議事録:
司会(香取経済環境部長)
千葉県並びに佐原市の関係者を紹介いたします。
佐原市長 |
岩瀬様 |
佐原市議会議長 |
平松大様 |
佐原市助役 |
石引様 |
佐原市都市計画審議会会長 |
福川様 |
千葉県総合企画部次長 |
中山様 |
千葉県商工労働部参事 |
岩瀬様 |
佐原警察署長 |
市原様 |
JR佐原駅助役 |
菅谷様 |
第三セクター(株)ぶれきめら常務 |
永野様 |
小江戸さわら会代表世話人 |
谷田部様 |
町並み観光ボランティアの会会長 |
吉田様 |
英語案内ボランティア |
岡澤様 |
町並みおかみさん会 |
並木様 |
三菱館運営委員長 |
越川様 |
千葉県香取地域整備センター長 |
川野様 |
まちおこし佐原の大祭振興協会理事長 |
菅井様 |
第三セクター(株)ぶれきめら代表取締役社長 |
木内様 |
小野川と佐原の町並みを考える会代表世話人 |
加瀬様 |
佐原商工会議所会頭 |
小森様 |
香取経済環境部長
それでは、早速ですが「歴史的な情緒ある水辺を活かした観光まちづくりのさらなる展開を目指して」というテーマで、3名よりプレゼンテーションを行います。まず、私、香取から、次に、「佐原商工会議所」会頭の小森様、最後に「小野川と佐原の町並みを考える会」代表世話人の加瀬様よりお話いただきます。
それでは、まず、私からお話申し上げます。
○佐原市香取経済環境部長プレゼン
佐原の都市再生のテーマであります「歴史的な情緒ある水辺を活かした観光まちづくり」のさらなる展開をめざして、スローシティ佐原のライフスタイルである「佐原流の暮らしの作法」の中から、「真の文化的豊かさ」と言った癒されるまちの価値が認識できることを、全国的にアピールするには、今何が必要とされているのか。
これまでの佐原の取り組みからご報告させていただきます。
佐原は、江戸時代に利根川舟運による河港商業都市として栄え、また周辺の農業生産力を背景に醸造業なども盛んな産業都市でした。
当時、利根川舟運により物資とともに江戸文化が流入し、祭礼や町並みとして現在に伝えられております。佐原市ではこうした伝統文化、歴史的町並みなどの個性と魅力ある地域資源を活かし、「観光産業」を強化して、観光都市としての成長を図ってまいりました。
しかしながら、近年、佐原市は商業・農業等の主要産業の不振から、拠点性・活力が大きく低下しております。特に商業環境は厳しさの一途をたどっております。
このため、平成13年度からの佐原市基本構想では、まちづくりの基本理念を「市民が英知と力を出し合い自然と文化を活かして創るまちづくり」と定め、また、将来都市像を「歴史とともに未来を築く市民活力創造都市・佐原」として、行政と市民が一体となって、歴史的資源の活用と他地域との交流連携による地域づくりに取り組んでいるところです。
1. |
中心市街地活性化基本計画の策定
市は、平成12年度に「佐原市中心市街地活性化基本計画」を策定いたしました。
その基本理念は、「水郷の小江戸 産業観光でにぎわいの再興」です。まず、市民、事業者、商工会議所、行政で協議をし、次の3つのテーマに基づき、地域特性を活かした中心市街地活性化を図るべきとしました。
○ |
活性化のテーマ
・ |
水運と水辺の景観を活かした魅力づくり |
・ |
伝統的建造物を活かした小江戸の雰囲気漂うまちづくり |
・ |
街に住むことの楽しさが感じられるまちづくり
これを中心市街地が担うべき機能と活性化の方向性としてまとめ、基本方針を立てました。 |
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○ |
基本方針
1. |
香取郡の中心地としての都心機能の再構築 |
2. |
広域から多くの人を集める産業観光の振興 |
3. |
住・商・職・文化等の融合する複合機能による活性化の促進 |
4. |
訪れやすく、楽しく歩ける交通体系の構築 |
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さらに中心市街地の中で異なる性格の3つの整備拠点を定め、各々に考えられる事業を検討しました。
◎ |
小野川周辺地区は、水郷の街、歴史の息づくまち |
◎ |
JR佐原駅周辺地区は、佐原市の電車の玄関口、コミュニティ商業と都市居住が融合するまち |
◎ |
本宿耕地地区は、佐原市の車の玄関口、広域観光商業の拠点 |
