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LIFE STYLE移住者の暮らし

夫婦の夢を実現、移住先で作った保育園

山崎 龍平さん

PROFILE
山崎 龍平さんの写真

山崎 龍平さん

山梨県出身。2017年4月に東京都から長野県飯山市に移住。

  • 移住時の年代:30代
  • 家族構成:妻、子ども2人
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:保育園経営

都心での生活に息苦しさ、自分らしく暮らしたい

「夢」は、同じ保育士である妻と2人で保育園をつくること。

「子どもが育っていく様子を見ているのが好きで。常日頃から、スーツを着ての仕事はしたくない、子どもたちと遊びながら仕事ができたらいいな、と思っていました」

2017年4月に都内から妻の実家がある長野県飯山市へ移住。その2年後、志賀高原で知られる山ノ内町で「里山ようちえん おやまのうち」をオープン。長野への移住が2人の夢をかなえた。

志賀高原の雄大な山々の景色

移住を考えるようになったきっかけは、東日本大震災だった。

「僕は山梨県の上野原市出身で、高校の途中から都内に引っ越しました。都内では主に多摩地区で暮らしていました。国分寺とか、八王子とか、東村山とか。田舎育ちだったので引っ越した当初は東京生活を楽しんでいたのですが、しだいに息苦しくなってきましてね。満員電車に乗るのとか地下鉄の通路を歩くのがいやで、人ごみが苦手になってきました。自然のある環境を求めて、都内で何回か引っ越したのですが、やっぱり田舎出身の身からするとどこも東京なんです。便利過ぎておもしろくない、もっと自分らしく暮らしたい、夢を実現できるところに行きたいと強く思うようになりました」

地域のつながりがくれた夢実現のきっかけ

妻の薫さんとは大学のサークル仲間で、大震災のあとに結婚。夫婦それぞれの地元が移住先の候補になったが、「思い切って東京から離れた方が踏ん切りがつく」という理由から、長野県に決めた。

「実家に帰るということで、妻からの反対はありませんでした。それと、互いに東京へのこだわりはなくて、『田舎がいいなぁ』と思っていました。仕事先のあてもなかったので、まずは仕事探しから始めました。『せっかくだからこの先、絶対経験できないような仕事を』と考え、いま保育園がある須賀川地区の牧場で黒毛和牛を育てる仕事に就きました。その仕事は、ただ牛を育てるだけでなく、糞を堆肥にして農家へ届けたりしていたので、地域の人と接する機会が多くありました。

『10年ぐらいかけて、ゆっくり』と思っていたのですが、そうしているうちに、『地域で子育てに困っている人がいるから』と言われて、子育てサロンをすることになりました。『それならいっそ保育園を開こう』ということで、予定より早く開園することになったんです」

里山ようちえん おやまのうちの子どもたち

現在、自宅兼園舎として使っているのは築120年の古民家。「保育園を開きたい」という話を聞きつけた地元の人が紹介してくれた。広さ約150m²の平屋建てで、座敷2部屋分の20畳を子どもたちの保育に使っている。とはいえ、自然豊かなこの場所では、6歳長男と3歳長女を含めた10人ほどの園児が、家の中にいることはほとんどない。

虹と自然を楽しむ子どもたち

決まりごとは最小限、自然の中で遊ぶ保育

『食う!寝る!遊ぶ!』が保育の理念。「決まり事は最小限に、子どもたちが自分で考えて自然のなかで遊んで暮らせるよう見守っています。園を始めるとき、できるだけ子どもたちにとって理想の遊び場をつくってあげたいと考えていました。すると、自然豊かな環境は欠かせません。子どもは小さいころから、起伏のあるところを歩いていると、心身の成長がよいと言われています。ここには園庭のなかに起伏もありますし、融雪池といって、冬場雪を入れて溶かす池もあってそこに川が流れこんでいます。子どもたちは田んぼに入って泥だらけになって泳いだり、飼っているヤギのナナと遊んだりしています。

雪遊びや田植えを楽しむ子どもたち

毎日遊び足りているので、気持ちが落ち着いていて、好奇心も旺盛だと保護者の方も喜んでくれています。水道回りとか一部業者に頼みましたが、あとはほとんどDIYで修繕したので、少ない貯金で開園できました。家賃が月1万円なのも助かっています」

ここでの不便さや面倒くささも楽しい

もともと都会の便利さに疑問を感じて移住したこともあり、スーパーに行くのに車で15分もかかるような地方での暮らしも、まったく苦にならない。人とのつきあいも好きなので、初めての土地での人間関係で悩むこともなかった。

稲刈りを眺める園児たち

「きれいな景色を見ていると気持ちも落ち着きますし、冬場の雪かきとかは大変ですが、楽しいですよ。都会での人間関係での疲れと違って、ビールを飲んで、一晩寝るとすっきりします。いろいろ野菜とかお裾分けしてもらって、生活費も以前ほどかからないです。ただ、田舎の生活は、正直、面倒といえば面倒ですよ。住んでみないとわからないこともありますし。そういう面倒くささを楽しめる人なら、地方移住しても十分やっていけるのではないでしょうか」

(2021年10月23日取材)

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