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事例 働き手

故郷の愛媛を盛り上げたいと移住!地域コミュニティをつくり起業を活性化

自らの出身地である愛媛県を盛り上げたいと、6年前に大阪から「転職なき移住」を行った税理士の稲見益輔さん。移住をして地域の人たちや情報のハブとなるコワーキングスペースやオンラインコミュニティの運営の取り組みについてお話を伺いました。

中央会計株式会社/稲見 益輔さん

中央会計株式会社 取締役 松山オフィス代表
税理士法人中央会計 社員税理士
マツヤマンスペース運営、たてヨコ愛媛運営事務局

地域

愛媛県松山市

地方創生テレワークのきっかけ

愛媛県を盛り上げるために転職なき移住を実現。地域の人と情報のハブになる!

2014年に「地方消滅」という本を読んで、「このままでは地方がまずいのでは?」と問題意識を持ちました。当時は大阪で働いていたのですが、地方に関する情報を収集する中で、故郷である愛媛県を何か盛り上げる活動がしたいと思うようになり、愛媛県に移住する決意をしました。そこから約1年間は準備期間として、地域の人とのつながりをつくろうと何度か松山に訪れて、起業関連のイベントや交流会などに参加しました。

会社に移住の相談をしたところ、「支店をつくってみれば?」と提案してもらい、1人松山オフィスとして転職なき移住をしました。愛媛県を盛り上げるためには「人と情報のハブになること」が必要だと思い、そのつながりの場として松山オフィスにコワーキングスペースを設置して、起業支援の会社も設立しました。税理士の仕事とコワーキングスペースの運営は相乗効果も生み出せると考えていました。

マツヤマンスペースのほっこりとしたアイコンでお出迎え

取組内容

自分が行動を起こせば地域が変わる!地域の人とのつながりをつくり、地域課題を解決する

松山に移住した後、所属する会社では大阪の仕事をテレワークで行っていましたが、移住する前からチャットツールでコミュニケーションする働き方だったので、特に支障はありませんでした。ただ社内で一人テレワークのため、月に1回は大阪へ行って直接コミュニケーションをするようにしていました。移住から6年が経過した現在、愛媛でのつながりで生まれた仕事が増えて、松山オフィスも3名体制となりました。それでもこちらだけでは対応しきれず、大阪のメンバーにテレワークで対応してもらうという当初とは逆の状況になりました。

コワーキングスペースの運営は、はじめは月に10回程度、交流会やゲストを呼んでのイベントを行って、地域の人とつながる場として認知を上げていきました。最初のイベントは参加者3名ほどでしたが、そこから約1年で延べ1,200名を超える人が参加してくれるようになりました。イベントをやり続けたことでコワーキングスペースの認知度が上がり、現在はweb検索などで来ていただく方も増え、120名の会員がいます。その中にはフリーランスの方や転職なき移住をした方も増えています。

立地はみかん色の市電も行き交う松山市駅前徒歩1分の好アクセス!

そのほかに、会社設立や起業支援を行っています。この仕事は自分の能力を最大限活かすことができ、愛媛を盛り上げることにもつながるので、今後もっと増やしていきたいと思っています。現在、世界中で開催されている「Startup Weekend(スタートアップ・ウィークエンド)」の愛媛版の開催を行っていて、実際に起業をした方も生まれています。

コロナ禍でコミュニケーションがオンライン中心となり、愛媛にいながら県外の人たちとつながる機会が増えたことをきっかけに、オンラインコミュニティで松山を盛り上げることができると思いました。そこで企業経営をされている方や会社員、公務員などいろんな人たちが集まる、広くてゆるいつながりのコミュニティ「たてヨコ愛媛」を昨年つくりました。はじめは地元企業の役員の方と情報感度の高い方を集めようと、最新の情報を深堀りする会からはじめました。そこから愛媛の地域課題をメンバーで解決しようと、アイデアソンを実施して12のプロジェクトが生まれました。2020年4月末には、コロナ禍で経営が大変になっている飲食店の料理をタクシーが運ぶという「宅タク便」というプロジェクトを立ち上げて、10名のメンバーで商工会議所と協力して地元企業などから協賛金を集め、9日間でサービスを開始しました。約2ヶ月間で2,000件弱の配送をすることができ、「地域の人たちがつながることで地域課題は解決できる」と実感しました。

取り組みの結果

「たてヨコ愛媛」のコミュニティメンバーは現在570名で、アクティブ率は約95%となっています。コロナ禍でオンラインでのつながりが増えたこともあって、県外の方が約30%の172名参加しています。地元である愛媛に移住して自分が行動を起こすことで地域課題を何か解決できるという意識が生まれたことは大きな変化でした。人口規模で都市部100人に対してこちらは10人くらいの感覚なので、行政や企業の方との距離が近く、プロジェクトを早く実行でき、自分が行動を起こすインパクトはより大きく感じることができています。

起業支援や会計税務のことなどを幅広く相談できる代表の稲見 益輔さん

今後の展開

「たてヨコ愛媛」のメンバー数は、現在のコミュニティの質を保ちながら2,000名を目指していきます。また、その中に起業コミュニティをつくり、他の地域からも「愛媛が盛り上がっている」といわれるよう、愛媛県内での起業を活性化したいと考えています。地方で起業する際の課題として、人口規模が少ない点がありますが、オンラインを上手に活用することで、愛媛での起業に対して都市部の方がテレワーク等を活用し「移住なき協力者」として参加できるので、「関係人口」を増やして起業を活性化していきたいと考えています。

(取材日:2021年11月15日)

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