本文へジャンプ

事例 企業

DX企業として社員のウェルビーイングと持続可能な地域社会の実現を目指す

IT企業からDX企業への変革を目指し、「Work Life Shift」というコンセプトを打ち出した富士通株式会社。約1年かけて実行してきた3つの柱と、そこから生まれた地方自治体との持続的な地域社会の実現を目指した取り組みについて伺いました。

深町 弘明さん

富士通株式会社
Employee Success部 Employee Relation統括部 労務プロフェッショナル

地域

大分県

地方創生テレワークのきっかけ

IT企業からDX企業へ。ニューノーマル時代の社会のモデルケースに

私たちは2017年から働き方改革をスタートし、ワークライフバランスを意識してテレワークデイズや朝活、フレックスタイム制の見直しなどの取り組みを行なってきました。その後、富士通の 「パーパス」※ を実現するため、「IT企業からDX企業へ」変革することを掲げました。2020年、新型コロナウイルス感染拡大によって半ば強制的に働き方が変わりましたが、私たちはこれまで柔軟な働き方をしてきたことからスムーズにテレワークすることができました。

2020年7月には、新しい働き方のモデルケースとなるべく「Work Life Shift」というコンセプトを打ち出しました。これは「リアルとヴァーチャルの双方で常につながっている多様な人材がイノベーションを創出し続ける状態をつくるニューノーマルな世界において、『働く』ということだけではなく『仕事』と『生活』をトータルにシフトし、ウェルビーイングを実現する」と定義しました。

※富士通の掲げるパーパスとは、企業の存在意義や果たすべき役割のことで、当社は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を「パーパス」と定めています。

湯けむり展望台から別府八湯のひとつ、鉄輪(かんなわ)温泉を望む

取組内容

テレワークを基本に社員の自律的な働き方と、持続可能な地域社会の構築を目指す

「Work Life Shift」の柱は「Smart Working」「Borderless Office」「Culture Change」の3つです。1つ目の「Smart Working」は、時間と場所をフレキシブルに活用していくことです。以前までのフレックスタイム制のコアタイムを撤廃して、5時〜22時までをフレキシブルタイムとし、仕事の中断・再開も個人の裁量に任せるようにしました。また、テレワークを基本とする中で、単身赴任をする社員や家族事情(介護、配偶者の転勤など)を抱える社員向けに家族がいる自宅等で働くことができる「遠隔勤務」という制度を設計しました。これによって例えば、勤務先が東京で自宅が大分の場合、東京の事業所には出張として月に1,2回程度行き、それ以外は大分の自宅でテレワークが可能となります。この「遠隔勤務」を活用している社員は約1,500人に上ります。

2つ目の「Borderless Office」は、テレワークでどこでも働ける環境になった時、事業所「何のために行くのか?」が重要になります。通常業務や打ち合わせはテレワークで十分可能です。そこで事業所を社員が新しいアイデアを発想したり、コラボレーションする場所にしようと、「ハブオフィス」という呼び方に変え、フリーアドレスやソファー席、立ちスペース、カフェスタイルのスペースなどを導入して、社員が自分たちで考えて目的に合わせた環境で仕事ができるようにしています。

湯治宿をリノベーションした鉄輪温泉のコワーキングスペースa side満寿屋

3つ目の「Culture Change」は、従業員の高い自律性と信頼に基づいたピープルマネジメントにより、チームとしての成果の最大化や生産性向上を実現することを目的に、1on1会議や心身の健康サポートなどに取り組んでいます。また、より社員が自律的に働くことや固定された場所や時間にとらわれない働き方を実現するために、ルールを定めたガイドラインだけでなく、事例等を示した「プレイブック」も公開して、自分なりに働き方を考えて実行できるようにしています。

2021年3月には、大分県と地域課題の解決を図り、持続可能な地域社会の構築を目指して包括連携協定を締結しました。締結後には地方創生や地域活性などの目的で大分県に移住した社員は11人になります。その中で、ITを使って地域の障害者雇用をどう生み出すかというプロジェクトを行なっている社員がいます。このような「地方創生を目的とした移住の実現」を大分県と一緒にモデルケースをつくることは、社員にとっても、富士通グループ全体にとっても、地域社会にとっても意味があると考えています。

取り組みの結果

現在、社内のテレワーク率は約8割になりました。社員に「Work Life Shift」に関するアンケートを実施したところ、コロナ前と比べて、生産性を維持、または向上していると回答した社員が75%に上りました。さらに、通勤時間は月平均30時間減少し、社員の健康診断等の結果からテレワーク率が高まるほど睡眠時間が増えていることがわかりました。また、大分県との取り組みでは、ワーケーション施設を確保している県内温泉地の情報を社内に公開し、社員が自由に場所と時間を選んで働きながら地域と接点を持つことが可能になりました。

社内の新しい働き方、更には社会全体の働き方のモデルケースになれば、と語る深町弘明さん

今後の展開

2021年10月にDX企業としての働き方において、ワークとライフのバランスを取るだけではなく、時間や場所も自分で選ぶことでワークとライフでシナジーを出していこうという「Work Life Shift2.0」を打ち出しました。より社員一人ひとりが自分の働きがいを考えながら仕事することで、ウェルビーイングを実現する取り組みをしていきます。また、大分県などの地方自治体と一緒になって持続可能な地域社会を構築していきます。社員が自発的に地域の企業やコミュニティと協働して社内実践やボランティア活動、副業などを通して、地域の課題解決に取り組んでいきたいと思います。

(取材日:2021年12月21日)

当サイトを使用することにより、クッキーの設定および使用に同意したことになります。 詳細については、プライバシーポリシーを参照してください。

ページトップへ