事例- 自治体
地域特性を活かした新たな企業誘致のカタチ!二拠点居住で選ばれる県へ
東京から近く自然豊かな環境という大きな利点のある山梨県。コロナ禍のテレワークの普及をきっかけに、山梨県にも拠点を置く企業の新たなビジネスの創出を支援する取り組みについて、二拠点居住推進課の方々にお話を伺いました。
柏原隆仁さん
山梨県リニア未来創造局
二拠点居住推進課
課長
山梨県
花輪圭希さん
山梨県リニア未来創造局
二拠点居住推進課
移住・二拠点居住担当
主査
山梨県
貫井宙さん
山梨県リニア未来創造局
二拠点居住推進課
移住・二拠点居住担当
副主査
山梨県
テレワークの普及をきっかけに「二拠点居住」を推進
山梨県は新型コロナウィルスの感染拡大によってテレワークが普及したことで、人の流れが変わってきたことをきっかけに、「移住・定住」に「二拠点居住」を加えた取り組みを推進しています。山梨県は元々、別荘地が多いこともあって、東京圏在住の方などが週末に山梨に来るという二地域居住が多かったのですが、テレワークの普及によって平日に仕事の拠点を山梨に置き、必要に応じ東京圏の拠点に戻るという方が個人単位では増えています。
そのような中で県では、個人だけでなく企業へのアプローチを積極的に行い、二拠点居住を推進しています。東京からも距離が近く、自然も豊かな環境の山梨県で、ワーケーションツアーや県内の企業の方との交流などを通じて、まずは山梨県の魅力を肌で感じていただきたいという思いの下、東京の企業を中心に山梨県へのサテライトオフィスなど様々な形での進出、そして二拠点居住を促進しています。
忠霊塔からの富士ー春ー
取組内容ワーケーションツアーやテストベッドを中心に、東京の企業へ山梨での二拠点居住を推進
2021年4月に東京事務所内に、「山梨県二拠点居住推進センター」を設け、専任の職員を配置しました。テレワークを積極的に導入する企業やスタートアップ企業などを訪問して、山梨県の地域特性や魅力をPRしています。そこで興味を持っていただいた企業には、「山梨県サテライトオフィス等お試し体験事業費補助金」等の県の制度を活用してもらい、セミナーやワーケーションツアーなどのコンテンツを組み合わせて、現地訪問していただいています。企業単位での二拠点居住の可能性を広げるためには、山梨に進出すれば何か新しいビジネスができる、課題解決につながると思っていただくことが肝であると考えています。
また、個人の方が山梨県に来ていただくだけでなく、部署やチームなど企業単位で来ていただき、より地域に定着してほしいと考えています。ただ、県が箱となる施設を設置するだけでは、一度テレワーク体験をして終わりとなってしまいます。そこで県では山梨に来ていただいた企業と、県内の企業や地域の人たちをつなげるコーディネーターの役割を担う地域コア人材の育成を進めており、関係者と先進的な活動事例を共有しています。また、サテライトオフィスを設置している各市町村の取り組みについて、情報交換会を定期的に開催しています。
山梨県甲府市のシンボル武田信玄公銅像
さらに県ではワーケーションツアーやテレワーク体験だけでなく、クリーンエネルギーやスマート農業、モビリティなどの新技術の実証試験のサポート事業を実施していて、新たなビジネスの可能性を追求しています。具体的には、8社の新たなプロジェクトが進行しており、「テストベッドの聖地」として注目していただいているところです。県は市町村や金融機関、県内の企業、大学、病院などと連携した体制づくりを軸に実証実験をサポートしています。
また、山梨県は水素や燃料電池の有用性に早くから着目し、研究開発の拠点化を全国に先駆けて推進しており、その結果、本県には山梨大学をはじめとした世界的な水素・燃料電池に関連する多様な研究開発拠点が集積しています。そこに、日本を代表する燃料電池の評価機関である技術研究組合FC-Cubicさんが研究拠点を山梨県に全面移転することが決定しました。山梨という地域特性や東京から近いという利点に着目していただいたことが大きいと思います。二拠点居住を推進する県としては、進出していただく企業に対して施設の支援だけでなく、従業員の方の住居など生活面のサポートも全力で取り組んでいきたいと考えています。
取り組みの結果これらの活動を通じて30社以上の企業が山梨県を訪れ、その中で実際に拠点を構えた企業もあり、さらにプロジェクトが現在進行形で動いています。お試しで来ていただいた企業は情報通信やサービス業などテレワークに積極的な企業が多く、何かあった時に電車で都内まで1時間半ほどで一時的に戻れる点は非常に安心できるというお話をいただきました。また、県としてはテレワークの普及をきっかけに、ただ企業がサテライトオフィスに進出するだけでなく、個人と個人のつながりや、そこから新たなビジネスを創出するという視点でしごと移転を推進することができました。
山梨県リニア未来創造局二拠点居住推進課の花輪圭希さん、柏原隆仁さん、貫井宙さん
今後の展開山梨県の地域特性や新技術を使った実証実験といった新たなチャレンジができる環境を軸に、引き続き企業への働きかけを行い、本県の優れた環境を体験・体感していただく機会を増やしていきます。ワーケーションツアー等でつながりができた企業へのフォローアップを行い、より企業の課題やニーズを汲み取り、支援していく体制を整えていきます。企業によってビジネスの領域や課題が異なりますので、県内の各市町村と連携して、その企業に最適な環境を整備し、県内の企業や地域の人たちをつなげる体制づくりにも力を入れていきたいと考えています。
CONTENTS
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事例企業官民が一体となり目指す「起業成功率ナンバーワンの島」
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事例企業キーワードは「防災・減災」 技術を活かし地域の課題解決に向けて協働
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事例企業地方の人材を掘り起こし 地域に生かす