地方創生テレワーク進出エリア選定のポイント
このような観点から、ここでは、地方にサテライトオフィスを設置したり、本拠地を移転した企業のケースから、進出エリア選定ポイントついて考察します。
地方進出で期待できるビジネスチャンス
テレワークをきっかけに企業が地方に進出したビジネス上の理由、または地方進出を実現させた結果生まれた効果として、次のようなことが挙げられます。
事業面
■地域特有のメリット
・自治体との協働体制/支援体制が期待できる。
地域特有の課題を抱える多くの自治体は、進出企業との連携により地域課題の解決を推進したい、と考えています。自治体によって課題は様々ですが、課題解決に向けた実証実験や新たな技術やアイデアの導入に対し、積極的かつ迅速に取り組む体制を準備している自治体も少なくありません。
・地元産業との協働体制ができる。
拠点設置により、地域との距離が近くなり、地域への理解が深まることで、新たな化学変化からイノベーションが生まれ、ビジネスチャンスが広がります。
・競合が少ない。
首都圏と比べて競合する事業者が少ない場合が多く(ブルーオーシャン)、事業拡大の機会や収益を増やすことが期待できます。
・インフラの充実
地方にはICT・施設等のインフラが非常に充実している自治体も多く、サテライトオフィスの利用により、交通渋滞や満員電車と無縁、かつ快適なテレワーク環境が実現できます。
・人材確保の優位性
地方に拠点を設けることにより、首都圏から地方へ移住したいと考えている優秀な人材の離職を防ぐだけでなく、地方在住の優秀人材、特定のスキルを有する人材を採用しやすくなります。また、地方採用の社員の方が求人の多い首都圏より離職率が低いと認識されている企業もあります。地元企業の採用活動に対し、雇用機会を増やしたいと考えている自治体が様々な支援をしている例も見受けられます。
■ロケーションの優位性
・オフィスや工場の立地に適した土地柄・環境がある
社員が通い易い立地、社員が利用したくなる環境、他の拠点との距離など、利用者や拠点の目的から進出エリアを絞り込み検討される企業も多いようです。
・顧客に近い、物流面で利便性が高い、生産拠点と近い、港湾や高速道路に近いなど、事業拡大や顧客満足度の向上を視野に入れて選定
・新たな生産拠点を地方に求める場合には、水質が良い、広大な土地が確保できる、電気代などランニングコストが安くなるというハード面の要素の他、進出に伴う税額の軽減や費用の補助・助成等の自治体側の支援体制、人材の採用、教育や医療も含めた社員の住環境など運営体制の整備も進出エリア選定の要素に入ってきます。
コスト面
・事務所管理費用・人件費
オフィスの賃貸料や土地価格が比較的安価で、オフィス維持にかかるコストを減らせます。また、従業員の通勤手当や勤務地手当が削減でき、パートやアルバイトの人件費も抑えやすくなります。一方で、首都圏と同じ仕事を地方で行う場合は、同じ賃金が支払われることになり、地域で雇用される人材にとっては可処分所得が増えることも期待できます。
・各種制度の活用
国や自治体で、地方創生に関する補助金や助成金、優遇措置等の制度があります。
社会貢献度を高め企業の存在価値をアップ
地方だからこそ実現する事業や協働によって社会貢献度を高めることは、企業イメージの大幅アップにつながり、自社にとって大きなプラスを生みます。
地域の課題にコミット
前項でも触れましたが、地方には、少子高齢化、過疎、医療の不足、労働人口の不足、産業の疲弊、商業の衰退など今後日本が直面する多くの課題が先取りする形で山積しています。一方で、それぞれの地域には受け継がれた技術や文化、他にないスキルを持つ人材や中小企業、土地ならではの産業や生産物など、実は有効に生かされていない価値が多く存在し、これらの資源を活用することでストーリー性のあるモノやサービスが生まれます。
地方進出は新たなビジネスチャンスを創出するだけでなく、地域の産業活性化や人口流出抑制にもつながり、国としての課題である首都圏一極集中の解消・地方活性化を推進し日本経済の底上げに寄与することから、企業としても価値ある取り組みと言えます。
次世代型企業経営への転換
これからの企業経営は、地球環境や人権への意識も欠かせません。地方進出は、企業にとって社会貢献の機会を増やすだけでなく社員の意識醸成にもつながります。
・SDGs対応
脱炭素、自然環境の保護や資源の有効活用など様々な事業で持続可能な取り組みが検討できます。
・ESG対応
企業の社会貢献度がESG投資先として高評価に繋がることが期待できます。
・BCP(事業継続計画)強化
本社機能の分散や拠点の分散によって自然災害やパンデミックのリスクが軽減でき、BCP強化につながります。
地方進出の先行事例では、物流や立地のメリットがある、協働したい企業や人材が豊富、創設者にゆかりがある、環境が良く居心地がいい、自治体の支援が充実している、などが挙げられています。
どの地域へ拠点を設けるか、は企業にとって重要なポイントですが、現在は自治体がサテライトオフィスをはじめとしたテレワーク施設の整備に注力しており、以前より少ない初期費用での進出も検討できる状況といえます。進出を検討する為の「お試し期間」「お試し利用」についても、その機会や補助等の支援を用意している自治体もあり、こういった機会を上手に利用し、地方進出への一歩を踏み出すことも一つの手段です。
全国どこでも仕事ができる現代、漠然と地方進出を思い描くよりも、「自社にとってもっともメリットがある土地はどこか」を様々な視点から検討し、具体的な行動に移してみてはいかがでしょう。

CONTENTS
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地方創生テレワークモデル創出事業の事例集企業働き手自治体 -
地方創生テレワークFAQ企業自治体 -
企業誘致のポイント自治体 -
ITツール・サービスの活用企業 -
地方創生テレワーク進出エリア選定のポイント企業自治体 -
サテライトオフィスやコワーケーションスペースを活用してもらうために「おさえておきたいポイント」とは企業自治体 -
地方創生テレワーク企業側のメリット企業 -
各自治体の 地方創生テレワーク支援施策 & テレワーク用施設一覧企業働き手自治体 -
先進事例を知る!地方創生テレワーク事例集企業働き手自治体 -
地方創生テレワークってそもそもなに?企業働き手自治体 -
地方でのテレワーク勤務を推進!
マネジメント手法のポイント企業 -
イベント情報企業働き手自治体 -
地方創生テレワーク従業員側のメリット働き手 -
テレワーク活用のガイドライン企業働き手自治体 -
デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ地方創生テレワーク型自治体 -
地方創生テレワークの推進に関する内閣府地方創生推進室・内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の取組企業働き手自治体