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事例 働き手

これからは子どもの関係人口!親子ワーケーションで第二の故郷づくり

3人の子どもと親子ワーケーションで全国を訪れている今村茜さん。そこで痛感したことは子どもの受け皿が足りないこと。親子ワーケーションを広めるために新規事業を立ち上げました。実際の取り組みや課題などを伺いました。

今村 茜さん

株式会社毎日みらい創造ラボ/ 毎日新聞記者
新規事業担当/Next Style Lab主宰 /ワーケーションプランナー

地域

北海道斜里町、岩手県山田町、埼玉県小鹿野町、千葉県南房総市、鳥取県大山町・南部町 等

地方創生テレワークのきっかけ

「また会いたい」と思える人との出会いがワーケーションの醍醐味に

2017年、私が毎日新聞の経済部の記者だった時に、日本航空株式会社がワーケーションを導入しました。その記事を書きながら、「なんて面白い働き方だろう。私もやってみたい」と思うようになったものの、夫は多忙で子どもは小学生と保育園児なので行くとしたら自分1人で子どもを連れて行くしかなく・・・。

翌年の夏休みに和歌山県で親子ワーケーションが初めて開催されたので参加しました。親がリモートワークをしている間、子どもたちは水族館などに県の方が連れて行ってくれ、親子とも楽しい経験となりました。そして次はテレワーカーの子どもが地元の学童に行けるという、知床がある北海道の斜里町へ。ここでは町の方が子どもたちを親戚の子のように受け入れてくれて、それが親として嬉しくて、第二の故郷のように感じられ、子どもが「また会いたい」と思う人がいるのがワーケーションの醍醐味だなと。それでいろいろなところでやるようになりました。

株式会社毎日みらい創造ラボのオフィス

取組内容

子どもと一緒に地域と交流できる未来に向けて親子ワーケーションを事業に!

これまで個人的に20箇所行きましたが、子どもの受け皿がなかなか見つからず。ないなら自分でつくろうと思い、2019年秋から毎日新聞の新規事業として開始し、毎日新聞が創業支援をするためにつくった「毎日みらい創造ラボ」に出向して、事業を行なっています。 毎月オンラインでイベントを行い、親子ワーケーションのイベントに200人の方が申し込んでくれて、需要があると感じました。また情報を得られる場所がないという意見があり、Facebookグループを立ち上げ、600人(2021年10月現在)が参加しています。

そこから実際に親子ワーケーションの企画・運営をはじめ、今年の春休みは、茨城や京都など3箇所でイベントを行いました。色々な自治体・事業者の方からお声がけいただき、コロナで延期になっているものもありますが、親子ワーケーションの企画・運営やオンラインでの情報発信、検証やアドバイザリー事業を行なっています。テーマも色々で、食育や女性がまちにくるきっかけづくりなど、親子ワーケーションという切り口から、新しい人の出会いや関係人口が創出できるのだと思います。

子ども達にとって大自然と向き合える機会は貴重な経験

関係人口づくりでワーケーションを始めている自治体も多いですが、子どもを巻き込むことで長い付き合いが生まれます。その子にとって第二の故郷になり、将来移住の選択肢になるかもしれません。短期的なメリットとしても単純に1人より家族で行く方が人数面で効果も大きい。ただ親子ワーケーションが普及するためには、いくつか課題もあり、まず未就学児の預かり先として地域の保育サービスが使えたらと思います。次に小学生以上では欠席扱いとなるため、長期休みしか行けないという制限がある。ここを現地の学校に体験入学で出席扱いとなれば、時期の制限もなくなるだけでなく、双方の子どもにとって世界が広がる経験になると思います。

実際、昨年リモートで岩手県山田町の小学生と地域活性化策を考えるプログラムに参加しました。リモートの参加者は大人でしたが、現地の子どもたちが外からの視点で地域の価値に気づき、「最初私は山田町への好き度は全然なかったけど、今は好き度100%です」という感想を言ってくれました。これが実際に子どもたち同士の交流になったら、より双方にいい影響があると思います。さらに、社内の反応もコロナをきっかけにリモートワークが浸透して、ずっと在宅をしているなら環境がいいところもアリだよねという声が増えてきました。新規事業を推進している身としては、社内の理解や応援は親子ワーケーションの成果に欠かせない要素であると思います。

取り組みの結果

うちの子どもたちは旅行よりワーケーションの方が楽しいと、「あのおじちゃんに会いたい!また行きたい!」ということで和歌山、知床には3−4回行きました。再訪するかどうかは現地の人とのつながりが大切な要素になります。事業面では先日、「鳥取県ファミリーワーケーションプランナー」に就任しました。また、北海道富良野市や埼玉県小鹿野町、新潟県糸魚川市や長崎県の各市町などとも一緒に事業を推進しています。様々な事業者や自治体からお声をいただく機会が増え、親子ワーケーションの可能性を実感しています。

親子ワーケーションを経て、いつか多拠点居住をしてみたいと話す今村茜さん

今後の展開

実際に自分が企画する側になって、親が仕事に集中できる環境をつくることの大変さを実感しました。そこで必要なのは子どもの見守り要員です。ただ、地域だけでは必要な人数確保が難しく、東京から連れていくとコストがかかる。そこで地域での複業と組み合わせて、親は地域企業で複業を行い、そこで得られるスポンサー費を子どもの見守り費に回す取り組みができないかと考えています。また地域の子どもたちとの交流を増やしたいと考えていて、体験入学で仲良くなるとそのまま大人も交流するきっかけになる。子どもの教育にとっても、関係人口づくりという点でも、メリットが大きいので、受け入れ側の学校との取り組みを進めていきたいと思います。

(取材日:2021年8月19日)

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