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地方創生 対話フォーラム

開催レポート

地方が活力を取り戻し、安心して暮らしていけることが、日本再生の大きな力になります。それが2025年6月に閣議決定された地方創生に関する「基本構想」の目標であり、その実現に向けた方策などを検討する「地方創生対話フォーラム@関東・甲信越ブロック」が11月13日、Gメッセ群馬(群馬県高崎市)で開催されました。会場では、地域で取り組まれている好事例の紹介など、地方創生の推進に向けた議論を深めました。

※所属・肩書・組織名などは、2025年11月13日時点のものです。
※登壇者の資料について一部非公開とさせていただきます。予めご了承ください。

全編動画

開会挨拶

開会挨拶

海老原 諭

内閣官房 地域未来戦略本部事務局長

地方経済の活性化により重点

この10年取り組んできた地方創生を土台に、高市新政権ではより地方経済の活性化に重点を置いた「地域未来戦略」を打ち出しました。稼げる地方をつくるには行政だけでなく地域の経済界、NPO、地域コミュニティなどの皆様の活躍と連携が不可欠です。国としては、若者や女性がいきいきと暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。引き続き、地方創生に向けた取り組みに対する皆様のご協力をお願い申し上げます。

来賓挨拶

来賓挨拶

山本 一太

群馬県知事

産業創出で若者に選ばれる地域に

大都市圏への人口流出の構造は、まだまだ変わっていません。これを克服するには、地方がもっと創意工夫をして頑張ることが必要です。群馬県では製造業、農業、観光業などの既存産業に加え、若者が地元で創造的な仕事ができる選択肢を提供するため、エンタメ産業を中核とするデジタル・クリエイティブ産業を育成しようとしています。本日のフォーラムでは、群馬県のそうした取り組み事例も紹介されますので、ご注目いただければ幸いです。

政策説明

政策説明 政策説明
政策説明 政策説明

海老原 諭

内閣官房 地域未来戦略本部事務局長

人口減少を前提とした地域活性化策に見直し

日本の人口は明治以降、急増するものの、2008年にピークアウトし、今も減少局面にあります。2014年に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、人口減少に歯止めをかけるために多くの取り組みが進められました。そして、2024年には「新しい地方経済・生活環境創生本部」が設けられ、地方創生10年間の取り組みの総括が行われました。その検証の結果、地方からの若者、女性の流出要因の分析や、国と地方の役割の検討、地域関係者が一体となった取り組みの不足などが反省点として挙げられました。
そこで、これらの反省点を踏まえ、政策を推進する基本姿勢として、次の6つの切り口、①人口減少への認識の変化②若者や女性にも選ばれる地域③人口減少が進行する中でも「稼げる」地方~新結合による高付加価値型の地方経済~④AI・デジタルなどの新技術の徹底活用⑤都市と地方が互いに支え合い、人材の好循環の創出⑥地方創生の好事例の普遍化と、広域での展開の促進を、掲げました。

若者や女性に選ばれる地域の創出が一つの目標

具体的には、例えば①については、「移住者を増やせば、また、子育て支援を充実すれば人口は増える」という認識を変え、人口減少を前提にした制度の見直しにより、地域の活性化をポジティブに図るというものです。②については、東京一極集中の原因が進学や就職による若者の流入にあることから、若者や女性から選ばれる地域を創ろうというものです。
アンケート調査によれば、若者がなぜ東京へ行くのかについては、高賃金などの経済的な理由や、地元に面白い仕事がないという回答が目立ちました。③の「稼げる」地方は、①②の課題解決に資するものと考えています。

広域リージョン連携の加速を支援

これまでの地方経済活性化策は、市町村という基礎自治体が中心でしたが、都道府県ないしは都道府県を超えた関東、甲信越などのより広域のエリアで考える切り口も求められるため、国としては、「広域リージョン連携」の推進を始めているところです。各都道府県にある工業試験場の広域エリアでの相互融通や、広域観光の仕組みづくりの取り組みなどの地方からの提案を、しっかり支援してまいります。

