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全国都市再生の推進
全国都市再生イン愛知  議事録
開催日時:平成16年8月10日(火)
開催場所:名古屋市西区則武新町4―1―35 産業技術記念館大ホール
主催:都市再生本部、愛知県
 
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議事録:

司会(福本) 定刻となりましたので、ただいまから「全国都市再生イン愛知」を開催いたします。
本日の司会進行は、内閣官房都市再生本部事務局参事官の私、福本が務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
恐縮ですが、以下は着席して進行させていただきます。
まず最初に、今回の趣旨について私の方から事務的にご説明させていただきます。お手元に「全国都市再生 稚内から石垣まで」という数ページの資料がございますが、これもご参考にしていただきながらご説明させていただきます。
都市再生につきましては、小泉内閣における構造改革の主要な柱として進めている取り組みでございまして、構造改革特区、さらには観光立国、または地域再生といった観点からの取り組みがございます。これと連携強化しながら、相乗効果を発揮しつつ、我が国の地域活性化を目指しております。
都市再生本部につきましては、小泉総理と全閣僚で構成されておりまして、都市再生によって日本を再生していくという取り組みでございます。
2ページにございますが、早稲田大学の伊藤滋先生を座長といたします都市再生戦略チーム、都市再生本部の知恵袋といたしましていろいろとご協力をお願いしているところでございます。
3ページにございますように、3つの柱を中心として施策を展開しております。大きな柱として「稚内から石垣まで」、全国の都市が元気になるということで進めてまいっております。4ページにございますように、このたび特に全国で元気のある、また先進的な工夫をされている地域10カ所を選ばせていただきまして、その関係者と都市再生本部戦略チーム、政府関係者、地元でまちづくりに係わっておられる方々とが一堂に会しまして、市民の皆様を交えて活発な議論を行なうというのが今回の取り組みでございます。その10回目、最後の取り組みが愛知でございます。今回は、都市再生本部と愛知県が共同で開催させていただいております。
本日は、自治体の皆様はじめ、愛知県下の産業観光、まちづくりに深く係わっておられます産業界、市民代表の方々と議論を進めてまいります。本来ですとお一方ずつご紹介すべきところでございますけれども、時間の都合もございますので、お手元の出席者リストと座席表をもちまして出席者のご紹介に代えさせていただきます。
早速でございますけれど、都市再生本部の知恵袋であります都市再生戦略チームの座長の伊藤先生よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤座長 お暑い中、多数の皆様にお越しいただきましてありがとうございました。御礼申し上げます。
 私、この夏、10の地方都市を都市再生本部が見よという指示がございまして、そのうち8つを拝見させていただきました。本日がその最後でございます。
 都市再生本部は、皆様3年前を思い起こしていただきますと、3年前にはかなり華々しく国家のために役に立つ仕事をしました。その狙いは何かというと、地価が下がっていくのを食い止める。つまり、間接的に銀行の不良債権を少なくすることにそれなりの役割を果たしました。
 第2段階としまして、大都市だけではなく、全国に小さい都市から大きな都市がございますから、日本の2000年の歴史の中でいろいろな良い村づくり、まちづくりをやってきたのに、この50年間全くそれを壊してしまうことばかりやってきたということで、文化を中心にして草の根都市づくりを展開してまいりました。
 私が今日、特に申し上げたいのは、これから都市再生本部は第3番目の新しい、国家に貢献する政策課題を発見して動かしていくことになるかと思いますが、実は須田相談役と久しぶりにお目にかかってお話をしていたのですが、3番目に都市再生本部のやるべきことは愛知県挙げて産業と文化と観光という3つの話題を結びつけているところから出てくるのではないかと思っております。
 一言で言いますと、力のある者がもっと力を出してほしいということでございます。3年前は力のある者はどこかというと東京でございました。東京の不動産は日本で一番力があって、金融はそれしか頼るものがなかったわけです。そこで力を発揮しまして、いろいろ副作用もございますが、ある程度安定した社会・経済の状況を作りました。
 第2番目は、そこから脱却して、日本人が昔から努力してきたモノづくり、知恵づくりを全国的に展開する代表選手として、中部というのはきわめて重要な地域になっていると思います。その中で、大は名古屋市、小はどこになりましょうか、常滑、半田市でしょうか、もっと小さい町もありますが、ネットワークでモノづくりと文化と観光を融合していく非常によい契機が愛知万博ではないかと思っております。
