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充実した子育てに地方の可能性を実感

新井 結加里さん

PROFILE
新井 結加里さん

新井 結加里さん

群馬県出身。2018年2月に埼玉県から長野県佐久穂町に移住。

  • 移住時の年代:40代
  • 家族構成:子供2人
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:書道クラブ主宰

中古の別荘を購入し、
暮らしの場に

カラマツの林を縫うように清々(すがすが)しい風が吹き抜けていく。「秋になると紅葉もきれいなんです」。深い緑に囲まれたウッドデッキで新井結加里さんはほほえみながら、そう話す。標高約1200メートル地点に広がる八千穂高原(長野県佐久穂町)で、中古の別荘を購入し、小学校と幼稚園に通う息子2人と2018年2月から暮らす。

息子2人と新井さん

広々とした20畳のリビングに8畳と6畳の個室、そして屋外と一体となった15畳のウッドデッキ。築約20年だが、冬場の生活に備えた断熱工事をしてあり、手入れも行き届いていて内外装ともに手を入れず住み継ぐことができた。

その別荘を100万円で買うことができた。詳しい事情はわからないが、相場よりだいぶ安かったという。「奇跡的でした」と新井さん。

別荘地ということで、地域のコミュニティーや別荘地の定住者たちとほどよい距離感を保てることも、都会のさいたま市から移住してきた新井さんにとっては魅力的だった。

「長野に住みたい」
という長男の声に促され

群馬県で生まれ育ち、大学卒業後、会社勤めを経て、さいたま市で書道教室を営んでいた。ところが、通ってくる子供たちは習い事や塾のかけ持ちに疲れ切った様子。同世代の親たちと話していても、近くの認可保育所には入れないとか、いわゆる「お受験」の傾向と対策といった話題が中心で、気が滅入(めい)ってしまうことも多かった。

長野の自然

都会での子育てに漠然とした疑問を感じていた時、5歳だった長男の希望で長野県の野辺山高原を一緒に旅をしたことがあった。最寄りのJR小海線・野辺山駅がJRで最も標高の高い所にある駅ということを知って、「どうしても行ってみたい」という。高原に広がるレタス畑を親子でひたすら散歩するような旅だったが、その広大さが気に入ったのか、長男は「長野に住みたい」と真顔で言うようになった。

その一言に触発されて、移住を前提に周辺の地域を調べてみた。そうすると、近くの佐久穂町に自然の中での教育に力を入れている幼稚園があることを知り、別荘地に空き物件があるということも聞いた。「私自身、生活をリセットしたかったし、この機会を逃したら、移住なんてできないかもと思って決めました」

移住してからの方が
圧倒的に充実

もちろん、最初はビビりましたよ――。移住を決めたものの、会社勤めのように定期的に安定した収入があるわけでもなく、シングルマザーで2人の子供を抱え、経済的な余裕はまったくなかったからだ。

自宅や公民館で計約30人に書道を教え、その合間に近所の貸別荘の清掃を行い、春と秋にはリンゴ畑で農作業を手伝って一家3人の生活費を得ている。地域の人とコミュニケーションを図り、信頼されることでさまざまな仕事の話も持ちかけられるようになった。

正直、現金収入は多くないが、埼玉時代より驚くほどお金がかからない。まず家賃はゼロ。さらに書道教室などで親しくなった人から新鮮な野菜を頻繁にもらうこともあって食費は一家で月2万円前後。次男の通っている幼稚園も2019年の秋から利用が無償化されたことも家計を助けている。

仕事中の新井さん

それで、野山を駆け巡る子供たちを見守り、ゆったりした気持ちで暮らすことができる。都会での生活の便利さや華やかさと差し引きしても、現在の方が圧倒的に充実している。「何でもっと早く引っ越してこなかったのかなって思っています」

新井さんは今、亜麻の栽培を夢見ている。その種から健康によいとされる亜麻仁油を搾ることができ、移住先の女性たちと新しい産業に育てられないかと思っている。「地方には大きな可能性がある。よそ者の私が、地元の人たちと協力して、そのことを証明できればすばらしいと思うんです」

長野の自然の中で息子と追いかけっこ

(2020年9月16日取材)

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