トークセッション1

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テーマ:地域産品の海外展開

玉川 基行

新潟県

玉川 基行

株式会社玉川堂 代表取締役 7代目

流通経路を短縮し、顧客との親和性深める

1816年の創業以来、銅を叩いて縮めて器にする「鎚起(ついき)銅器」を製造しています。私たちが掲げるコーポレートスローガンは「打つ。時を打つ。」です。職人が魂を込めて銅を打ち、お客様が使い込むことで美しい色合いへと「時」を刻んでいく。この価値を伝えるため、私が1995年に入社して最初に取り組んだのが、売り方の改革でした。
当時は問屋経由の販売が主で、お客様の声が当社に全く届きませんでした。そこで私はブランディングとは流通経路の短縮であり、顧客との親和性を深めることと考え、問屋との取引を解消し、百貨店や直営店での直接販売に切り替えました。自分たちの言葉で丁寧に説明し、販売することで、高価格帯の商品でもその価値を正しく伝えられるようになりました。

海外展開は「行く」から「呼ぶ」へ

ある時、フランスの最高級シャンパンメゾン「クリュッグ」の当主が、当社の工場を見学し、涙を流して感動されました。その姿を見て、海外に店を出すこと以上に、世界中から燕三条に来てもらうことの重要性に気づきました。
現在、職人が働く工場を「見せる化」し、産業観光に注力しています。年間7,000人の来場者のうち、約1,000人が外国人です。工場を開放する「オープンファクトリー」は、職人の意識改革にもつながり、地域全体の活性化に貢献します。燕三条を国際産業観光都市にするため、地域の歴史と文化、技術を結集し、世界中の方々をお迎えしたいと考えています。

天野 怜

山梨県

天野 怜

山梨県酒造組合 会長(笹一酒造株式会社 代表取締役社長)

商品の価値をGI認定で高める

山梨県はミネラルウォーターの国内生産量の約4割を占める、日本一の水がめです。富士山や南アルプスに降った雨雪が、長い年月をかけて地層で磨かれ、6つの水系から清冽な水として湧き出しています。
この恵まれた水で醸造した日本酒を世界基準の価値にするため、当組合では2021年に「GI(地理的表示)」の認定を受けました。GIはフランスの「シャンパーニュ」のように、産地と品質が結びついたブランドを国が保護する制度です。山梨県は、ワインでもGIを取得しており、日本で初めて日本酒とワインの双方でGI指定を受けた、非常に稀有な土地でもあります。

言葉の力で山梨の酒を世界へ

こうした価値を世界へ伝えるため、当組合では日本を代表するコピーライター・渡辺潤平氏の力を借り、山梨の酒の定義を根本から見直し、「酒は、水。」というタグラインを作成しました。日本酒は米から作られますが、山梨においては、その本質は「水」にあります。そのことをこの端的な言葉で再定義し、海外へ発信するための揺るがない軸としました。
海外に向けて情報を発信する際、求められるのは背景にある物語です。固有の資源を強い言葉で文化に昇華させることが、海外展開する上で重要だと確信しています。
ちなみに私の蔵で造った日本酒は、ANAの国際線でファーストクラスの食中酒として採用されたり、フランスの日本酒コンクールでトップ5に入賞したりするなどしており、山梨の日本酒が徐々に世界に届き始めています。

松澤 徹

長野県

松澤 徹

株式会社マツザワ 代表取締役

「贈り物文化」を持つ華僑市場に挑戦

私たちは「お土産には人と地域を幸せにする力がある」という理念のもと、菓子製造や飲食店経営を手がけています。国内市場が成熟する中、新たな販路として着目したのが、中国本土はもちろん、東南アジアや北米にも広がり、世界に14億人以上の規模を持つ華僑コミュニティです。
彼らには日本のお中元やお歳暮のような「贈り物文化」があります。その代表と言えるのが、丸い形が家族の団らんや円満を象徴する「月餅」です。こうした菓子の置き換え需要を狙って、私たちは、JETRO主催の商談会や国内の見本市へ積極的に出展しました。彼らの商戦期である中秋節や旧正月に合わせた提案を重ねることで、香港や上海の企業との取引を開始し、着実に販路を拡大してきました。