 そういう点で、昨日から私の頭脳で眠っていた部分が活性化いたしまして、今までの9つの都市の話題とは別に、名古屋のプロジェクトはできるだけしっかりした骨組みで、新しいテーマとして、都市再生本部の参事官の所に情報を提供して、いろいろなことを考えてもらおうと思っています。そういう点で、昨日から今日にかけて、皆様のご努力によって大変勉強させていただきました。ありがたく御礼申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。

司会 続きまして、地元を代表いたしまして愛知県の長谷川副知事からご挨拶を頂戴いたしたいと思います。

長谷川副知事 おはようございます。愛知県副知事の長谷川でございます。
 本日は、伊藤先生をはじめ都市再生戦略チームの皆様、そして都市再生本部事務局その他関係省庁の皆様方には、暑い中、ご遠方からおいでいただきまして、心から御礼申し上げたいと思います。
 また、地元関係者の皆様におかれましても、本日の「全国都市再生イン愛知」にご出席賜りまして誠にありがとうございます。
 昨年度は、愛知県から全国都市再生モデル調査としてご提案させていただきました「産業観光資源を活用したまちづくり調査」をご採択いただきまして、改めて御礼申し上げたいと思います。
 さて、産業観光でございますが、これは何と申し上げましても日観協中部支部長であります須田様を中心といたしまして、この地域が一体となって進めておるわけでございます。嬉しいことに地元経済界も大変熱心にこれについてご支援いただいておりまして、加えてこの度都市再生本部においてご関心をお持ちいただきまして、今日このように「全国都市再生イン愛知」を開催できますことはまことに光栄の至りでございまして、改めて深く感謝申し上げる次第でございます。
 ご案内のとおり愛知県では、来年2月に中部国際空港が開港いたしますし、3月には長年取り組んでまいりました愛知万博が開幕できます。この2大プロジェクトはいずれも長い間この地域が総力を挙げて準備を進めてまいったものでございまして、今年度はその集大成の年でございます。ぜひ成功させたいものと思っているところでございます。伊藤先生には、私どもが地元で愛知万博の基本構想策定委員会を立ち上げましたときに、木村尚三郎先生ともどもチームリーダーとして引っ張っていただきました。私は、今でもあの構想が愛知万博の原点だろうと思っております。それ以降、いろいろと計画づくりがされましたけれども、あれを上回るものはないと私は今でも自負しておりまして、改めて厚く御礼を申し上げたいと思っているところでございます。
 この2大プロジェクトを最大限に活かすということで、この地域の継続的な発展をさらなるものにしたいと思っているわけでございますが、そのためには、私どもは今、知事の重点公約として進めております愛知県の産業活性化計画を作っておりますが、この中にもきちんと取り上げて位置づけしたいと思っております。これまで以上に産業観光に力を注いでまいりたいと思っております。
 来年の博覧会の時期には、7月でございますが、須田支部長のご尽力によりまして産業観光国際フォーラムを名古屋で開きたいと考えております。産業観光に取り組む世界中の関係者が集うイベントでございまして、こうした場を活用して産業観光におきます日本の先進地域としての愛知をしっかりアピールしたいと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、来年は本県にとって大いなる飛躍の年ということで、一時代を画する年と位置づけをしているところでございます。ポスト万博を見据えた地域づくりは今が最も重要でございまして、都市再生戦略チームをはじめ、本日お集まりの皆様方に十分なるご指導、ご支援をお願いしたいと思っております。
 簡単でございますが、冒頭のご挨拶とさせていただきます。本日は、誠にありがとうございます。

司会 続きまして、本日のプレゼンテーションをお願いしたいと思います。本日は、地元の民間側を代表しまして社団法人日本観光協会中部支部の須田支部長様から産業観光に係わる地元の状況について、また、地元の行政を代表いたしまして愛知県産業労働部の久保部長様から愛知県の産業観光の取り組みについてご説明をお願いしたいと思います。

須田 ただいまご紹介をいただきました日本観光協会の中部支部長をいたしております須田でございます。今日は、こういった機会を設けていただき、かつ発言のチャンスを与えていただきましたことにつきまして感謝を申し上げたいと思います。
 この後、各地からのご説明がございますので、私からは今日の話題でございますところの産業観光を立ち上げました動機、そして今日までの経緯、それからこれからの方向。そういった3点に分けてお話を申し上げたいと思います。その後、まちづくりその他について各地のご報告があろうかと存じます。
