鳥取で暮らし“ととのう”
石黒 哲平さん
石黒 哲平さん
神奈川県川崎市出身。2021年に東京都多摩市から鳥取県琴浦町に移住。
- 移住時の年代:40代
- 家族構成:妻
- 移住スタイル:Iターン
- 職業:キャンプ場運営会社勤務
琴浦町じゃなかったら、移住しなかった
石黒さんは、生まれも育ちも神奈川県。両親は今も神奈川県在住で、父親が琴浦町と同じ鳥取県西部の伯耆町出身だ。
「祖父母がいたときはお盆や正月に帰省していました。鳥取県はいいところだな、“いつか”は鳥取県で暮らしてみたいな、とはずっと思っていたんです。ただ、なかなかそういう機会もなくて……」
琴浦町は、中国地方の最高峰・大山の麓に位置し、山と海がごく近い。都会でずっと暮らしていた石黒さんにとって“いつか”の機会は、たぐり寄せられるようにやってきた。
「2021年5月に妻が琴浦町の地域おこし協力隊に応募して、先に妻が移住することになりました。私は神奈川で仕事をしていたので、ゆっくり現地の仕事を探してから、移住しようと思っていたんです」。ところが、妻が勤めるキャンプ場の社長に『キャンプ場の仕事を手伝ってほしい』と言われ、そこで働くことになり、今は個人事業主として、運営、事務、企画運営、営業と、何役も担っている。運営するキャンプ場には大好きなサウナがあり、働き先としては、申し分ないそうだ。
「実は、私も妻も田舎暮らしがしたいわけではありませんでした。親戚も友だちもみんな関東近郊。両親や家族が『大丈夫なの?』と心配する中で、移住を決断したんです。たまたま、いい仕事、拠点があったからで、琴浦町じゃなかったら移住はしていませんでした」
サウナにハマる
石黒さんは昨今のサウナブームよりはるか昔、20年前にサウナにハマったらしく、サウナについて語り出すと止まらない。 「サウナは、仕事終わりに入るもよし、リラックスできるし健康効果も高い。何よりコミュニケーションがとれるので、すごくいい。このサウナの良さを、1人でも多くの地元の人に伝えていきたいです。鳥取県の良さは、地元の人にはなかなか分かりません。でも、サウナに入ることで、自分たちが住んでいるところの見方が変わってきたと言ってくれる人もいて、それはすごく嬉しい。鳥取県はこんなに良いところだというのを、広く県内外の人に知ってもらいたいですね」
2021年、鳥取県がサウナを通じて自然や食などの魅力を満喫するためのPRサイトをオープン。自治体の取組にも大いに期待している。
ストレスのない暮らし
「移住する前は、『よそ者が来た』と思われるんじゃないかなと考えましたし、私の両親も周囲の知人たちも心配してくれました。でも、実際に住んでみて、人付き合いのストレスは一切ないですね」
住まいが役場から徒歩5分程度の場所にあり、近所にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットが揃っている。
「不便は一切、感じません。それに、朝起きて窓を開けると大山がドーンと見えて、海にも歩いていける距離です。空気が美味しいっていうのが何よりもいい。夜は星がきれいですよ」
近所の人が玄関に野菜を置いてくれたり、キャンプ場に来る人から袋いっぱいの野菜をもらったりすることもあるという。
「ブロッコリーは鳥取の名産で、毎日のように食べていますし、ピーマン、トマト、きゅうり、なす、ししとう、ネギなど、食料には事欠きません。海の幸ならカニやノドグロ、鳥取の地域ブランドの東伯和牛。何を食べても、安くて美味しいです」
勢いではなく、試しに住んでみて決断を
最近は、地元の自治体の施策などに関心を持つようになったという石黒さん。
「僕はこれまで比較的大規模な自治体に住んでいたのですが、その自治体が何をやろうとしているのか全く興味がありませんでした。その点、琴浦町は小さな町なので、町が何をやろうとしているのか、どういう動きをしているのかすごく興味があるし、町の動きを敏感に見るようになりました」
移住に関しては、「いいところだと思っても、即決しない方がいいですね。各自治体でお試し移住などの制度もあるので、1週間か10日ぐらいお試しで暮らしてみて、しっかりとその場所を見極めることが重要」だと話す。
かつては地方暮らしをするつもりはなく、虫も苦手だった石黒さん。都会ではなかなか味わえない、自然と人との距離が近い暮らしに「すごくいいところ。琴浦町は人も温かいですね」と充実した笑顔を見せた。
(2022年12月2日取材)
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