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全国都市再生の推進
全国都市再生イン金沢  議事録
開催日時:平成16年7月22日 午前10時〜午後1時
開催場所:香林坊ハーバー(金沢市片町2−9−2)
主催:都市再生本部、金沢市
 
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議事録:

吉岡) 皆さん、おはようございます。定刻となりましたのでただいまから全国都市再生イン金沢を開催致します。私本日の司会進行役を務めさせて頂きます都市再生本部事務局参事官の吉岡でございます。宜しくお願い致します。以降恐縮ながら着席で説明させて頂きたいと思います。今日はこういう締め切った中で、ここは冷房施設がないということでございますので、皆さん宜しければ上着をとって頂いて、今日のご議論はなるべく上下脱いだご議論を頂きたいとも思いますので、是非ゆったりとした形で進めて頂ければと思います。
 まず最初に私ども都市再生本部の進めております都市再生の取組みを、簡単に私の方からご紹介させて頂きたいと思います。お手元の資料1をご覧頂きたいと思います。都市再生本部は、1枚めくって頂きましてこれは両面コピーになっておりますが、1頁にございますように、小泉総理と全閣僚で構成されているものでございます。この都市の再生、都市を元気にすることによって日本全国の活力を目指そうということでございます。構造改革特区、観光立国の施策と地域再生の観点から連携強化して相乗効果を発揮しつつ、地域の活性化を目指していきたい、という風に思っているものでございます。
 2頁には本日ご出席頂いております伊藤先生をはじめとする都市再生戦略チームのメンバーをご紹介させて頂いております。3頁目に非常に細かい表で恐縮でございますが、平成13年5月に私ども都市再生本部が設置されましてから3年間経過致しましたが、その間の施策の柱が3つございまして、その3つの柱を中心に施策を展開してきたことを説明させて頂いております。その活動の大きな柱として「稚内から石垣まで」というキャッチフレーズのもとに、全国の都市が元気になるような取組みを行って参りました。4頁をご覧頂きたいと思うんですが、一つは全国からのご提案を私どもが共通課題を抽出しまして、課題解決のために地域の方と協力して検討したというのが14年度。15年度はむしろ地域の方に直接、自ら活動して頂くということで、全国都市再生モデル調査というのをやりました。そして今年度もその都市再生モデル調査をまた全国から566件の応募を頂きまして、そのうち162件を採用させて頂いて、これから地域での活動をやって頂こうと思っているところでございます。
 そういう取組みをして頂いた全国の市町村の中から特に先進的な工夫をされていて、元気のある10の地域の関係者、地元のまちづくりに関わっていらっしゃる方々と私ども都市再生戦略チームの先生方と政府関係者がこういう形で一同に会しまして、市民の皆様を交えて活発に率直な議論を交換したいというものでございます。そういう意味で全国10カ所のうち順番に回ってきまして、ここ金沢を第7番目の全国都市再生と致しまして、私ども都市再生本部と金沢市が共同で開催させて頂いているものでございます。今日は金沢市の皆様はじめ金沢のまちづくりに深く関わっていらっしゃいます産業界、学界、市民代表の方々にお集まり頂きまして、議論を進めて参りたいと思います。本来ですとお一方ずつご紹介すべきところでございますけれども、時間の都合もございますので、お手元にお配りしております出席者の表、座席表をもちましてご紹介に代えさせて頂きたいと思います。
 それで議事次第にございますように本日の日程ですが、途中で10分程度休憩をとらせて頂く予定にしております。この香林坊ハーバーですが、毎週金曜日にボランティアの大学生の方がロビーで香林坊カフェというものをされています。まちなかのコミュニティスペースということで運営して頂いているわけなんですけれども、本日は金曜日ではございませんけれども、特別に香林坊カフェを開いて頂いて冷たい飲み物をサービスして頂けるということでございますので、その雰囲気も味わって頂ければということで時間を設けさせて頂きました。あと後ろの方に報道の関係者がいらっしゃると思いますけれども、この会議は基本的に全部公表でございますが、改めて閉会後にも場合によって取材の場を設けたいと思いますので、ご協力をお願いしたいと思います。閉会後の取材につきましては、あとでまたご案内を申し上げたいと思います。