 それでは、まず最初に、数年前から、なぜ私が産業観光を始めたか、私がというよりこの地域がなぜ産業観光に取り組み始めたかという動機を3つ申し上げます。
 1つは、五全総、つまり国土のグランドデザインが発表されましたときに、中部地域の将来のあり方として中部地域を日本の国際交流中枢圏域にすべきだという言葉がございました。交流中枢圏域と申しますと当然、観光が大きい役割を果たすことになってくるということでございまして、そういった一つの国家的な命題がありました。
 2番目にございましたのは、当時国内観光が低迷をいたしておりました。つまり、伸びなくなってまいったわけであります。特に有名な観光地についてはむしろ減少し始めました。したがって、国内観光を活性化するには何を考えたらいいか。従来のマンネリの観光から脱皮して何か考えなくてはいけないのではないかということがあったと思います。
 3番名に、この地域の特殊事情といたしまして、万国博の誘致がちょうどその頃決まったわけでございますが、この誘致に際しまして、この地域の知名度が国際的にきわめて低いことがわかりました。我々は危機感を持ったわけでございます。万博までの間に何とかこの地域の知名度をもっと高めて、世界の方々にこの地域にもっと来ていただく必要がある。そういうふうなことが考えられました。
 こういったことを考えてまいりますと、結論的に言えますことは、地域の特色を活かした新しい切り口の観光がいるのではないか。こういうことになってまいります。そこで考えましたのが産業観光ということになったわけでございまして、この地域がモノづくりの地域であることは周知の事実でございますが、そこにはモノづくりの地域ならではの特別なものが観光資源として潜在していると考えられますので、そういうものを観光資源として認識しかつ広めてまいろうと考えたのが産業観光でございます。
 たまたま当時、こういった産業博物館。これは民間の手で文化事業、いわゆるメセナ活動の一つとしてできたものであります。同時にまた、県や市におかれましてもいろいろな博物館、資料館を作る動きが、平成の初め頃にございました。商工会議所等の経済団体におきましても、そういった産業文化財、産業遺産のデータを整備してそれらを保存していこうという動きがございましたので、それがこの動きを加速したことも事実でございます。ちなみに、産業観光について定義が必要でございますが、私は産業観光につきましては、「歴史的、文化的な価値がある産業文化財、産業遺産、こういった工場の遺構等を含みます。それから、現在ものを生産しております生産現場、例えば、工場とかやきもののような工房でありますとか、第1次産業であれば農場、漁場のようなものまで含めて、そういった所の見学・体験等。さらに、産業製品のショッピング、見学。こういったものを含む総合的な活動」でありまして、一つの大きな文化活動と理解をいたしております。
 そういった産業観光につきまして、今申しましたような動機で始めましたのは平成8年頃でございました。それから今日までの中間報告を申し上げますが、お手元に簡単なレジメをお配りしてございますのでご覧いただければと思います。
 平成8年にスタートいたしまして、まず商工会議所を窓口にいたしまして産業観光推進懇談会という集まりを作りました。観光というのは、いろいろな団体が、悪く言えば若干バラバラに行なわれているきらいがございます。こういうものをなるべく集約をして、調整、連携を図りながら進めることが大事だと思っておりまして、会議所を窓口といたしまして、県、市、国等の行政当局、観光団体、経済団体。それから、私どもは産業観光の中核として、この付近にある多くの産業博物館、資料館を中核施設にしたものでありますから、そういったものを約20館選びまして、そこのトップの方々。そういう方々に集まっていただきまして3カ月に1度、定例的に会議所で集まり、全員にご発言をいただく会議を開きました。今日まですでに30回開いておりまして、これはかなり大きな推進母体になっていると思います。その意味におきましても、こういった観光を進めるためには関係機関の連携が非常に大事です。同時に、情報の交換と共有が大事だということを痛感した次第でございます。
 それからもう一つ幸いでございましたのは、愛知県、名古屋市におきまして、産業観光を地元の観光の柱として観光長期計画の中で取り上げていただくことができました。それから、全国にこういったことをやっている所があることがわかりましたので、そういう他地域の人々も一堂に集めて産業観光フォーラムを平成13年に開きました。この場所で開いたわけでございますが、約500人くらいの参加がございました。その後、観光立国閣僚会議でも、その柱に産業観光が取り上げられました。それから、日本観光協会の本部におきまして全国産業観光推進協議会を立ち上げました。また、日本商工会議所、経団連が初めて観光に関する提言を出しまして、その中にこの地域の産業観光等がかなり幅広く紹介されております。また愛知県は、本日の会議の基本になりました地域再生計画に産業観光を申請し、これをご認可いただいたことがあるわけでございます。