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2. |
中心市街地活性化基本計画の具体化の取り組み
計画策定過程から3つの拠点地区の中で、ある程度事業の優先順位が明確になってきました。
「JR佐原駅周辺地区」を都市再生の重要な拠点と位置づけつつも、当面は、重要伝統的建造物群保存地区として商家の歴史的町並みが残る「小野川周辺地区」の整備を優先させます。小野川周辺地区を起爆剤とし、地域全体の活性化を目指そうとするものです。
合わせて、この地区を流れる一級河川小野川に舟運事業を導入し、利根川と結ぶことにより、その河口に隣接する「本宿耕地地区」を、国と県と市の三者共同事業の中で、高規格堤防整備事業とともに自動車交通の受け皿・道と川の広域交流拠点を整備するというものです。
この考え方は、町並み整備など既存先行事業の効果を元に、比較的少ない投資で大きな効果が期待できること、活性化に向けた新規事業立ち上げに対する市民の意欲、実行力があることによるものです。
現在までに佐原商工会議所は、TMO構想・佐原戦略ビジネスプランを策定、TMO機関として4つのリーディングプロジェクト
(1) |
プロモーション |
(2) |
タウントレイ |
(3) |
小野川舟運 |
(4) |
テナントリーシングに重点的に取り組んでおります。 |
また、市は、国・県と共同して各種補助金を組み合わせ、支援をしているところです
特に、これに基づきTMO計画・「Slow City.いやされるまち・佐原(小野川周辺地区)」を定め、舟運とテナントリーシングに重点的に取り組んでおります。
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3. |
歴史的町並みを活かすまちづくり
佐原の町並み保存は、昭和49年の調査から平成6年佐原市歴史的景観条例の制定までに20年の歳月を要しました。
市民有志の地道な活動の成果であるといえます。以来平成8年に関東初の重要伝統的建造物群保存地区選定を受け、今日まで建物の修理修景、防災施設等の整備が進められております。あわせて周辺の環境整備、いわゆる「町並み・川並みの整備」が進められ、川沿いの歩行者空間の整備が進展してまいりました。
とりわけ千葉県による小野川河川環境整備事業により、河川空間の景観も向上し、昨年度からは電線類の地中化事業にも着手されております。
商家の蔵や町屋等の歴史的建造物の活用については、テナントミックスの考え方を取り入れ、町おこし会社により街中での配置計画をたてながら、事業化に向け検討が進められております。平成14年度のTMO計画、15年度のTMOサポート事業により検討を重ねてまいりました。一括変換を組織立って取り組む計画でしたが、所有者側の事情もあり難航しております。
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4. |
佐原の山車祭りとまちづくり
関東三大山車祭りの一つ、関東一とも自任しているのが佐原の大祭です。今年2月佐原の山車行事が国の重要無形民俗文化財に指定されました。
夏10台、秋14台の山車がそれぞれ3日間、小野川を挟んで市街地を曳き回されます。佐原ばやしが奏でられ、提灯で飾られた山車が夜の小野川ぞいを通るとき、まさに江戸時代からの情緒あふれる小江戸佐原「江戸優り」の情景が展開されます。
平成3年から伝統文化によるまちづくりの一環として、観光祭りへの取り組みが始められ、現在NPO団体が市の委託を受け支援事業に取り組んでおります。小江戸三都の川越・栃木・佐原では、各々の祭りも交流の場となっています。加えて、国の地域間交流・連携推進委託事業で、佐倉、成田、佐原、潮来、鹿島などの周辺都市との観光交流空間づくりについても、伝統文化・祭りは大切な共通要素になっています。
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5. |
舟運事業とまちづくり
昨年から町おこし会社による舟運事業が始まりました。利根川河川敷駐車場脇の乗降用桟橋と、護岸整備前の小野川の商家の前には必ずあった「だし」と呼ばれる荷揚場を乗降場所として結ぶ定期便です。