 それでは、ここでまず都市再生本部の知恵袋でございます都市再生戦略チーム座長の伊藤先生からご挨拶を頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

伊藤) どうも皆様お忙しいところお集まり頂き有難うございました。今吉岡参事官からお話ございましたけれども、多分皆様もう一つ得心がいかれない部分もあるかと思いますので、何でこういうメンバーがこちらへ参上したかについて申し上げますと、都市再生本部というのは実は小泉内閣ができて第1号の本部でございます。その後に知的財産とか観光とか農村、農業とか色んな本部ができましたけど、1番目の本部でございます。この本部は何をするかと言うと、先程ちょっと吉岡さんも言っていましたけど、総理大臣直結の秘書室、まさに秘書室あるいは企画室です。その時その時の状況に応じて重要な話題を総理に直接報告をします。総理が機嫌が良いと何か施策が出ます。だから総理との会話というのがものすごく大事なんです。それからもう一つの特徴は、総理大臣が本部長ですから、横型各省庁に跨がる施策を小泉さんが「良い」と言いますと、そこに並び得る各大臣は、本部決定ですから言うことを聞かなきゃいけないということがあります。
 具体的にどういうことかと申し上げますと、この戦略チームが出来て一番初めの仕事だったんですけど「犯罪」です。「都市再生本部が、土建屋集団が、「犯罪」だなんて一体何なんだ」と言われるんですが、これは戦略チームに大阪から代表で来られたサントリーの会長さんが一番初めに「大阪の犯罪をなくしてくれ。そのために国は何をやっているんだ。警察だけですむ話題ではない。」ということを言われました。それに従って、犯罪問題は教育の問題ですから文部科学省と、警察庁と、それから建物の建て方で犯罪というのは非常に支配されますから、国交省と、三省庁あげて犯罪に取り組む協議会組織ができ、役人も警察庁と国交省では人事交流しています。それが1番いい事例です。ですから都市再生というのは、トンカチだけではなくてむしろトンカチ官庁であるがゆえにソフトな話です。それが大変重要なんです。そういうことを都市再生本部の決定として総理に話をして、具体的施策に展開したいということです。
 実はこの全国都市再生イン金沢は、10カ所の都市が選ばれていますけど、この10カ所の都市を選んだベースは何かと言いますと、去年皆様にお願いしたモデル調査というのがございまして、応募が去年は650ございました。そこから170の地域を選んでそこにおよそ1件当たり600〜700万円のお金を渡すというものです。NPOの方も随分おられました。その結果として再生本部が170の中から10の大変重要だという都市を選んだわけです。この参考資料をご覧になって下さい。この参考資料の頁を開きますと、全国都市再生モデル調査というのがございます。ここに多分金沢市さんのあるグループが600〜700万円もらって活動されたと思います。それで、選ばれているもののキャッチフレーズを見てみます。隣に北海道の伊達ですが、伊達は「高齢者安心生活まちづくり」です。それから福島市はどういうことで10の中にこの全国都市再生モデル調査171の中から選ばれたかというと、福島市を取り上げたのは、「都市と農村の連携」「スチューデントシティ」というキーワード。これは農協さんなんかがバックアップして、街の中で小学校の児童さんを中心にしたまちづくりをやって、そこで銀行員になってお金の受け渡しだとか、児童にまちづくりを勉強してもらった。こういうのが選ばれています。それから次を開けていただきますと佐原。佐原は成田の近くですので、トランジットというのがございますよね。空港の中で6〜7時間待っているわけです。そういう人達のつまらない6〜7時間を空港で待っているよりちょっと出て佐原へ来てもらえばこれだけ面白いものがあるよと言うもので、これは観光に関わることです。こんなやつを選んでいるわけです。次を見ますとITで洲本が選ばれている。金沢市さんは「歴史的たたずまいを継承した街並み・まちづくり」です。そういうことで、こちらへお伺いして皆様のお話を聞こうと思っています。