 こういった、国、県、市、経済団体等がそろって、観光について関心を示し、その中で産業観光を取り上げていただけたというのが、最近までの数年間の経緯の中での大きなエポックではなかったかと思っております。
 以上が今日までの経緯でございますけれども、簡単に申し上げますと、国の観光立国政策がこの動きを非常に加速したことも事実でございます。そういう意味合いにおきまして、今や活動の場はかなりまとまってきたという感じでございます。
 即ち、1つは各地に産業観光の輪が広がってまいりました。長崎でありますとか鹿児島でありますとか新居浜でありますとか、あるいは秋田県、岩手県等でも産業観光の輪が広がってまいりまして、約70カ所が何らかの形での産業観光をやっておられるという事例がございます。したがって、情報の交換、ないしは、情報の発信等が全国的に非常に盛んになりまして、それらの間での交流が生まれてまいりました。
 一番ありがたいことは、これらがまちづくりの一環として、各地で取り上げられたことでございます。かつて産業で非常に発展をした町が現在、産業が下火になったり鉱山が廃鉱になったりして、そういったものがなくなった所がまちおこしとして、昔あった文化財を掘り起こして、それを起爆剤にしようという所も多くございます。名古屋は現在も産業が非常に発展をしておりまして、全国の工業出荷額第1位である所が産業観光をやっているというところが一つの特色だと思います。私どもは、そういう特色を活かして全国の産業観光の手助けをしなくてはいけない。こんなふうな使命感に燃えてやっていることを付け加えておきたいと思います。
 いずれにしても、まちづくりの一環として産業観光を取り上げていただけたことが、非常に大きな特色ではなかったかと存じます。以上が経緯の総括でございます。
 それでは、これから何をするかということについて簡単に申し上げたいと思います。当面と今後について分けて申し上げます。
 当面は、来年開かれます愛知万博との連携をどのように図って、愛知万博を成功させ、かつ産業観光をさらに前進させるかということでございます。お手元の2枚目の資料でございますが、私どもが考えておりますのは、愛知万博の場外展示場。今度の愛知万博は環境問題等がございますので、会場の面積に制約がございます。大阪の半分くらいしかないと聞いております。それから自然の保護ということもございますので、パビリオンの建設等についてもいろいろな条件がございまして制約があります。また、後は全部、元に戻さなくてはいけない。そういったこともございますのと、狭いものでありますから、完全な展示が万博会場だけでは難しいかと思います。
 しかも、エッフェル塔を見ても水晶宮を見てもわかるように、万博というのはもともと産業観光でございますから、産業観光を期待して万博においでになるお客様も大変に多いと思います。万博の会場を産業観光の施設が補完をいたしまして、場外展示場として万博と相互補完を図りながらやってまいることが当面の対策に尽きるわけでございます。
 万博との連携、特に各企業のパビリオンが自分でやっておられる産業観光と万博内の展示がございますので、そういった企業内での連携も含めながら、お互いを含むモデルコースを作ったり、お互いに情報が交換できるように、万博会場には産業観光の案内、産業観光施設では万博の案内ができるように、すべて観客を共通化していきたい。場合によれば入場特典、万博の切符を持っている方は産業観光施設の入場を安くする。あるいは、入場時間や休日体制についても考えまして、いろいろな面で補完をいたしまして、万博の効果、産業観光の効果を面に広げていきたいということが当面の課題でございます。
 したがって、万博との連携が当面の課題でございまして、これを通じまして、国際観光と国内観光を結び、さらに観光とまちづくりをつなぐ動機に万博を活かしてまいりたい。こんなふうに考えている次第でございます。万博を、産業観光を通じて面の観光に広げたい。そして、まちづくりとの橋渡しをしたい。これが産業観光の万博にかける願いであり、かつ、これからの責務だと思っております。
 次に、今後の問題に視点を移したいと思います。万博が終わった後どうするかということを、そろそろ考えなければいけません。来年の今頃は、万博は終わりに近づいているわけでございまして、喫緊の問題でございます。
 そこで我々が今考えておりますのは、せっかく万博で盛り上げたわけでございますから、この効果をなるべく長く持続をさせる。これを動機として、さらに産業観光の輪を広げて、目標でございますところの愛知県を国際観光交流中枢圏にしていかなくてはいけない。こういうふうなことに向かって前進をしてまいりたい。その仕上げをしたいと思っております。
