一目惚れしたロケーション、富士山に包まれて
関口 裕介さん
関口 裕介さん
東京都出身。東京都から山梨県富士吉田市に移住。
- 移住時の年代:30代
- 家族構成:妻、子ども2人
- 移住スタイル:Iターン
- 職業:建築施工管理会社
きっかけはイベント参加、富士の裾野で一目惚れ
目の前にはいつも富士山がある絶好のロケーション。山梨県富士吉田市に2020年8月、都内から移住した。
「富士山が信じられないくらい大きく見えるんです。エネルギーをバンバンもらえるのではないかと思いました。息子が広い公園で走り回って、伸び伸びと遊んでいる様子を見て、『ここ、いいなぁ』と思い、初めての訪問ですぐに移住を決めました」
春先に地域のイベントに参加した際に、富士吉田市の魅力を教わった。緊急事態宣言が明けたあとの6月に初めて訪ね、7月に物件を契約、8月に移住という“弾丸移住”だった。
「妻と2人でよく地方に旅行に出掛けていたのですが、東京に帰ってくるたびに息苦しさを感じるようになってきていました。その頃から『いつかは空気のよいところに住んでみたいね』と話していました」
そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化。リモート勤務が始まった。
「リモートだと思い立ったときにすぐ仕事が始められるし、家族と過ごす時間も増える、地方に移住しても仕事はできると思いました。僕は営業職なのですが、コロナ禍で社会的にリモート勤務への理解が広がり、実際に取引先へ行かなくても商談ができるようになりました。前後の移動時間が節約できる分、より多く仕事ができます。移住したあとも、パフォーマンスを落とすことなく仕事をしています」
空き家バンクや、市の補助制度も活用
住まいは市が運営する空き家バンクの物件から選んだ。移住前は1LSDKのアパートで10万円超の家賃だったのが、移住後は4LDKの一軒家で、駐車場付きで家賃は8万円。最初1年間は、市から補助金1万5000円があったので、実質6万5000円だった。今はテレワーク推進補助の制度を使い、月最大で1万円の補助を受けている。
「富士吉田市は、そうした移住者のための補助制度が充実していると思います。生活コストの面では、プラスとマイナスがそれぞれあります。食材や家賃、水道代は安いのですが、地方なので車が生活に欠かせません。車の購入費に加え、ガソリン代や保険代が余計にかかります。あと高地なので冬はびっくりするくらい寒いです。窓のサッシが凍るほどで、ここまでとは想定外でした。灯油代もかかりますよね。固定費は思った以上にかかっている感じです」
「ただ、生活環境は、大違いですね。自宅の近くに公園もスーパーもある。とくに自然環境が抜群で、車でちょっと行けば山もあるし滝もある。富士山の伏流水が出るので、とにかく水がおいしい。移住してすぐに、道の駅で伏流水が無料で汲めると聞いたので、ポリタンクを買って汲みに行こうとしたら、近所の人に『水道で手に入るから』って止められました。ご飯もおいしく炊けますし、お風呂に入ると肌がすべすべします。妻は、『水が一番気に入っている』と言っています」
日々実感する健康的な暮らし、幸福度は1.5倍に
妻と3歳の長男と移住後の2021年2月に生まれた二男との4人暮らし。普段は朝5時に起床し、子どもが起きてくる前に散歩や読書などを楽しみ、6時半から朝ごはん。朝7時から夕方5時くらいまで仕事をして、子どもと一緒にお風呂に入って夕食、夜9時には子どもと一緒に寝ている。移住前は、帰宅がだいたい夜9時で、就寝が深夜12時ごろだったそうだ。
「随分、健康的な暮らしになりました。とにかく家族と一緒にいる時間が増えたのがよかったです。近くの山に行って、子どもたちとどんぐりを拾ったりしていると、『ほんと移住してよかったな』と思います。だいたい僕はどこでも幸せでいられるタイプなのですが、以前と比べて幸福度は1・5倍になりましたね」
公園で子どもと遊んでいるときに、ママ友、パパ友から声をかけられるようになり、ほうとうパーティーに招かれたりとすっかり地元に溶けこんでいる。
「地方移住には、ある程度の思い切りが必要なのかなと思います。僕自身、コロナの感染が拡大し、リモートワークが広がったあのタイミングでなければ移住できなかったかもしれません。ただ家だけでなく、ふだんの生活に密着する幼稚園や保育園、スーパーマーケットや公園はしっかり見て回っておくことをお勧めします。僕たちも実際にそういったところを見て回って、そこで生活している自分たちのイメージがうまく浮かんできたので移住を決意できました」
「子どもたちには固定観念にとらわれず、世界を視野にいれて育ってほしいと思っています。また幼少期にこうした自然の多い場所で育つことは将来、財産になると思っています。落ち葉を踏みしめたり、川のせせらぎを聞いたり、自然が教えてくれることをしっかりと感じられる人間に育ってほしいですね」
(2021年10月14日取材)
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