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事例 自治体

県一丸となって取り組み、副業・ワーケーションで選ばれる自治体に!

「テレワーク」を軸に都市部人材の副業やワーケーションに対する施策、関係人口創出、移住対応などを県主導で取り組み、成果が生まれている鳥取県。その取り組みの具体的な内容と成果の要因などを伺いました。

岡本 圭司さん

鳥取県 ふるさと人口政策課 関係人口推進室(2021年9月時点)

地域

鳥取県

地方創生テレワークのきっかけ

減り続ける人口と、不足するビジネス人材。そこで始まった「鳥取県で週1副社長」

鳥取県は全国で人口が最も少なく、約30年前から人口が減り続けています。60万人を下回った2010年にから、本格的に移住施策に力を入れ始めました。街がコンパクトで自然が近くにあって仕事と生活が両立しやすい上に子育て施策も充実していることから、子育て世帯を中心に年々移住者が増え、5年前からは2,000人を超えました。しかし、転職等を伴う移住はハードルが高く移住者数は頭打ちになるとともに、県内企業の高齢化や後継者不足も深刻な状況となりました。

どうやって地域を元気にしていくかを考えた結果、「テレワーク」を軸として副業やワーケーションによる関係人口対策を行うことになり、対策の一つとして2019年に都市部のビジネス人材が県内の企業で副業・兼業を行う「鳥取県で週1副社長」が始まりました。普段はテレワークで副業をし、必要な時には鳥取県に来てもらって企業で働くという、オンラインとオフラインを組み合わせた取り組みです。

うさぎの形をした岩ー白兎海岸ー

取組内容

県内外と連携し、副業・兼業やワーケーションを通して、鳥取県で「働く・暮らす価値」をつくる

「鳥取県で週1副社長」は、初年度は県内企業 14 社の参加、人材 1,363 名の応募があり、この数字に大きな手応えを感じました。翌年には県内企業の参加は 85 社、人材の応募は 1,239 名となりました。募集開始直後にサーバーがダウンしたほどで、大きなニーズがあると感じたため、これまで年1回の募集を今年は年 4 回の募集にしました。

2019年度から「とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点」と「鳥取県立ハローワーク」が連携し、全国初のマッチングプラットフォームを構築したことが成果の要因です。都市部から移住した人材戦略マネージャーを中心に、県内企業へのヒアリングや副業・兼業人材のニーズの掘り起こしも行いました。その上で都市部の人材の方から多くの応募をいただき、実施企業が課題解決の手応えを実感していただいたことで、県内の参加企業は増えていきました。今年度からは都市部の企業の副業解禁が3割を超え、テレワークがさらに広がることを見越して、残りの7割の方を対象とした「とっとり翔ける福業」(一般的な「副」業ではなく幸福の「福」業)というボランティアや特産品を報酬とした多様な関わりができる企画を始めました。

多様な働き方に合わせた八頭町のシェアスペース「隼(はやぶさ)Lab.」

関係人口創出の面でも、2019年からワーケーションの取り組みを始め、鳥取県はワーケーション自治体協議会で全国の自治体を引っ張る立場となっています。都市部の企業の声を直接聞くことができ、早い段階でワーケーション施策を観光再生に加えて、関係人口をつくる仕組みへ切り替えました。そこから「とっとり翔ける福業」や「ファミリーワーケーション」のアイデアが生まれました。県が推進する「ファミリーワーケーション」は片方の親が仕事をしている間、もう片方の親と子どもは観光をするのではなく、自然体験や地域の子どもたちとの交流等をしています。参加者にとって「滞在するならいい場所」から、「そこで働く・暮らすのに価値がある場所」になることを目指しています。

さらに副業を推進する県立ハローワークなどの部局と、関係人口づくりをしている部局の連携によって「ふるさと来LOVE(クラブ)とっとり」という会員制のコミュニティを立ち上げました。副業やワーケーションで鳥取に関わった人や、興味のある人を対象にオンラインとリアルのつながりをつくり、繰り返し鳥取に来てもらいながら、ゆくゆくは定着へと進んでいければと考えています。また、オンラインでの発信を増やしたことで、新しい副業という働き方やテレワークを使っての移住という成果が生まれていますので、PR もオンラインとオフラインを組み合わせてアプローチしていくのが、小さな自治体である鳥取県のベストなやり方であると考えています。

取り組みの結果

「鳥取県で週1副社長」企画は、2021年の前半2回の募集では、111社の求人に対して2,032人の応募がありました。また8月に開催した「とっとり翔ける福業」のイベントは、定員100名に対して170名の申込があり、今後開催する現地フィールドワークには予定の3倍の参加希望がありました。さらに企業単位で社員に県内で副業をしてもらいたいという声もあります。ワーケーション施設も県内に続々と増えていて、県内の過半数の13市町村がワーケーション推進を打ち出しています。まちや民間の拠点が独自に企業とモデル事業を進める動きもあり、理解が広まっていると感じています。

鳥取県庁・ふるさと人口政策課関係人口推進室の初代室長である岡本 圭司さん

今後の展開

県内のテレワーク拠点の活用に向けてソフト面を充実させていきます。テレワーク拠点を副業者や転職なき移住者のいる拠点に、さらに地域人材のテレワークの拠点にもしていく予定です。都市部の人材と地域の人材が交わることで、そこに都市部の人材にとっての「地域の企業や地域に関わる価値」が生まれます。知事の「ポストコロナのふるさとに」という言葉の通り、観光して消費する価値だけでなく、その人が現地で体験する価値、 具体的には働く・暮らすにつながる価値を示すことによって、関係人口を増やして地域を活性化していきたいと思います。

(取材日:2021年9月17日)

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