにしかない」付加価値に転換することが重要です。当社の商品を通じて、「島の伝統的なサツマイモを復活させたい」という地元生産者の情熱が多くの消費者に伝わり、「島を支える」共感が広がっていると思っています。

奈良迫 洋介

宮崎県

奈良迫 洋介

株式会社くしまアオイファーム 代表取締役社長

長期貯蔵による通年出荷が利益を生む

私たちが本社を置く宮崎県串間市は、かつては全国有数のサツマイモの産地として知られていました。しかし、近年は生産規模も収穫量も減少し、地域経済への影響が懸念されています。その流れの中で、当社は2013年、「強い農業はこえていく」を経営理念に掲げて創業しました。以来、12期連続で増収を続け、年間の売上高は25億円まで伸びています。
取り扱う商品は、青果サツマイモ、焼き芋や干し芋と言った加工品、芋焼酎もありますが、売上構成比ではまだ青果サツマイモが圧倒的です。売上高25億円と聞くと、一見、儲かっているように思われるかもしれませんが、青果が中心では利益率が高くないため、利益率をどう高めるかが今後の課題です。サツマイモで利益を出すには長期貯蔵による通年出荷が不可欠で、そのための大規模な貯蔵庫・出荷場も整備しました。高品質を維持できる貯蔵技術を持つ当社だからこそお客様から支持されていると考えています。

研究・開発、販売・ブランディングにシフト

最近では、宮崎市内に事務所兼直売所を開設しました。お客様の声を直接聞ける環境をつくるとともに、採用活動の拠点としても活用し、現場と人をつなぐ場として位置づけています。さらに2025年11月には、沖縄県那覇市にさつまいも専門のカフェ「コハクイモ」を事業承継しました。また、2018年から宮崎大学と共同研究を行い、現在は病害抵抗性や機能性に着目したサツマイモの新しい品種開発に取り組んでいます。
こうした取組を進めている背景には、サツマイモ産業を取り巻く構造的な課題があります。いわゆる「スマイルカーブ」と呼ばれる収益モデルでは、研究・開発などの上流や、販売・ブランディングといった下流に比べ、生産・収穫といった中流の利益率が低いとされています。当社ではこの構造を踏まえ、生産にとどまらず、上流から下流まで事業領域を広げることで、持続可能な農業経営の実践に取り組んでいます。

弓場 秋信

鹿児島県

弓場 秋信

弓場貿易株式会社 代表取締役/九州の食輸出協議会 会長

農水産物、食品を混載して輸出

鹿児島県の農業産出額は、北海道に次ぐ全国2位で、5,000億円を超えます。この供給力を背景に、当社では農産物に加えて水産物、食品加工品などを海外へ輸出しています。最大の輸出先はアメリカです。西海岸にあるスーパーマーケットへは、1回の輸出につき約200品目を卸しています。少量多品種のニーズにコストを抑えながら対応するため、県内を中心とした約50社のメーカーの商品を一つのコンテナに混載する輸出体制を構築しました。
ただし、アメリカ一国に依存度を高めてしまうと、現地の政治情勢や貿易ルールの変化によって輸出が難しくなり、経営に影響が出る恐れがあります。こうしたリスクに備え、EU諸国やアジア各国への販路開拓にも積極的に取り組んでいます。

ブランド化で抹茶の輸出競争力を強化

現在、当社が特に力を注いでいるのが、世界的に需要が拡大している抹茶の輸出です。鹿児島県は昨年、製品化前の茶葉(荒茶)の生産量が静岡県を抜き、初めて全国1位となりました。この強みを生かし、海外展開を加速させたいと考えています。
一方、中国も抹茶の生産を拡大しており、広大な栽培面積をバックグラウンドとして世界市場への進出を強めています。こうした競合国と差別化するには、日本産抹茶のブランド力向上が不可欠です。例えば、「原料を一番茶に限定する」「色味の基準を厳格に定める」など、品質の優位性を客観的に示す仕組みを早急に整備していく必要があります。
海外での販路拡大にあたって課題となるのが、各国の複雑な法規制への対応です。行政による現地の弁護士費用の補助など、より踏み込んだ支援が充実すれば、輸出に挑戦する事業者の裾野はさらに広がっていくと考えます。

冨澤 正紀

沖縄県

冨澤 正紀

沖縄県商工労働部 グローバルマーケット戦略課長

アジアの20億人がターゲット

沖縄から飛行機で4時間圏内には、アジアの主要都市の多くが位置しており、人口は約20億人に上ります。この地理的優位性を最大限に生かし、「稼ぐ力」を高めることが、沖縄県のグローバル戦略の基本です。
その大きな柱が、毎年11月に県内で開催している食の国際商談会「沖縄大交易会」です。昨年は、九州全県を含む全国42都道府県から217社のサプライヤーが出展し、世界16の国・地域から254社のバイヤーが参加しました。参加企業のおよそ9割で取引が成立し、成約額は約5億円を記録しました。

帰国後の購買も促す広報戦略

本県では、リーディング産業である「観光」を中心に、商工業や農林水産業など分野を超えた連携によって沖縄全体のブランド力強化を図る「おきなわブランド戦略」を推進しています。沖縄は、世界有数の長寿地域として知られています。また、自然環境と生物多様性に恵まれ、「美ら海」とともにある伝統的なライフスタイルが今も受け継がれています。こうした多様な魅力を「食」と結びつけるブランディングにより、世界中の消費者、観光客へアピールしています。
具体的には、情報収集段階の訪日予定者をターゲットとした発信で「おきなわブランド」の浸透を図ります。次に、滞在中の移動や宿泊のさまざまな場面で県産品が目に留まる工夫をしています。さらに、帰国後の買い物や外食の機会でも、沖縄から現地に輸出されている産品を自然に選んでもらえるような広報に力を入れています。成果として、沖縄県産の農水産物を活用した高価格帯のメニューが、アジア各国の高級レストランで定番化しつつあります。今後は、九州各県との共同プロモーションを通じて、世界的認知のさらなる拡大を図っていきます。

岸田 里佳子

モデレーター

岸田 里佳子

内閣官房 地域未来戦略本部事務局 内閣審議官

生産者の想いをブランドに

農水産品の販路拡大や商品開発にはさまざまな困難が伴います。それを乗り越えたストーリーや生産者の想いを企業のブランディングにつなげるという発想は、地場産品の高付加価値化を目指す事業者にとって参考になると考えます。
一方で、海外展開が本格化する中で、産地間の過度な競争も懸念されます。こうした課題を踏まえつつ、国としても関係機関と連携しながら、海外進出における「全体最適」の観点に立った施策を推進してまいります。

Page Top