地域農業を守ることが海外展開の鍵

海外展開を支える主力商品はスライスした生のリンゴを、生地にのせて焼き上げた薄焼きクッキー「りんご乙女」です。原料には生育途中で間引きされ、廃棄されてしまう「摘果リンゴ」を活用しています。
地域の農家さんの協力なしには製造できない菓子ですが、現在、リンゴ農家の減少と耕作放棄地の増加が深刻化しています。海外展開を継続するには、原料の安定確保が不可欠です。今後は私たち企業自身も農業経営に参入し、若手生産者や地域の方々と協力しながら、産地そのものを守り抜くことで、持続可能な事業モデルを構築したいと考えています。

木下 大輔

埼玉県

木下 大輔

株式会社木下製餡 代表取締役

イベントや見学会で魅力発信

当社が製造するあんは、主に生あん、練りあん、羊羹の3種です。意外に思われるかもしれませんが、あん商品は非常に種類豊富で、とりわけ練りあんは、粒あんやこしあんといった形状、硬さや甘さの違いに加え、狭山茶や川越いもなど地元の旬の幸を取り入れた季節あんもあります。この地元の食材は、羊羹にも取り入れています。
魅力がいっぱいつまったあんこですが、近年はあんの製造事業者が減り、あんの魅力を知る機会も減っています。そこで、当社では地域の方にあんこの魅力を知ってもらうイベントや、親子工場見学会を開催しています。

技術と風土が海外でも評価

海外展開は2018年からです。香港の百貨店の催事に参加したのがきっかけでした。現在は欧州・アジアを中心に8カ国へ出荷しており、練りあんは現地のさまざまなお菓子に用いられ、羊羹はそのまま販売しています。
海外のお客様からの評価は次の2点に集約できます。一つがクラフトマンシップ、職人の技です。100年近くにわたって伝承してきた味作りの技術、特に素材の風味を生かしていることが評価されています。
二つ目が、良い製品は良い原料からという当社の信条です。欧州、特にワインには「テロワール」という、その土地、その空気、その人だからこそできる味という考え方が根付いています。当社の味覚もPRの仕方も、このテロワールを強く訴求したものになっています。
また、原料が植物性なので輸出のハードルが低いこと、海外での抹茶ブームも追い風です。特にお茶との組み合わせは、単なるスイーツセットではない日本文化の発信として、新たな展開があると考えています。

堀田 卓哉

東京都

堀田 卓哉

株式会社Culture Generation Japan 代表取締役

伝統工芸は世界の成長産業

国内の伝統工芸市場は、1983年の約5,410億円をピークに、現在は約1,000億円まで落ち込んでいます。伝統工芸が衰退しても、暮らしに特段の影響はないのではという声もありますが、単に経済活動が低下するだけでなく、地域文化の喪失にもつながります。
一方、グローバル市場に目を向けると、その規模は約173兆円と桁違いで、年平均成長率9.1%を見込む成長産業です。ちなみに世界の和食ビジネスも、2桁台の成長を継続する成長産業です。

重要なのはコンセプトと世界観

私どもはプロデュースという立場で、全国の産品の海外展開に携わっており、今日は江戸切子のロンドン進出例を紹介します。
8年前、江戸切子の作家さんから、切子をロンドンに輸出したいと相談を受けました。ただ、向こうにはバカラやラリックなど強豪ブランドがひしめいています。そこで、和食に合うカットグラスというコンセプトを立てました。あちらのブランドは、和食のことを考えた商品作りをしていないからです。日本大使館でイベントを行い、それから、現地のカットグラス研究者とともに、約150年前にロンドンから来日した技術者が指導したことで花開いた、江戸切子の歴史を語るイベントを開催しました。これが非常に好評で、参加者から販売の機会やオーダーメードの注文をいただきました。
ここでポイントになるのは、海外展開にあたって新しい商品を開発したわけではなく、和食文化に基づく、新しい価値をプラスしたことです。時代や文化をキーワードに、それらを紐づけ、掘り下げ、自分たちのコンセプトや世界観を作りきることが重要だと言えます。

秋野 哲也

有識者

秋野 哲也

株式会社常陽銀行 取締役頭取

情報収集と自己分析を徹底

当行を含む、めぶきフィナンシャルグループでは、約1,500社の中小企業の海外展開をお手伝いしています。成功のポイントは、①事前準備②ネットワーク③継続する力―の3点と言えます。事前準備の要は、徹底した情報収集だと思ってください。現地の法律や制度、文化、嗜好、あるいは商慣習を徹底的に知ることです。
もう一つ、自分自身を知ることも忘れてはなりません。自分たちの商品やサービスの付加価値をどこに見いだすのか、現地の人たちにどうアジャストしていくのか、こういったブランディングをしっかりやることが極めて重要です。

