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LIFE STYLE移住者の暮らし

山梨に飛び込んで手に入れた、居心地の良い暮らし

與那覇 至さん

PROFILE
與那覇 至さんの写真

與那覇 至さん

沖縄県宮古島市出身。2018年6月に東京都世田谷区から山梨県甲府市に移住。

  • 移住時の年代:20代
  • 家族構成:妻
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:飲食店経営

一番好きな飲み物と食べ物の店をやりたかった

甲府駅から車で10分ほどの山裾の静かな住宅地に、2022年11月、カレーとコーヒーの店を開いた。古い民家をリフォームした日当たりの良い開放感ある室内には、心地よい音楽が流れ、カレーの香りが食欲を刺激する。「一番好きな飲み物と、一番好きな食べ物。その2つで店をやりたかったんです。提供するカレーは1日1種類だけですが、いつも次のレシピを考えていて、試作を繰り返して、ひと月ごとにメニューを入れ替えています。1種類しかなくても、月に何度も来ていただく方もいて、ありがたいです。嬉しいですね」

おいしそうなカレー

仕事も決めないまま、勢いで移住を決断

山梨を移住先と決めたのは、渋谷のコーヒースタンドで働いていた時に、客として来ていた夫婦との出会いがきっかけだった。その夫婦が、山梨県の北西部に古い家を買い、都内から移住したと聞いて、遊びに行ったところ、「畑で野菜をつくっていて、朝ごはんの時、『畑からほうれん草を採ってくる』と言うんです。そんなことは、東京では経験したことがなかった。こういう生活ができるのかと思って、“引越し”を考え始めました」
故郷の沖縄を離れて東京の大学に進学し、都内のCM制作会社に勤めたが、本当に自分のやりたいことを探すために退職。その後、アルバイトで貯めた100万円で渡米し、1か月間、地元の人にコーヒーを入れ、代わりに現地の情報を教えてもらう生活を送った。帰国後、コーヒー店に就職し、好きなものを仕事にすることはできたが、30歳を前に、何となく東京を離れたいと考えていた。
最初は、森に囲まれた環境が気に入り、知り合い夫婦が住む地域で家を探したが、仕事や買い物のことを考慮し、生活に便利な甲府市内に住むことにした。「沖縄に帰るか東京に残るか、すごく悩みましたが、山梨なら東京にも近いし、とりあえず、引っ越す感覚で、何も考えずに勢いだけで移住を決めました。仕事も行ってから決めようと」。
高校の同級生で婚約者の麻理恵さんも賛成し、2人で移住。渋谷の店に客として来ていた縁で、甲府市内でコーヒー専門店を経営する男性の店で働けることになり、住まいはその店の近くに借りた。ただ、一軒家に住みたいという夢はあきらめていなかった。

コーヒーを淹れる與那覇さん

空き家をリフォームして、憧れの一軒家を店に

ある日、近所で古い空き家を見つけた。「山が近くにあって、家と家の間隔が適度に空いていて、庭もある。落ち着いた周囲の雰囲気が、山梨で初めて訪れた県北西地域に似ていて、これだ!と思いましたね」。平屋とその裏にある2階建ての2棟を購入し、大工をしていた妻と2人でリフォームに取りかかった。
だが、作業は難航した。「この家、柱がないんです。壁で屋根を支える、当時としては最新の技術らしいのですが、築50年以上で設計図もない。和室3室をぶち抜くにも、壁のどこなら取り払って大丈夫なのか、知り合いの大工さんに相談しながら進めました」。その間、貯金を取り崩しながら生活し、結局、開店にこぎつけたのは1年半後だった。

リフォーム作業中の與那覇さん夫妻

店を通した出会いが世界を広げていく

客の4割は東京など県外から来店する。「渋谷で働いていた時のお客さんが知り合いに勧めてくれたり、こんなところにカレー屋があると面白がって来てくれたりするのですが、地元の方のほうが多いです。学生さんや子どもを幼稚園に送った後の親御さんなど、幅広い年齢層の方に来ていただいています」
移住で大変だったことは思い当たらず、近所との付き合いでも悩んだことはないという。「わからないことは向かいに住む自治会長が教えてくれます。ご近所さんが、お客さんの入り具合を心配して、友達を連れて来てくれることもあります」。客のなかには、モノづくりをしている人や飲食店を経営している人もいて、その店に行くことで、付き合いがさらに深まる。「イベントに誘われて参加することもあり、いろいろな人とのつながりができました。何となく、周りの皆さんが気にかけてくれているんだなと感じます。本当に、出会いに恵まれているなと思います」

日当たりの良い緑あふれる庭

迷っているなら、まず、行ってみること

自分の気持ちに素直に向き合いながら、軽いフットワークで動いてきた與那覇さん夫婦。妻の麻理恵さんは、自転車で日本一周している時、あるゲストハウスで内装の面白さに出合い、大工になったという。「移住するか迷っているなら、まず、気になっているところに身を置いてみるのが一番。合わないと思ったら帰ってくればいい。重く考えないで。1週間、ホテルに住んでみるとか、小さなアクションでもいい。日帰りで、私のところのような地元のカフェに通って、情報を集めてもいい。行ってみて経験することが大事だと思います」

(2023年11月20日取材)

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