 これで終わりますけど、最後にこれ一体どうなるのということですが、多分今年一回ぐらいは私小泉総理と話をする20〜30分の時間を与えられるはずなんです。その時、「この全国都市再生インの10カ所の都市を選んでこういうことが重要だというのが分かりました。だからこれとこれとこれ3つ位のことは国の施策としてやってくださいよ」ということを申し上げるチャンスがありますので、是非これは正に非常に重要な現場の皆様のご意見を聞く、そういう会でございますので、ちょっとそのことを申し上げて私の挨拶に致します。どうも恐縮でございました。

吉岡) 伊藤先生、どうも有難うございました。では続きまして、今回共同で主催して頂きます金沢市の赤穂助役さんよりご挨拶を頂きたいと思います。

赤穂) 今日は大変暑い中お集まり頂きまして有難うございます。また東京の方から都市再生戦略チームの伊藤座長をはじめ委員の先生方、また都市再生本部の吉岡参事官並びに関係省庁の方々にも金沢にお越し頂きまして有難うございます。全国10カ所の重要都市の1つということで金沢をお選び頂きましたことを本当に心から嬉しく思っております。また常日頃から金沢市中心部の活性化にそれぞれのお立場でご協力・ご尽力賜っている地元の諸先生方にもお集まり頂いております。このような形で先程から自由な討議をというようなお話を頂いております。日頃我々が思っていること等を皆様方と一緒にお話をすることによって、さらにもう一歩、一段上のまちづくりを目指すきっかけになれば大変有難いなという風に思っておりまして、今日の会議が有意義になることを心から期待しているところであります。
 既にご案内かと思いますけれども、この香林坊ハーバーは金沢の中心部に最後まで残った1つの映画館の跡であります。残念ながら2年前に廃館致しました。またそれと並行するように金沢の中心部にありました金沢大学が郊外に移転し、街の中から学生の賑わいもどんどん減ってきているというような問題意識から、ここを学生の自主運用による学生主体の賑わいの核にならないかというようなことで、有志の学生さんにお願いを致しまして、以来週末を中心に学生による演劇活動ですとか留学生の交流活動等々色んな形でご活用頂いている、そのような施設であります。そんな意味で1つの金沢の中心市街地のこれからといいますか、そんなような課題を如実に表している場所なのかなと思いまして、市長の強い希望もあってここを会場にさせて頂いたわけであります。今日はちょっと東京に比べれば大分涼しいんでありますが、何分冷房施設が稼働しておりませんので、お集まりの先生方をはじめ皆様方にはご不自由かと思いますが、むしろ気楽な形で会議をするにはかえって良いのかなとも思っておりまして、ご理解を頂きたいと思っております。
 先生方には昨日から金沢市を既にだいぶご覧頂いているようでございます。このあと改めてプレゼンテーションの時間をとらせて頂いておりますが、むしろ議論を十分させて頂いた方が今回の趣旨にも沿うということでございますので、早速会議に入って頂ければと思っています。改めて今日の会議が有意義になることをご祈念申し上げまして、開催地としてのご挨拶にさせて頂きます。宜しくお願い致します。

吉岡) 赤穂助役様、有難うございました。それでは続きまして、金沢市の遠藤技監より、本日のテーマでございます「伝統と創造によるまちなか再生」に関連して、金沢のまちづくりの現状・課題・取組みといったものについてプレゼンテーションを行って頂きます。遠藤技監、宜しくお願い致します。

遠藤) 金沢市技監の遠藤でございます。時間も限られておりますので早速説明に入らせて頂きます。市長が私用で出席できないということで、昨日戦略チーム等の皆様と市長との懇談が行われました。その場で市長の考えはだいぶお話されておりますので、このプレゼンにつきましてはだいたい皆様方ご指摘の通りでございますので、またちょうどディスカッションの時間をとりたいということでございますので、適宜端折りながら説明させて頂きますので宜しくお願い致します。
