経験豊富なプロがわかりやすく解説
地方移住と「お金」のはなし
アドバイザー:ファイナンシャルプランナー 中里邦宏さん
移住成功のカギは収支のバランス
「想定外」がないよう検討しよう
東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)
から地方への移住の際にかかる費用
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引越し代
移住する実際の距離や荷物量、日程により費用の幅があります。平日より土日の方が高いのが一般的です。
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住居費用
敷金(家賃0~2ヶ月分程度)、礼金(家賃0~2ヶ月分程度)、仲介手数料(家賃0~1ヶ月分)、家賃(1~2ヶ月分)、火災保険料その他(保証料、鍵交換費用等)が想定されます。
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自動車購入費・諸費用
一部の地方都市中心部を除き、移動手段は車であることがほとんどです。中古車にして費用を抑えるのも良いかもしれません。
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引越しまでの下見費用(交通費含む)、
家具家電その他下見時の交通費や宿泊費は自治体から助成がある場合もありますので、事前に確認してみると良いでしょう。
場合によってはかかる費用
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暖房器具
カーテン、カーペット、地域や間取りによっては石油ファンヒーターやエアコンなどの暖房器具を買い足す必要があります。
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駐車場代
駐車場を借りる場合は、駐車場の敷金等(物件による)と当初賃料がかかります。
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自動車教習所費用
運転免許証を取るために自動車教習所に通う費用がかかります。
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これまでの住まいの
処分費用これまでの住まい(持ち家)を売る場合に、売却額よりも住宅ローンの残債と売却時諸費用が大きければ、その差額の費用が発生します。
意外にかかる住宅関連費用
移住するにあたっては、さまざまな支出に備えておかなくてはいけません。まず、住居費です。地方の賃貸料は、東京圏よりも低くなるのが一般的ですが、別荘地などそれほど安くない地域もあります。敷金や礼金などの初期費用は地域によって違います。購入する場合は、購入費用のほか、場合によってはリフォーム代も必要になります。再移住などの軌道修正が難しくなりますので、地域になじむまでは賃貸で様子見することをお勧めします。移住を決める前に現地を下見する費用や引越し代も必要です。また、部屋が広くなる場合は、電気代、ガス代などの光熱費が上がることも想定しておきましょう。地方では都市ガスより割高なプロパンガスが一般的ですので、そこにも注意しましょう。寒冷地では、冬季の暖房には石油ファンヒーターが使われることが多いようです。
地方での
チャレンジを応援!
~地方へ移住、起業で最大300万円~
地方での就業等
移住支援金
最大100万円
- 世帯:最大100万円
- 単身:最大60万円
地方公共団体がマッチング支援の対象とした
中小企業等に就業又はテレワークにより移住等
地方での起業
移住支援金
最大100万円
- 世帯:最大100万円
- 単身:最大60万円
起業支援金
最大200万円
- 起業に要した経費の1/2
- 最大200万円
地域課題解決に資する社会的事業を起業
支援金の注意点
支援対象移住先は?
移住支援事業を行っている東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)以外の地域。
ただし東京圏内でも条件不利地域(秩父市、館山市など)は支援対象。
支援対象となる人は?
移住支援金については、移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区に在住または東京圏(条件不利地域を除く)から東京23区へ通勤していた人が対象です。
また、地域の中小企業等への就職やテレワークによる移住前の業務の継続等、移住先での要件があります。
詳細についてはこちらをご確認ください。
支援対象となる就職先は?
自治体が運営するマッチングサイトに対象の求人情報を掲載した中小企業などに就職する場合が支援対象です。
就職以外に、市町村が地域と関わりがある者と認めれば支援対象となる場合もあります。
起業する場合は?
都道府県が実施する起業支援金の採択を受けた場合に、起業支援金の支援対象となります。
起業支援事業では、地域の課題解決に取り組む社会的事業を新たに起業等する方を対象に、起業等のための事業費への助成(最大200万円)と伴走支援を行っています。
起業支援金の要件等は、こちらからご確認ください。
その他支援対象の注意点は?
- 5年以上移住先に居住する意思があること、転入後3か月~1年以内に支援金の申請をすることが条件。
- 5年居住しなかった場合等は支援金を返還する必要があります。※年数や事情により減免される場合があります。
- 詳細については、移住を検討されている都道府県や市町村へ直接お問い合わせください。
- 起業支援金の詳細については、起業等を検討されている都道府県や都道府県が選定する執行団体へ直接お問い合わせください。
移住を成功させるために!
移住をして資金の面でうまくやっていけるかは、入ってくるお金と出ていくお金のバランス、生涯収支の管理にかかっています。ライフプランをもとに、将来的に変化する収入と支出を意識し、将来のためのお金も準備できるようにしていきましょう。また、”再移住のためのお金”も蓄えておくと良いでしょう。移住後に仕事が合わず退職・転職となった場合にも備えて、月々の生活費の3~6ヶ月分の貯蓄があるのが理想です。ここまでの話を読んで、移住のお金や移住後のライフプランについてお悩みの方も多いかと思います。そんな時はライフプランを一緒に作ってくれるファイナンシャルプランナーに気軽に相談してみるのもひとつです。
中里 邦宏 さん
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者(日本FP協会認定))
(2021年11月取材)