事業継続を支えるのは意志の力

中小企業では、ネットワークのリソースはそれほどありません。だからこそ、良きパートナー、よき相談相手を見つけることが大切です。特に輸出では、現地の信頼できるバイヤーを確保することが大きなポイントになります。相談相手ではJETRO、自治体、国の機関などが挙げられます。それから、行政が用意する補助金などをどれだけ使えるかも重要です。
最後は継続する力です。これはやはり、社長の思いがどれだけ強いかが、事の成否を左右すると思います。失敗は必ずあります。なので、失敗は必ずあるという前提で課題に向き合い、どう乗り越えていくか。ここもパートナーがどれだけ助けてくれるかにかかってくる部分があります。そして、たとえ失敗しても、その失敗から何を学んで、海外展開に引き続き挑戦し、取り組みを継続していくのか。繰り返しになりますが、強い意志を伴う力が極めて重要だと私どもは考えています。

岸田 里佳子

モデレーター

岸田 里佳子

内閣官房 地域未来戦略本部事務局 内閣審議官

海外展開の数々に熱い思いを実感

地域産品の海外展開について、皆様の取り組みをお聞きする中で、熱い思いが伝わり、将来性が期待できるテーマであると強く感じました。
地域産品に地域文化の精神性を映すことでその価値を高めるための一本筋の通ったストーリーをつくり、海外に展開していく。複数の事業者がコラボレーションをしながら海外展開に必要なブランドを創出する。そして、製造現場を公開するオープンファクトリーで地域の魅力を高めていく。そうした展開に大きな可能性があることが分かりました。

トークセッション2

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テーマ:地域のステークホルダーが取り組む人材育成

鴨志田 早織

茨城県

鴨志田 早織

ひたち若者かがやき会議 代表

若者が主体のまちづくり

日立市では、若者の転出超過と人口減少が深刻化しています。市はこの状況を踏まえ、若者が本来持っている力を発揮し、活躍できるまちを実現するため、2021年に「ひたち若者かがやきプラン」を策定しました。
その具体策として同年に設立したのが「ひたち若者かがやき会議」です。18歳から39歳までの若者が参画し、日立市のにぎわいづくりや魅力づくり、地域課題の解決に取り組んでいます。
今年度は「日立でひらく、新しい自分。」をキャッチフレーズに、「若者が集まる場づくり」と「若者による情報発信の推進」に重点を置いて活動しています。具体的には、市内外の若者が地域づくりについて語り合う「若者会議全体会」のほか、地域の高校生や認知症のある方が接客や運営スタッフとなる「多様性食堂かがやきキッチン」など、交流の場づくりに力を入れています。
また、地域の魅力的なスポットなどをウェブサイトやSNSで発信しています。若者が主体的に挑戦できる環境は、若者が「新しい自分」を見つけるきっかけとなっています。

「育ち合い」の環境を強く意識

これらの取り組みでは、若者が受け身となって「育てられる」のではなく、多世代・多様な人々との交流の中で互いに刺激を与える「育ち合い」の環境を重視しており、若者の自己肯定感を育んでいます。
一方で課題もあります。継続的に活動に参加できる若者が限られていることによるマンパワー不足や、メンバーの入れ替わりに伴う引き継ぎの難しさなどです。今後は新たなコアメンバーの拡充を図りつつ、若者の挑戦と成長を支援する理念と、運営のノウハウを確実に継承できる組織体制の整備を進めていきます。

青木 圭太

栃木県

青木 圭太

とちぎアントレプレナー・コンテスト実行委員会 実行委員長(株式会社 アオキシンテック 代表取締役CEO)

将来を考えるきっかけづくり

地域の小学生から大学生までを対象に起業プランを募り、表彰する「とちぎアントレプレナー・コンテスト」は、栃木県内の中小企業の経営者有志が運営している事業です。優秀なプランには開業資金を提供し、起業後の伴走支援も実施しています。過去12回の開催で11,867件のエントリーがあり、10名の起業家が誕生しました。
活動を始めたきっかけは、私が中国の高等専門学校の学生から「社長になりたい」と熱意のこもった言葉を聞き、刺激を受けたことです。栃木の学生にも、将来のビジョンを本気で描いて欲しいと考え、挑戦の機会を用意しようと立ち上げました。

