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事例 企業

東京、地方、在宅関係なく「日本全国」で採用する。社員の7割が地方在住!

コロナ前から「日本全国」での採用を実施していたメンバーズエッジカンパニー。全国での採用を始めたきっかけや、出社・在宅問わずにどこでも働けるようにするための工夫などを伺いました。

塚本 洋さん

株式会社メンバーズ
常務執行役員、メンバーズエッジカンパニー社長

地域

東京オフィス(本社)、さとやまオフィス鯖江、その他札幌・仙台・神戸・北九州・福岡 

「地方創生テレワーク」に取り組む背景

3つの課題を解決するために選んだのが地方での採用!

メンバーズエッジカンパニーは2017年にメンバーズグループの子会社として設立され、当初からグループと同じ東京、仙台、北九州に拠点がありました。そこから採用拡大を目的として独自で福井県鯖江や福岡にオフィスを出していきました。地方での採用を行なった理由は3つあります。まず1つ目は能力の高い人材が地方にもいるのだから、東京だけで採用するのはもったいないという採用戦略です。2つ目は社会課題の解決です。IT業界はピラミッド構造になっている傾向があり、特に地方では二次、三次の賃金が安い仕事を請けて、やりがいのある仕事が見出しにくいという格差が生じています。

事業を通してそういった社会課題を解決したいという想いから、地方で採用した人材にも、地方在住のまま東京採用の人材と同じ仕事を同じ条件で任せています。そして3つ目がエンジニアの求人不足です。地方ではエンジニアの仕事が少なくて、他の仕事をせざるを得ないという実態があることにも気づきました。

本社は晴海。東京湾が一望できる

取組内容

日本中どこでも働ける組織づくりは地方創生にもつながる!

地方の拠点で採用していく中で、「現地で採用するだけでなく、東京から地方に移住をするのも面白いよね」という話があり、自然豊かな里山オフィスを全国で探しました。そこで福井県鯖江市と出会い、オフィスを出すことになりました。福井県は幸福度や教育レベルが高く、鯖江市はオープンデータを活用した取り組みが面白いということに加え、市の担当者が物件を一緒に探してくれたり、採用イベントに一緒に出てくれたりと、箱を用意するだけでなく情熱を持って一緒に取り組んでくれた姿勢が鯖江市を選んだ理由でした。実際に鯖江のオフィスで働いているエンジニアの大友さん(社内のベストクリエーター賞を受賞)は、大阪からUターン転職をしました。前職では出張が多くストレスを抱えることもありましたが、現在は自宅から車通勤で、海外のお客さんともリモートで対応できる働き方にシフトしました。

私たちはアジャイル開発という手法を取り入れて、離れた拠点のメンバーとチームを組んで開発を行なっているので、拠点でも自宅でも業務への影響はないのです。2018年から「日本全国」を対象にフル在宅の社員も採用し始めました。その際に、オフィスにいる社員が多く、1人だけリモートで仕事をしている「大勢:1人」という状況をつくらず、「オフィス:リモート:自宅=1:1:1」でどこにいても全員がリモートで、個としてつながっている状態を工夫してつくっています。アジャイルはそういうフラットな思想であり、私たちのカルチャーにも通じています。

鯖江ブランドのフレームがお似合いの塚本洋さん

また、チーム以外のメンバーとのコミュニケーションをとるために、毎朝のラジオ体操や勉強会、コーディング大会などをオンラインで開催しています。仕事以外のコミュニケーションを促すのには、日頃の感謝を伝えるピアボーナスの「Unipos」というサービスを導入しています。社員の利用率は約80%と、利用企業の中でも上位の方だそうです。コロナ前では全社員が集まる総会を実施して、リモートとリアルをバランスよく組み合わせていました。

私たちは日本全国フラットに、生涯成長し続けるキャリアをつくり、エンジニアの価値を高めて、幸せに働けるプロのエンジニア集団をつくっています。私たちが成功している姿を示せれば、同じような方法を選択する企業が増えていきます。そして、同じような働き方が広がり、働き方の選択肢が増えて、地方におけるキャリアが構築され、最終的には地方創生につながるのではないかと考えて取り組みを推進しています。

取り組みの結果

現在、オフィスは札幌から福岡までの7拠点になりました。完全フルリモートの社員もいて、地方在住者は社員約150名の7割に達しました。会社の移住支援制度を活用して、札幌の郊外に移住し、趣味として農業を楽しみながら働く社員もいます。また、自分の希望する場所で働けると通勤ストレスが減るため、子育て中の女性エンジニアの採用も増えました。その結果、昨年度の離職率は3%と、IT業界の中ではかなり低い数値だと思います。

旅館として使用されていた空き物件を活用した福井県鯖江市のオフィス

今後の展開

アフターコロナを想定して、年に1回、好きな場所で出張扱いで合宿できる制度を作りました。普段は分散型で働き、時にぎゅっと濃く 集まれるような環境をつくります。「日本全国」で採用することは、働き方の選択肢を増やし、東京の一極集中を解消できます。また、地方創生テレワークは、無理矢理に地方を打ち出すとか、戻らないといけない理由をつくるのではなく、どこでも働けるようにすることが一番の近道です。ただ、現状は一部の優秀なエンジニアの選択肢が増えたに過ぎません。社会課題解決という点では他の職種にも広げることが重要で、メンバーズとして新しい事業をつくり、このモデルを横展開し、どんな職種でも地方での働き方をつくっていきたいと思います。

(取材日:2021年9月15日)

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