 まず「まちなかの現況と課題」ということでございます。まずまちなか区域というのは、だいたい旧藩政期の市街地に相当してございます。それからこちらが中心市街地活性化の方の計画でありますが、重点整備区域でございまして、川の間に限定されております。また丘陵部の方は除外されております。だいたい住宅地になってございます。それから次、金沢も他の地方都市と同じように郊外化が進んでおりまして、都心部がかなり衰退してきております。少しデータをお示ししたいと思います。こちらが人口の推移でございまして、35年頃には22%おりましたのが、これ中心市街地の重点整備地区でございます。22%が5.6%に減ってきているということです。それから小売商業につきましても、こちらの棒が商店数でございますけれども、これ全市域と中心市街地です。これがだんだん下がってきておりまして、また商品販売額につきましてもこのように下がってきております。これだとよく分かりませんけれども、シェアにつきましてもやはり下がってきております。それから事務所従業者数でございますけれども、こちらも同様な傾向でございます。こちらも中心市街地のシェアが下がってきている。それから特異な現象としまして、空室が相当増えております。こちら南町といいまして、武蔵ヶ辻と香林坊の間の区域でございますけれども、賃料はそれほど最近は下がっておりませんが、空室率がこのように最近急上昇しているということでございます。それから都心の問題としましては、慢性的な渋滞が起こっている。
 それから次は「都市全体の整備の状況」につきまして若干ご説明致します。金沢の放射環状道路の整備ということで、広域的に、こういう風な外環状道路ですね、それから中環状、内環状ということで整備をしておりまして、外環状の山側につきましては平成18年3月春に全線開通の予定でございます。それから土地区画整理事業の推移でございますけれども、1950年頃の市街地がこの辺でございましたけど、あと区画整理を郊外においてやっておりまして、このように区画整理地域が増えております。市街化区域の4割位が区画整理で整備されているということでございます。それからそれに伴いまして市街地がこのように拡大しておりまして、主に南部・西部・北部の方向に拡大してきております。
 それから「まちづくりの方針」ということで、金沢は保存と開発の調和というのを大原則のような形にしておりまして、それについて若干ご説明致します。こちらの緑の所が保存する区域で、だいたいこのような台地丘陵。斜面緑地なんかもございますけれども、そういう所を含め旧市街地については保存する区域。それから都心軸に沿った区域と駅西につきましては、近代化して開発する区域ということで区分しております。まちなかの区域はだいたいこのような範囲になっております。それで、保存につきましては、伝統環境保存条例というものを1968年に制定しまして、これは日本でも早いものでございますけれども、景観条例という形で近代的景観創出区域も含めて保存と開発というものを区分しながらやっていこうということで、それぞれの区域につきましては地区をかなり細かく区切りまして景観形成基準をきちんと定めております。届出、指導助言、勧告で守っていくということです。その後、個別のテーマにつきましてこのようなたくさんの条例を制定しまして、色んな目的毎に色んな保全をしています。その一例を出しますと、伝統的建造物郡保存条例を1977年に制定しておりまして、実際に区域指定がされましたのは、地元の同意をみまして2001年にひがし茶屋街が指定されております。それから、こまちなみ保存条例ということで、これは文化財ということではないんですけれども、ちょっと良い街並み、古い街並みを保存するということで、こまちなみという名前にしておりますけれども、こういう建造物の修景整備の助成をしております。それから用水保全ということで、従前はこのように暗渠化されておりまして、上が駐車場になっておりまして、景観的に非常に思わしくないということだったのが、これは同じ場所ですけれども、こういう風に開渠化しまして、修景整備して歩道も作って散策出来るようになった。向かい側にはこのように商店街がちょっと経営されてきている。こちらの用水の方も商店街というか飲食店といったものが整備されてきている。
