本文へジャンプ

事例 企業

地域との「共創」と社員の「働きがい」を追求!白浜からイノベーション人材の発掘を

2016年に和歌山県白浜町にサテライトオフィスを開設したNECソリューションイノベータ株式会社。地域と関わってきた約6年間で拠点の果たす役割が変わっていきました。白浜センター長の阪口さんに地域との取り組み内容についてお話を伺いました。

阪口 信吾さん

NECソリューションイノベータ株式会社
イノベーション推進本部 プロフェッショナル 白浜センター長

地域

和歌山県白浜町

地方創生テレワークのきっかけ

拠点開設当初はクラウドサービスを活用した新しいテレワークモデルの検証が命題に

2015年の「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」において、私たちが幹事企業として関わり、その中で白浜町にクラウドサービス事業を展開する企業が拠点開設をしました。その後、当社役員がその拠点を視察して、クラウドサービス事業であれば白浜町で展開できると判断し、私たちも拠点をつくることになり、2016年11月に「南紀白浜サテライトオフィス(現:白浜センター)」を開設しました。

開設当初はクラウドサービス事業の展開をメインに、「都市部でやっている業務を地方でもできるか?」という命題で、クラウドサービスを活用したテレワークモデルの検証やテレワークオフィスの整備を行ってきました。その後、白浜町という地域により貢献できることはないかと、白浜町とお話をさせていただく中で、2018年に包括協定を締結しました。そこから地域の方との意見交換や実証実験などの地方創生の取り組みがスタートしました。

白浜の海と空を望む、地域発のイノベーションを創出する「白浜ITビジネスセンター」

取組内容

地域の方との関わりから見えた気づきによって「ソリューションの提供」から「地域課題の解決」へ

白浜町と「新たなワークスタイルの推進活動に関する包括協定」締結した後、行政から地域の事業者などを紹介していただき、住民向けのIT勉強会や小学生向けのプログラミング教室、まちのイベントへの協賛、農家さんの収穫の手伝いなどを行いました。そして、このような地域の方との交流や意見交換を通じて、地域のリアルな課題が見えてきました。例えば、都市部で導入しているITソリューションを白浜町に持ってきても、企業規模や事業内容、事業者の考え方は異なるので、簡単には導入できないことがわかりました。そこで2019年から行政や観光協会などと一緒にワークショップを実施して、地域課題を見つける共創活動を始めました。

共創活動を通じて、地域の方と一緒に汗をかき、地域の方の思いに寄り添い、その地域の生活やビジネスを知ることで、地域のリアルな課題を見つける感性が磨かれるのだと気づきました。また、その課題を社員一人ひとりが「自分のスキルを活かしてどのように課題を解決するのか」を主体的に考えることが必要だと気づきました。そのため、白浜からイノベーションそのものが生まれるかはわからないですが、白浜からイノベーションを起こせるような人材を育成することはできるのではないかと考えています。

広い岩畳を思わせる大岩盤「千畳敷」は南紀白浜の有名な観光スポット

拠点を開設してからNECグループ全体で、これまでに約750名が白浜町でテレワークを実施しました。その中で、地域の課題解決の活動だけでなく、自分たちの「働きがい」を考える機会として、「白浜町である理由」を言語化するワークショップを実施しました。そこで社員が白浜町の方々にインタビューしたり、フィールドワークをする中で、「自分は何のために働いているのか」や「自分はこういうことをしたいんだ」という気づきが生まれました。都市部で働くだけでは得られない体験価値がこの拠点には存在するのだと気づきました。

社員が働きがいを考えることで、自分のベクトルと会社のベクトルを合わせることができ、自分の役割やスキルを最大限に活かすためにどうしたら良いのかと考える機会になります。これは会社が伝えてできることではなく、社員一人ひとりの自律性があってこそだと思います。NECグループ全体でも昨年11月に、社員の自律的な働き方によるハイブリッドワークを定着させ、働きがいの実感を高めていく「Smart Work 2.0」を本格展開すると発表しました。私たちのこれまで取り組んできた「共創」や「働きがい」を考える活動はその実現の一つであると思います。

取り組みの結果

これまでに白浜センターには、全国の行政や企業などが実証実験の視察やワーケーション等で約800名を超える人が訪れました。また、白浜町と地域課題を見つける共創活動においては、白浜温泉街の活性化を目的に、観光情報を発信するアプリの開発や小型モビリティの導入、キャッシュレス等の実証実験を行い、結果としてまちの周遊性や消費拡大の成果が生まれました。さらに、ワークショップを通じて培った「デザイン思考」という考え方をお客様にも提供し、良い反響をいただいたことで、今後展開する地域の共創活動や人材発掘にも活かせる道筋が見えてきました。

阪口信吾さんは白浜町の新たな可能性を引き出し、地域と共にイノベーションを創出する

今後の展開

来年度、白浜町の第二センターとなる新しいオフィスを開設する予定です。この拠点は地元企業や住民の方々とワークショップを行い、地域課題の解決を一緒に考えたり、県外企業や団体と事業デザインを実験する「共創」の場にしたいと考えています。また、デザイン思考を活用して地域のリアルな課題を発掘し、ソリューションを提供する能力を持った人材を育成していきます。当社には約1.2万人の社員がいて、様々なスキルや経験を持った人材がいます。白浜町からイノベーションを起こせる人材を発掘・育成し、より地域に、社会に貢献していきたいと思います。

(取材日:2022年1月31日)

当サイトを使用することにより、クッキーの設定および使用に同意したことになります。 詳細については、プライバシーポリシーを参照してください。

ページトップへ