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全国都市再生の推進
歴史資産を活用して街なか再生を!
埼玉県
市民参加による歴史的建造物の現況調査
地元建築家による歴史的建造物の実測調査及び再生・活用設計提案
レンガ倉庫におけるチャレンジ・ショップ等の実験
調査名 街なか再生に向けた市民による歴史的建造物調査・活用実験等
取組の概要

埼玉県深谷市では、積極的な市民参加による都市マスタープラン策定を通じて歴史的建造物の保全・再生・活用と土地区画整理事業の実施の両立が街なか再生の課題として認識され、関係主体にその対応が求められている。
本取組では、深谷の街なかに残る歴史的建造物の現況を大雑把に把握した上で、主要な歴史的建造物の実測調査及び再生・活用設計提案を行い、そのうちの1つの再生・活用を目に見える形で実験的に実施した。取組を通じて、歴史的建造物の保全・再生・活用に対する市民及び歴史的建造物所有者の意識を高めると同時に、所有者、地元建築家、地元企業の協働による歴史的建造物の再生・活用をNPOが調整・推進する仕組みを構築することができた。

取組内容
(1) 市民参加による歴史的建造物の現況調査
  特定非営利活動法人深谷にぎわい工房(以下、「NPO」と記す)会員による現況悉皆調査と市民を対象とするNPO主催の「深谷まちづくり塾」で構成された。
  まず、現況悉皆調査は、歴史的建造物の残存状況を考慮して中央土地区画整理事業区域全域と中山道沿道区域を対象に実施された。調査員(NPO会員の有志)は、2?3名の班に分かれ、築後経過年数50年以上と見られる建造物について、公道から建造物の分類、構造、階数、入口の方向、外壁仕上げ、屋根の形式と材料、意匠(うだつ、軒先装飾、開口部)の各項目を記録し、写真撮影を行った。合計207件の調査結果は、データベースに入力され、検索・閲覧可能な状態とされた。
  次に、市民を対象に、「街並み探検」と「お宅訪問」で構成される合計3回の「まちづくり塾」がNPOによって開催された。「街並み探検」では、現況悉皆調査結果を見ながら街なかに残る歴史的建造物207件を公道から見学し、各建物の魅力を参加者の主観に基づき5段階で評価する「魅力度チェック」を行った。そして、「お宅訪問」では、7件の歴史的建造物の所有者を実際に訪問し、建造物の中を見せて頂き、建造物自体の情報、建造物に関わるエピソードや生活史、街なかの生活に対する思い、土地区画整理事業に対する意見についてインタビューを行った。
(2) 地元建築家等による主要歴史的建造物の実測調査及び再生・活用設計提案
  主要歴史的建造物について、NPOが地元建築家グループとの協働で実測調査及び再生・活用設計提案を行うものである。これに先立ち、NPOと地元建築家グループは、対象候補10件の所有者に、歴史的建造物の物理的・文化的・社会的情報や土地区画整理事業に対する考え方、実測調査及び再生・活用設計提案の可否等について、インタビューを行った。そして、その結果に予算及び時間の制約、予想される効果等を加味した検討の末、5件の主要歴史的建造物を実測調査及び再生・活用設計提案の対象とすることとなった。
(3) 柳瀬商店レンガ倉庫におけるチャレンジ・ショップ等の実験
  NPOは、2003年度から、1933年に建築された3階建ての柳瀬商店レンガ倉庫を保全・再生・活用するプロジェクトを展開していたが、倉庫を本格的に活用するためには、改修工事が必要とされていた。そこで、NPOと地元建築家グループは、所有者の承諾を得た上で、柳瀬商店レンガ倉庫の用途を「倉庫」から「集会所」に変更することを前提に、消防署との協議を経て、改修を地元企業に発注することとした。
  改修工事に先立ち、立ち入り不可能となるレンガ倉庫の2階及び3階の片付けがNPOによって、清掃が地元企業によって行われた。なお、片付けの過程で発見された昔の金物等はオークションで売り出され、その売上金は改修の追加資金として利用された。
  改修工事完了後、柳瀬商店レンガ倉庫におけるチャレンジ・ショップ等の実験の第一弾として、市民向けイベント「深谷の懐かしい未来を探る」が2日間に渡って開催された。このイベントでは、(1)地元建築家グループによる5つの歴史的建造物の再生・活用設計提案の展示、(2)同発表・討論会、(3)NPOの取り組みの報告、(4)地元企業による深谷名物・煮ぼうとうの無料配布、(5)深谷駅、柳瀬商店レンガ倉庫等をロケ地としたテレビ・ドラマの上映等が行われ、歴史的建造物の再生・活用が目に見える形で多くの市民及び歴史的建造物所有者に提示された。
まちづくりへの効果
H17年4月1日現在
再生・活用設計提案の対象となった歴史的建造物の所有者の一部がその保全・再生・活用を今後前向きに検討して行くことを決めたこと、対象とならなかった歴史的建造物の所有者の1人が同様の設計提案を強く希望したこと等から、本調査の目的は達成され、本調査の実施により街なか再生の道筋の部分が見えて来たと言える。
今後の課題は、本調査で構築された、所有者、地元建築家、地元企業の協働による歴史的建造物の再生・活用をNPOが調整・推進する仕組みを持続的に動かすための資金及び人材の確保、そして、こうした活動と連携した土地区画整理事業等の実施である。今後の地区計画策定プロセス等に本取組の成果が活用されることに期待したい。
応募団体名 特定非営利活動法人 深谷にぎわい工房
リンク 特定非営利活動法人 深谷にぎわい工房(埼玉県深谷市)
http://www.npo-fnk.org/
部局/担当者名 村山顕人
連絡先 Emailアドレス : murayama@npo-fnk.org
推薦団体名 深谷市
 
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