 それから本日のテーマであります「まちなか再生の施策」ですけれども、3つの区分でご説明致します。まずはまちなか都心軸の賑わい創出ということですけれども、アートアベニューということで駅から21世紀美術館までの道路を名付けまして、そこで色んな施策を行っております。こちらが駅で、それから再開発がある武蔵北ですね、近江町、武蔵ヶ辻、ITビジネスプラザ、賑わい回廊、この間が賑わい回廊という地域にしておりまして、この駅から21世紀美術館までをアートアベニューという名前にしております。それから緑陰道路という国の施策がありますが、それをやっております。それで、こちらの方は昨日ご視察頂きましたので省略させて頂きます。こちらも同様でございます。ITビジネスプラザも昨日視察頂きました。オフィスアートということですけれども、こちらの特に南町都心賑わい回廊、武蔵ヶ辻から香林坊までの間がオフィスの空室で溢れているということで、そこをなんとか賑わいのある所に回復したいということで、こういうオフィスのショーウィンドウを活用しながら色んな展示、美術品等の展示をしております。それから都心ゼミナールということで、こちら大企業の支店が多いわけですけれども、その支店長さんなんかを講師にしまして、学生に対してビジネスゼミナールを開催している。これも賑わい回廊の空きビルのスペースなんかを借り上げて実施しています。それからこれは先程言いました緑陰道路ですけれども、国・県・市がそれぞれ分担しながら、また地元の商店街なりまちづくり団体と共同しながら、色んな緑の豊かな道路空間を作るという施策を行っております。それから、まちなか彫刻作品国際コンペですけれども、こちらも先程のアートアベニューの中にコンペで選ばれた作品を展示するということで、あと、まちおこし推進ネットワーク事業といいますのが、関係各界、観光であるとか交通事業者であるとか商店街とかという所と行政が一緒になってそういう事業をやっていくということです。それからこちらも昨日ご視察頂きましたけれども、このねらいというものは、文化や産業に刺激を与える。それから市民に開かれた公園のような身近な施設にする。世界の近現代の多様な美術の表現形式を紹介する。それから新しい作風の金沢工芸を発信して教育とコミュニケーションの場にするということで、年間30万人の入館者を目標としております。
 それから「まちなか定住推進施策」ということでご説明致します。このような定住推進施策がありますけれども、今日は時間が限られています。この4つにつきましてご説明致します。まずまちなか住宅建設奨励金ですけれども、これは新築あるいは購入の場合に借入金の10%あるいは15%を補助するというものでございます。限度額は200万円、300万円となっております。ここでも、バリアフリー基準に適合するとか、金沢らしい環境への配慮をするものについて、という条件をつけております。それからまちなか共同住宅ですけれども、こちらは分譲・賃貸・共同建替ということで、マンションを建てる側に補助するものでございまして、1戸あたり100万円定額、商店の場合はm2当たり1万円ということです。これも、高さの調和とか駐車場・緑地の設置、バリアフリー基準といった条件をつけております。それからまちなか住宅リフレッシュ支援ということで、これは今住んでいる住宅で昭和20年以前に建築されたもの、その伝統的な外観が維持されているものについて、こういった形の修復に対して補助しているというものです。これはリフレッシュでやった事例でございます。二階の壁を修景配慮にしたり、以前はこういうものだったのをこういう格子戸にしたり、それから空調関係には覆いを設けているというような形です。それから生鮮三品、魚屋・八百屋・肉屋ですけど、そういったものを含む食料品店についての新規出店を促進するために、改装費と家賃に対する補助を致しております。それで、住宅に関してはこういった形での実績がございます。住宅については、従前の居住地としてはまちなか区域からの移転という人も多いですが、まちなか区域外から新しくまちなかに入ってこられた方が25%いらっしゃる。それから従前駐車場・空地であった所に住宅が建った所、あるいは従前他の人が住んでいた所もこれだけあるということです。