国の商店街等活性化事業として、事業化支援を受けているこの事業は、伊能忠敬旧宅・記念館などのある歴史的町並み地区・周辺商店街へのアクセスを舟運によることで、自動車の利用を抑え、合わせて舟運自体を観光の目玉にする効果を期待しております。現在は5艘体制で運航され、将来は、本宿耕地広域交流拠点の川側で水郷観光舟運事業を展開し、利根川・横利根川・常陸利根川・霞ヶ浦へと活動範囲を広げたいとしています。
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6. |
外国人観光客の誘致
佐原市は成田国際空港から高速道路を使用して30分の至近距離にあるので、国により成田のエアラインクルーを観光に誘致する試みが一昨年に行われ、昨年は引き続き佐原の祭礼にバスを用意して招致する事業を商工会議所が行いました。これを契機に市民有志による英語観光案内ボランティアの体制が組まれ、市は、さらに全国都市再生モデル調査として、成田空港のトランジット客を半日ツアーに誘致する実証実験に挑戦いたしました。
トランジット客の実態調査の結果からは、周辺のホテルに宿泊する観光客には可能性があるものの、時間的制約から空港から直接誘客することは現実的ではないというものでした。
実験期間中は、タクシーで約20名程度の外国人観光客が参加されましたが、皆さんの佐原の感想は大変よく、アクセスとしての鉄道利用が料金的に妥当なこと、今後も、成田周辺のホテルとの連携や、東京から佐原を見て成田から帰る観光客を新たな対象と考え、外国人観光客の誘致に取り組んでいくつもりです。
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7. |
地域の魅力アップモデル事業
昨年、こうした佐原市のまちづくりの取り組みは、千葉県から「地域の魅力アップモデル事業」に選定されました。
今年1月から国・県・市の行政と住民まちぐるみで実施計画を検討し、「小江戸さわら江戸まさり・水辺のある歴史的町並みを活かしたオンリーワンのまちづくり」をめざすことを確認したところです。
7つの整備方針ごとに計31のプロジェクトが定められ、今後着実に事業を推進していく必要があります。 |
整備方針1は、本宿耕地地区開発による交流人口拡大の受け皿づくりで、観光客を迎える機能強化、本宿耕地地区の整備があげられます。
事業的には、スーパー堤防・国道356号拡幅・河川防災ステーション・広域交流拠点、道の駅の整備と川表側に川の駅と周辺環境整備を予定しています。
整備方針2は、小野川を活用した舟運による歴史的町並み地区へのアクセスビリティの向上です。川の道による歴史的町並み地区への観光客の誘導を考えています。
事業的には、国の商店街等活性化事業で支援を行っている3セクの株式会社ぶれきめらが行う小野川水上循環バス運航事業と河川管理者による舟運基盤整備です。
整備方針3は、地域連携による子供たちが川に親しめる小野川水辺の楽校づくりです。水辺の楽校プロジェクトは15年度末に国の登録を受けたところです。
整備方針4は、歴史的町並みを活用した商店街の活性化です。
事業的には、建物は本物で残すことによる「歴史的町並み保存事業」と市民の啓発活動、空家空き店舗対策としてのテナントミックス事業及び街中観光案内としてのヘリテージセンターの整備と市民活動です。
整備方針5は、重要伝統的建造物群保存地区における歩行者空間の整備、防災のまちづくりです。
事業的には、小野川沿いと香取街道沿いの電線の地中化、交通規制の検討及び防災施設の設置を計画しています。
整備方針6は、佐原駅を起点としたまち歩き周遊ルートづくりです。
事業的には、旅の予感を感じさせる雰囲気、駅周辺の円滑な回遊性確保するためのJR佐原駅周辺の整備と小野川沿いの小道整備を計画しています。
整備方針7は、伝統的な祭りの振興を図り、生活文化を体験できる場づくりです。
事業的には、山車行事等佐原のPR、外国人観光客誘客推進事業、伝統工芸体験普及事業などで、生活文化体験型の観光空間づくりを進めることを計画しています。
終わりに佐原市は、平成15年度国により観光交流空間づくりモデル事業の選定を受けた「ひたちとふさのジョイントアップ・プロジェクト」の「中部エリア」の中央に位置することから、住んでよく訪れてよい町を目指し、まちぐるみで観光振興による都市再生に取り組んでまいります。
今後ともご支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げ、発表を終らせていただきます。 |