「行動変容」を重視して表彰

コンテストでは、選考過程で2回のセミナーを行い、学生の起業プランに対して私たち経営者が改善提案をします。学生は助言を反映させながら計画の質を高めていきます。審査では、こうしたやりとりの中で学生がどれだけ行動変容を起こしたかに注目し、成長プロセスを評価します。
取り組みの成果は着実に表れています。例えば、第5回の最優秀賞受賞者が設立した会社では、米こうじを用いた、砂糖に代わる甘味料などの商品を扱い、現在、世界市場に挑戦しています。
とちぎアントレプレナー・コンテストでは、引き続き起業家支援に取り組む一方で、さまざまな啓発を通して栃木の若者が自らの個性を発揮し、生きがいを持って働ける環境づくりをしていきます。

鈴木 憲貴

群馬県

鈴木 憲貴

群馬県 産業経済部 戦略セールス局 eスポーツ・クリエイティブ推進課 クリエイティブ人材育成室 補佐(TUMO係長)

群馬をクリエイティブ拠点に

群馬県では、新たな価値を創出できる人材や企業を県内に集積させる「クリエイティブ拠点化」を掲げ、最先端のデジタル技術に精通したデジタルクリエイティブ人材の育成を進めています。
主要施策の一つが、2022年に前橋市にオープンした「tsukurun(ツクルン)」です。小学生から高校生までが無料で利用でき、3DCG、プログラミング、VR映像制作などを学べます。子どもの興味を引くアニメやゲームといった題材を用いるので、楽しみながらスキルと創造性が身につく点が特徴です。利用者の中からは、プログラミング全国大会での優勝者が生まれています。2024年には桐生市に「tsukurun KIRYU」を開設し、2025年には、県立高校3校にサテライト施設を設置しています。今後もtsukurunのサテライト展開をさらに進めていきます。

移住・定住の促進、産業創造も

さらに当県では、アルメニア発祥で世界的評価の高いデジタル人材育成プログラム「TUMO(ツーモ)」を、「TUMO Gunma」として、アジアで初めて導入しました。中高生を対象に無料で受講でき、ゲーム開発、プログラミング、映像制作など8つの分野から自由に選択して学習できます。意欲や協調性といった非認知能力を育むことも重視しています。
2026年には、伊勢崎市にサテライト施設「TUMO Box」を設置予定で、県内全域でデジタルクリエイティブを学べる環境の整備を加速させます。若者が夢を持って群馬県に定住できるよう、地域づくり、企業誘致などデジタル・クリエイティブ産業の、これらが連携した新産業の創出を推進していきます。

浅野 将司

千葉県

浅野 将司

千葉県健康福祉部 子育て支援課 こども未来室 主事

「ちば部」で仲間づくり支援

少子化の要因の一つに「未婚化」が挙げられます。若い世代の出会いの機会が減少していることも未婚化に少なからず影響しています。
千葉県では昨年度、県内在住の満18歳から39歳の1万人を対象にアンケート調査を実施しました。すると、行政の婚活支援には「婚活という言葉を使わずに、異業種交流などの出会いイベントを開催してほしい」との回答が約50%を占めました。つまり、単なる婚活支援ではない出会いの機会を求める声も多いということが分かりました。また、同じく昨年度、県庁内に若手職員によるプロジェクトチームを結成し、さまざまな角度から、趣味や関心をきっかけとした気軽に参加できるイベントを検討してきました。
これらの経緯から、官民連携で若者の出会いやつながりを応援していく「ミラチバプロジェクト」を立ち上げました。その取り組みの一環として、若者の仲間づくり支援事業「ちば部」を発足し、県内の企業や団体などと連携し、スポーツやグルメなどの趣味を通じた部活動のようなコミュニティを展開しています。