 考え方は「連携」というキーワードで表わせる事柄でございます。即ち、各地の産業観光、他の観光地との連携を図りながら、広域的、国際的な展開を図るということでございます。一つ考えておりますのは、具体例といたしまして、ゾーニングの問題がございます。産業博物館同士の連携ですね。今、そういった施設が24ございます。例えば、この付近に、産業技術記念館、お隣にノリタケの森があります。後でお話があるかもしれませんが、西区ものづくり文化の道と申しまして、昔からの町工場がたくさんございます。駄菓子でありますとか、友禅でありますとか、扇でありますとか、そういったものの工場があって、その見学ができる。また、そこで実際に製作体験もできる。それを名古屋市でまちづくりとして、道路を整備したり、見学の受入態勢を作ったりして努力をされております。したがって、産業技術記念館、ノリタケの森、西区ものづくり文化の道が一緒になりますと、生活に密着した産業文化ゾーンができあがるわけであります。そういうことをやって核を作りたい。
 もう1つは、瀬戸であります。瀬戸蔵という瀬戸の産業観光の中枢施設が工事中でございまして、来年できあがります。それと瀬戸市内にあるたくさんの窯元を一緒にいたしまして、瀬戸付近のやきものを中心とした産業観光ゾーン。陶磁資料館を含めたものを作っていきたいと思っておりまして、今、関係の方々とご相談をしつつございます。
 言い換えますれば、西区の一帯は生活に密着した、織物の織機と器の食器、生活に密着した町工場、それから、やきものの方は瀬戸を中心にやっていく。そういう2つの大きなゾーニングをしていきたい。また、知多半島のいろいろな施設との連携等もございます。そういったことをやって核を作ってまいりたいと思っております。
 広域連携は言うまでもございません。他の地域の産業観光。産業観光フォーラムを開いたり、共同催事をしたりしていきたいと思っております。国際連携で特に大事だと思っておりますのは、外国人、特にアジアの方々は非常に産業観光に対する関心が深うございます。アンケートをいたしましてもそのような結果が出ております。外人客の誘致。ビジットジャパン・キャンペーンが大きく叫ばれておりますので、その中核の観光資源の一つとして産業観光を位置づけてまいりたい。国際連携をやってまいりたいと思っております。
 そしてもう1つ、これは陳情めいたことになるわけでございますが、そういった努力を通じまして、最終的にといいますか、近い将来にこの付近に産業技術博物館をぜひ作っていきたいと思っております。なぜかといいますと、現在、この地域の産業観光資源は散在をしております。バラバラになっております。ゾーニングをいたしましてもなお広範囲にわたります。また、いろいろな単品の資源がたくさんあるわけであります。そういうものをまとめた、総合的な展示ができる所がほしい。インデックス的な展示と言ってもいいと思います。そこからまた深めて皆さんが各地を回っていただけばいいわけであります。同時に、産業観光の啓蒙活動、産業観光に関わる人材の育成、あるいは、まちづくりに対するアドバイス。そういったことができる大きな文化施設として、産業観光資料館、あるいは産業技術博物館を作りたいと思っております。
 万博の後にはいろいろなモニュメントが残されました。もちろん万博が成功しなくてはいけないわけでございますが、必ずしも万博の会場跡地にはこだわりませんので、ぜひともそういうものを作っていただいて、これからの活動の中核にできればと思っております。
 以上、いろいろ申し上げましたけれども、これからの産業観光と申しますものは「連携」ということをキャッチフレーズにして、いろいろなことをやっていきたいと思っております。まず万博との連携、他の地域との連携、他の観光施設との連携、観光資源相互間の連携。そういったことを図って、これからやってまいりたいと思っております。
 そして、産業観光というものを面的に、かつ総合的に広げまして、広域的、国際的な展開を図って、新しいまちづくり、国づくりに寄与してまいりたいと思います。私はいつも考えておりますけれども、産業観光こそ過去・現在・未来を結ぶ数少ない観光資源ではないかと思います。過去は言うまでもありません。現在は先ほど申し上げました。未来と申しますのは、そういうものを見ることによりましてモノづくりの原点に立って未来が展望できる、新しい産業技術の開発、あるいは人材の育成にもつながって、未来を指向した観光につながるものは産業観光だと思っております。
 同時に、これは大きな文化活動でございます。これがまちづくりの中で活かされるときに、本当に新しい国土がその中から生まれてくると思います。
 日本の真ん中に所在いたします中部地域といたしまして、ぜひとも、これから各地と連携して産業観光活動を通じまして地域おこしをし、さらに国おこしにつなげ、そして過去・現在・未来をつなぐ大きな文化活動として産業観光を展開してまいりたいと思っておりますので、皆様方のご指導とご支援をこれからもお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 
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