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多摩ニュータウンにおける高齢化社会に対応した移動円滑化方策調査 |
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昭和40〜50年代に団塊の世代を中心に入居した団地では今後急速な高齢化が進む。また、地形に起伏が大きく、丘の上の住棟から路線バスが走る谷部の幹線道路までの段差が大きく、高齢者などの外出・移動に大きな障害となっている。これからの高齢化社会にふさわしい快適で利便性の高い交通・移動システムとして、タクシー車両を活用し、団地の敷地内に送迎し、多摩センター施設まで往復する定時型(30分間隔)の交通システムを3カ月強にわたり運行。利用者は会員制とし、会員は電話予約し、住棟近くの乗り場で乗車。複数の乗り場を経由する相乗り利用が基本で運賃は一律300円。延べ約380人の利用があり、今後の具体化に向けた貴重なデータが得られた。 |
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過疎地で路線バス廃止等に対応するためのシステムは全国各地で普及しつつあるが、都市型のDRT(予約型乗合の需要応答型交通システム)としては日本で初の試みである。
運行はタクシー会社に委託して行ったが、車いす利用に対応するため地元移送団体(NPO)の協力も得た。
約180人の会員を対象とし、予約センター、予約・運行管理システム、きめ細かな乗り場設置などかなり本格的なシステムとして実施した。実験当初は無料運行として一度は乗って、体験してもらうことに注力した。
会員資格には特段の制限を設けず、高齢者から幼児連れの家族まで幅広い利用があった。
同様のシステムがすでに普及段階にあるヨーロッパでも定着には2〜3年がかかるといわれ、その意味では今回の実験はシステム立ち上げ当初のプロセスを確認するというものであり、利用者数の多寡で評価するのではなく、どのような層が現状の交通移動に制約を感じ、新たなシステムのニーズを持つのかという質的な分析が重要である。
このため実験前・中・後とアンケートやヒアリングを行い、高齢者等の交通制約の状況や今後のシステム具体化に向けた課題や方向性を見いだすことができた。今後は、団地住民や商店・医療機関等の能動的な参加によるシステム検討が必要と考えている。 |
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ニュータウンの高齢化については住民の間でも問題意識が高まっており、その意味では今回の交通社会実験への関心は高かった。
高齢者率自体はまだ全国平均よりも低く、超高齢社会に移行するまでの時間は残されているが、高齢化のスピードはかなり速いものとなる。
そのような中で今回のような交通システムは、まず外出意欲は高いが手段に困っている高齢者・移動制約者の支援に有効であるとともに、高齢化とともに外出意欲や機会が減退することに対して、健全で自立的な生活を支援することの効果が大きい。これにより、多摩センター地区などの活性化に資することが可能であり、高齢化社会におけるニュータウンの持続的なコミュティの維持に資することができる。
また、高齢者に限らず、子育て家族の幼児連れ外出、こどもたちの塾通い、深夜帰宅の相乗りなど、多様な市民生活に資するための応用も考えられ、単なる公的サービスと捉えるのではなく、タクシー事業者等の民間にとってのビジネスチャンスが考えられるため、路線バスとの整合性を図りながら、運行に向けた検討を進めていく。 |
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多摩市 |
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都市づくり部 道路交通課 |
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TEL : 042-338-6826
Emailアドレス: murakami-hideyo@city.tama.tokyo.jp |
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