人との「つながり」は財産

このほか、県全体で若者を応援する機運を醸成するために「ちば若者みらい応援会議」も組織し、その下部組織に参加する若者が当事者目線の新たなアイデアを議論しています。こうしたプロジェクトの成功のカギは、「まず自分が楽しむこと」です。運営側がワクワクしていれば、その熱量は必ず周囲に伝わります。若者たちに人と人との「つながり」という財産が増えていくよう努めてまいります。

目黒 豊

神奈川県

目黒 豊

横浜信用金庫 営業統括部 地域連携課 チーフマネージャー

ひとり親世帯の高校生を支援

当金庫では、こども向けの野球教室やサッカー教室また創業支援など様々なプログラムの実施で、地域金融力の強化に努めています。2021年6月に横浜市社会福祉協議会と包括連携協定を締結し、地域福祉活動の支援、SDGsの普及啓発、人材育成などを推進しています。その好事例として、地域のステークホルダーとの連携で実現した「ひとり親世帯の高校生への学習支援」があります。
ひとり親世帯の高校生の大学などへの進学率は、全国平均の79.5%に比べ、横浜市では41.7%と低く、高校3年生がいる世帯は2,000世帯を超えています。この現状の社会課題に対して何ができるか我々は支援の方法を共に検討し、この事業をスタートさせました。
特に意識した点は「持続可能な連携モデル」であることです。講師に横浜市シルバー人材センター登録の元教員など経験豊富なシニアを迎え、さらに大学生ボランティアがサポートします。運営資金については30年以上継続している当金庫から社会福祉協議会への寄付財源を活用しています。

「安心感」が背中を押す

学習支援の流れとしては、事業を統括する横浜市ひとり親家庭福祉会が、対象となる高校生に連絡し、受講の意思を確認します。そして、講師と大学生ボランティアが連携し、高校1~3年生の学習を継続してサポートしています。
ある家庭の男子生徒は父子家庭の環境の中で3年間通い続け、弟の面倒も見ながら大学生ボランティアにも励まされ、大学に合格しました。「大人たちが見守っている」という安心感が若者の背中を押したと言えます。地域の子どもを支えることは未来の地域経済を発展させていくことに繋がると信じ、今後もサポートを続けていきます。

桑原 悠

有識者

桑原 悠

新潟県津南町長

医療を軸に地域再生

津南町は冬の積雪が4メートルにも及ぶ豪雪地帯に位置し、人口減少と高齢化が進んでいます。ところが、このような不利な状況も、人材育成を軸とした戦略によって「武器」に変えることができます。私どもが地域再生の突破口として選んだのが「医療」です。津南町にとって 医師確保は長年の課題で、医療人材を呼び込むために高額な報酬に頼ることもできましたが、「裁量の大きな仕事」「柔軟な働き方」ができることをあえてアピールの材料としました。
地方には「魅力的な面白い仕事がない」と言われます。しかし、都会では経験できない社会課題への「チャレンジ」が、医師自身の成長につながる魅力になると考えました。ターゲットを20~30代の医師に絞り、チャレンジ精神旺盛な人材の確保を目指しました。

若手医師を二地域居住で確保

こうして、2023年から首都圏の若手医師2名が東京で週2日、当町で3日滞在する二地域居住とダブルワークに取り組んでいます。2名の医師は、都市部の先進医療知識を地域に還元しながら病院経営にも参画し、地域医療の支えと自身のキャリア形成を両立しています。
単に人材を集めようとするだけでは、取り組みの成果は一過性になりかねません。しっかりとビジョンを持った地域に人は集まります。難題が山積する地方は、「自ら行動する」ことが大切で、明日への希望も積極的な行動から生まれます。地方自治体の積極的な行動によって地域で活躍する人材が増えれば、地方はもとより、日本全体が元気になるはずです。

岸田 里佳子

モデレーター

岸田 里佳子

内閣官房 地域未来戦略本部事務局 内閣審議官

人材育成は若者が楽しいと思える形で

地域を活性化するための一番の課題は、人材育成です。若い世代の人たちに地域の魅力をどのように感じてもらうか、また、どのように若い力を育てていくのか、多様な角度から参考になるお話をお聞きすることができました。
若い世代の人たちが「楽しい」と思える形で各地域や事業者の皆様が魅力づくりと人材育成を進めること、得た成果や好事例を各地域の実情に合う形で全国的に広げていくことが今後、重要であると考えます。

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