 「都市交通施策」ですけれども、バス専用レーンというのはかなり充実しておりまして、主要なバス路線につきましてはバス専用レーンを実施しております。特に誘導員を設けてバスレーンが守られるように監視しているということです。それから昨日移動の際にフラットバスという車輛を使って頂きましたけれども、その車輛はこういう3ルートで運行しております。15分ヘッドで100円ということです。これはその風景でございます。それから朝の通勤時のパークアンドライドをやっておりまして、規模はそれほど大きくはないですけれども、南部方面につきましてやっております。だいたい車で行くよりも10分弱バスの方が速いということになっております。仕組みですけど、駐車場に止める時に駐車料金を払わないで、これは店舗の駐車場を借りておりますので、その商品券を買って頂くということで、利用者においては実質無料であるし、店舗の方はお客が獲得できるというメリットがある。それから交通利用者につきましては、通勤定期が4割引きになるということです。次に荷捌き駐車場の方へいきますけれども、オフィスの活性化、業務活動円滑化ということで、荷捌き駐車対策を色々とやっております。それから、最近中心市街地の小規模駐車場が非常に増えておりまして、こんな形で存在する状況です。増加率は、5台以上の駐車場がだいたい箇所数で15%、台数で8.5%。6年位でそれだけ増えているということです。実際、現在宅地の14%を占めている。傾向としては小規模化が進行して、無秩序な配置が進行しているということでございます。そういうことで今、主として民間の方も含めて委員会を設けまして対策を検討しているところでございます。
 それから、都心の再生といいますのは、市全体あるいは県全体の産業の活力と非常に関係がございますので、そういう施策をどうしているかということをご紹介致します。まず「金沢ファッション産業都市宣言」ということで、これまで色々と施策を打ってきまして、特に最近、金沢美大と中国の北京清華大学との交流とかが始まることになりましたし、新しい美術館がオープンする。それからeATKANAZAWA というのは、エレクトリックアートということで、色んな専門家を呼んで色んなイベントをやるとか、セミナーとをやっているわけですけれども、そういうものを8回終えまして今度9回目ということで、かなり人材の育成もできてきたということで、色んな条件がそろってきたということで、金沢新産業文化の創生に向けて「金沢ファッション産業都市宣言」ということをこの前の6月議会で決議して頂いたところであります。それから環状大学都市ということで、大学が非常にたくさんございまして、主に郊外部にありますけれども、外環状道路に沿った形で位置しております。17大学・短大がございまして学生数3万3千位おりますので、平成18年3月にこちらの環状道路が開通致しますので、それを活用しながら、そういう大学が持っている知恵を活かしながら、都市圏の全体の活力を向上していきたいという風なことを考えております。
 そういうことで、全体をまとめてどんな形でまちなかを再生していくかということでございますけれども、だいたい5つのポイントでまとめておりまして、1つは暮らしの良さを実感する定住促進の施策を打っております。それから、個性を活かした美しいまちづくりということで、色んな保全の施策をやってきている。それから、まちなかの交流活動の促進ということで、色んなイベントとかを組んでいる。それから、人・環境にやさしいまちなか交通の確立ということで、色んな交通施策の充実を図っていきたい。それから、特に都心軸につきまして、元気な商店街・都心ビジネスの形成ということで、色んな施策をこれからやっていきたいと思っております。私の説明は以上でございます。

吉岡) 遠藤技監、有難うございました。誠に短い時間で大変窮屈だったろうと思いますけれども、要領よくまとめて要点を的確にご説明頂けて本当に有難うございました。それではこれから都市再生戦略チームの皆様方に、ただいまのプレゼンテーションに関するご感想、あるいは昨日実際に現地を見て頂いておりますが、そのご感想などを伺いたいと思います。順次お願い致します。まず落合委員、宜しくお願い致します。

