かつて「大津百町」と呼ばれ栄えた大津市の中心部は、空洞化が深刻な問題となっている一方で、戦災等を免れたことから幸いにも町家を始めとする歴史的な資源が数多く存在する。このような中、歴史的な資源を活かして成功している他都市の例もあり、大津市も中心部の再生方策を模索していたところ、都市機構が「都市再生大学校」というプログラム(住民、学生、行政職員、専門家等が一定期間集い、ワークショップ等を通じてまちづくりの機運醸成や課題解決の提案を行うバーチャル大学)に取り組んでいることを知り、共同で開催することとなった。 平成16年度「全国都市再生モデル調査」では、これまで1度も調査が行われていなかった中心部の町家の建築年代・様式や利用意向等を学生ボランティア等が各戸訪問アンケート方式により把握した上で、まちづくり、建築、デザイン、経済等といった様々な分野の大学生(県内外の8大学から21名)の参加を得て「都市再生大学校」を開催した。外部の若者が実際に空き町家に短期居住(3泊4日)することで、訪問者の視点と生活者の視点の両面からまちをモニタリングすることが可能となったほか、地域住民や他都市のまちづくりのリーダー、行政職員等による講義、町家の改修工事、まちあるき、住民等との交流会・意見交換会等といったカリキュラムを通じた事業提案であったことから、住民から実現性が高くかつ独創的と評価された。 さらに、地域で活動されている方(11名)や行政職員(10名)を含めた意見交換会を2回行い、学生提案に検討を加えた後、市民フォーラムを開催(聴衆30名程度)した。今後も継続的にまちづくりの学習の機会をつくって欲しい、街並み再生には市民の理解が必要等という声を受け、平成17年度も継続的にワークショップを行い、行政・市民・学生が一体となって町家の再生や利活用を実験的に進めていく予定である。