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事例 働き手

地域に根付くために選んだ島暮らし。夫婦でテレワークをしながらゲストハウス運営で地方創生を

5年前に関西から愛媛県の大三島に夫婦で転職なき移住を行なった徳見さん。移住して見えてきた島の過疎化に向き合うためにゲストハウスの事業をはじめました。夫婦でテレワークをしながら事業を始めるきっかけや取り組み内容などを伺いました。

徳見 理絵さん

freee株式会社 プロダクトデザイン部 プロダクトデザイン4チーム マネージャー
株式会社オオミシマワークス 取締役

地域

愛媛県今治市大三島

地方創生テレワークのきっかけ

地方に移住したい気持ちを夫婦で確認して転職なき移住を実現!

結婚した年に私が仕事で開発していた「理想の暮らしを考えるワークショップ」を夫婦で実施した時に、「自分たちが元気で生活の基盤をつくれるうちに地方に移住したいね」という話になりました。地方でも縁のある地域が良かったので、夫の祖父母が暮らしている大三島への移住を決めました。

夫はプログラマーで、私はUI/UXデザイナーなのですが、島で転職先はなかなか見つけられないので、転職せずに移住ができないかと上司に相談しました。2015年頃は「働き方改革」が話題になっていたことや、私自身10年以上働いていて会社との関係性もできていたので、「業務に支障がないならいいよ」と言ってもらえました。ただ、いきなり移住するのではなく、まずは夫が週1で在宅勤務を行い、その後、島で1ヶ月間働いてみて問題がないかを確認しました。私は当時、遠隔で仕事をするのが難しい業務だったので、会社に相談して部署異動を行って2016年に移住が実現しました。

宿泊者は無料で利用できる、みかん小屋を改装したコワーキングスペース

取組内容

暮らしてみて実感した過疎化の現実!暮らし続けるために夫婦で始めたゲストハウス

島での暮らしを始めてみて、仕事はテレワークで問題なく進めることができました。リアルでコミュニケーションが取れないこともあり、アウトプットのクオリティを上げることに集中できた結果、生産性や効率も上がりましたし、テレワークがしやすいからと異動した部署から元の仕事に近い部署に異動しました。その後、ご縁があって夫が先に今の会社に転職したのですが、夫から会社のことを聞いていて素敵な会社だなと思い、私も同じ会社に転職をしました。コロナ禍だったこともありますが、転職してから基本、テレワークで仕事をしています。

大三島でテレワークをしてみて、「地方に仕事を持って来て働くスタイルは素晴らしい」と率直に感じています。犬を飼い始めて、朝、海岸を散歩しながら一日の仕事の予定を立てたり、朝早くに仕事をして午後は好きなことをする生活に変わりました。一方で、まちは過疎化が進み、周りで亡くなる人がいる、それに伴って空き家になった家が朽ちていくという現実を目の前にして、「この地域から人がいなくなってしまうのでは」と危機感を感じました。そこで人が集まれる場所をつくろうと、2017年に古民家を購入してゲストハウスの事業を夫婦で始めました。「一生、大三島で暮らしたい」という気持ちなので、同年代の方や気軽に会って話せる友達も増えていくといいなと思っています。

しまなみ海道の真ん中に位置する大三島は絶景スポットなど見どころ満載

ゲストハウスは最終的に島への移住を目的に、私たちのようなテレワーカーが働きながら滞在できるワークスペース付きの宿にしました。1棟目はリビング兼ワークスペースと寝室が同じ建物だったのですが、中期滞在を目指していたので宿泊スペースと仕事の空間を分けたいと考えていました。そんな時、県や市からコワーキングスペースをつくってテレワーカーを誘致する制度を始めると声をかけていただき、補助金や物件探しのお手伝いをしていだきました。たまたま1棟目の近くに理想の物件が見つかり、今年から2棟目とコワーキングスペースの運営も始まりました。

テレワークでの働き方によって通勤ストレスがなくなったことや、島暮らしなので休日も近所で楽しめる状況になったこと、さらに私の親も島に移住して子育てを手伝ってくれて時間に余裕ができたことで、夫婦で新しいことに挑戦できたのだと思います。ただ、本業もある中で私たちだけで事業運営はできないため、アルバイトの方を採用しています。その方はご夫婦で数年前にうちの宿に泊まったことがきっかけに大三島に移住したのですが、こういった方を一人でも多く増やしていきたいと思います。

取り組みの結果

移住する前は近所の人と仲良くしようとか、地方を盛り上げるために何か行動しようという地域活性に対する想いは正直ありませんでした。ただ、実際に島で暮らしてみると地域の課題が目の前にあり、「なんとかしたい」と課題に正面から向き合ってゲストハウスの運営などを始めて、自分の気持ちの変化を感じました。また、以前から人生100年時代に会社員だけをしていることに不安があり、自分で生活の糧を得られるようになりたいと考えていました。移住と絡めてとは考えていなかったですが、結果として自分たちの事業を始めたことで実現しつつあると思います。

大三島の良さを肌で感じてもらい、仲間を増やしたい、と話す徳見理絵さん

今後の展開

私たちが島の仕事をしなくても、テレワークで稼いだお金を島で消費することで島の方の生活に貢献できると感じました。そのため、私たちのようにテレワークができる、特にIT関連の方に来ていただいてIT村をつくりたいと考えています。ワーケーションや企業研修として利用していただき、島暮らしを体験しながら地方でも仕事ができると感じてもらい、地域のことを一緒に考えてくれる方と出会いたいです。今後は1ヶ月以上のお試し移住ができるようなシェアハウスをつくって、島暮らしに興味のある方が着実に次のステップに進めるようにチャレンジしていきます。

(取材日:2021年12月1日)

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