落合) 京都から参りました落合でございます。私は専門は社会学というようなことをやっていまして、この戦略チームは物を作る方だけの人ではなくて、ソフト面をする人達も入らなきゃいけないということで、私とか吉見さんのような社会学者が入るようになっております。今回来まして見せて頂いて、昨日すごく思ったことが「ここには住みたいな」ということなんですね。本当に住みやすいんじゃないかという風に思いました。伝統的な環境とそれからその先端的な文化、それが両方ともうまく調和している。私が住んでいる京都もそういう所だと言われているんですけれども、どうもギクシャクした感じがこの頃目立っています。それと比べてうまくいっているんじゃないか、住みたいなと思いました。特に昨日の夜に芸術村という所に行ってきたんですけれども、あんな良い環境で安く練習できるなんていうことは他の地域ではちょっと得られないことですよね。京都の中でもちょっと無理だと思います。大学の古い寮なんかを占拠して使っているとかそういうことでしかちょっとやれないと思うんですね。非常に羨ましいなと思いました。それからこの会場も気に入りました。なんか冷房がないとかいうお話頂いていましたけれども、私冷房嫌いなんですね。今あっちこっち冷房かかりすぎていますし、この位で良いんじゃないでしょうか。いっそネクタイも皆さんはずされたら本当に快適だと思うんです。
 実は私、この香林坊ハーバーに来てみたいとすごく思っていまして、どうして思っていたかというと、去年学生が卒業論文にここのことを扱いました。金沢出身で京都大学で社会学を勉強している学生が、ここのことで卒論を書いたんですね。お邪魔してお世話になった方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども。その時に、何故そんなに学生が参加するんだろうかとか、市民の方が熱心なんだろうかとか、そこの所の解明までがその卒論を読んでも今一つよく分からなかったんですね。それを知りたいという気持ちもあってやって来ました。色々と昨日見せて頂いて、うまくいっているという印象なんですけれども、それは香林坊ハーバーだけではなくて、金沢市全体の再活性化ということがうまくいっているんではないか。いろいろ問題もあるでしょうし、そのことを話さないとしょうがないんでしょうけれども、全国で比べてみるとうまくいっている例ではないか。それで、それは何故なのかというのをちょっと考えてみました。1つはもちろん早くから条例作り等を進めてきた市の姿勢ですね。それはやはり大きいと思うんです。昨日市長とお話しまして、すごいアイデアマンで、びっくりしました。「車を止めたら、広見のような所で人々が集うようになるんじゃないか」というお考え。「ただ車や廃棄ガスを規制する」という風に言う方はいらっしゃるけれど、「広見で人々が集うようになるから」と仰る市長さんって素敵だなという風に思いました。市長さんも素敵だし、市もそうやって進めていらした。京都市はあんまりそれに比べるとうまくいっていないみたいだなとか思ったんですけれども、そうしたら市長さんが一言仰いまして、「そうやってアイデアを出したりできる理由は、金沢に大学があるからですよ」ということなんですね。「大学があって、その大学の先生達が色々とアイデアを出して下さる。それを活かしているのが金沢の強みなんです。」と仰いまして、そうすると今度は「京都は駄目だ」と言っている私は自分に返ってくるんですね。京都市は駄目だなといつも思っていたんですけれども、「ああそうか、私達が駄目だったのか」と反省させられました。それがうまくいっている理由の1つ目ですね。
 もう1つは理由というか、とにかく人が動いているということだと思うんですね。物を作っても人が動かないというようなまちづくりの失敗例がたくさんあるんですけれども、こちらは実際に水路の蓋をとったら商店が活性化する、人が通るようになる。これは大変なことだと思うんですね。それから管理を学生に任せてみようかと言ったら、香林坊ハーバーとか芸術村とかそういう所を皆さんがどんどん利用されている、支えていらっしゃる。これは当たり前のようにみえて、非常に希有なことだと思うんですよね。それが何故できているかということが、やはり重要なところだと思います。身の丈にあった規模の開発をしてきたからというご説明も昨日頂いたんですけれども、それもそうだと思うんですね。しかし住民参加を促したから参加するものじゃないわけですから、そこがどうしてなのかがやっぱりもう一つ分からなくて、伝統的コミュニティの強さというようなご説明も頂いたんですけど、もう一つよく分からなくて、それを今日は直接伺ってみたいと思って参りました。どうしてまちづくりに積極的になるんでしょうか。そのあたりを教えて下さい。以上です。

 
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