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コロナ禍で気付いた、これまでと違う働き方

山﨑 明洋さん

PROFILE
山﨑 明洋さん

山﨑 明洋さん

静岡県出身。2020年11月に東京都から静岡県熱海市に移住。

  • 移住時の年代:30代
  • 家族構成:母、叔母
  • 移住スタイル:Uターン
  • 職業:個人事業主

コロナ禍の在宅ワークが移住を考えるきっかけ

自分が本当にやりたいことは何なのか?自分と向き合って、そのことについて考える余裕がほとんどなかったんです」。東京・日本橋にある広告代理店に勤めた7年間を振り返りながらそう話す。

会社勤めが嫌だったわけではない。ただ、仕事がたて込んでくると帰宅が深夜になることもあり、自分のしている仕事の意義をじっくりと見つめ直す機会がなかった。「このままでいいのだろうか?同じことを思っている人、私の周りにも結構いたんです。ところが日々の仕事に流されてしまって……」

大きな転機になったのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。その影響で2020年6月から仕事がリモートワークに。結果としてインターネットの環境が整っていれば、会社に行かなくても仕事ができることを実感した。

一方、月7万3000円で借りているワンルームの自宅にとどまる時間が増え、片道約30分かかっていた通勤時間もなくなり、必然的に自分自身と向き合う時間が増えた。「先のことなど考えずに、ただ自宅と職場の往復を繰り返していたことに気付かされました」。それに、いつかは長男として母親の面倒も見なくてはならない。

網代海と朝日山から見える富士山

東京の家を借りたままにして熱海市の実家に戻り、そこを拠点にテレワークを続けた。次の収入の目途が立った2020年11月末に職場を退職して、Uターンした。

家賃の支払いがなくなり、実家にお金を入れられる

月50万円ほどあった収入は30万円ほどに減ったが、仕事中心の生活だったので貯金はある。「収入がなくても1年ぐらいなら暮らせるかも」。さらに実家なので家賃はかからない。その代わり、生活費月3万円と実家の住宅ローンのために月2万円を親に渡している。「収入が月20万円だとしても十分暮らしていけると思います。それに睡眠時間も東京時代の平均5時間から7時間に増え、リラックスした生活を実践できています」

実は、Uターンしてからも前の勤め先の仕事を一部請け負っている。「現状では、それが大きな収入源」。だったら、そのまま仕事を続けていてもよさそうな気もするのだが……。ただ、そこで立ち止まって自分を見つめ直したからこそ、今のUターンにつながった。地方移住を考えているなら、経済的な裏付けをしっかりとしておくことが大切だという。「地方は生活費がかからないからと、準備なしに飛び込むのはおすすめできません」

ポールウォーキングを楽しむみんな

それでUターンして何をするのか。「広告代理店で担当していたクライアントが『地域の健康づくり』の事業化に取り組んでいて、自分でもビジネスにつなげてみたいと思いました」。具体的には、専用のポールを持つことで効果的な歩き方になる「ポールウォーキング」という運動の普及と事業化を目指している。

前職で得た仕事の他、新たな事業を模索する日々

現在は地元の社会福祉協議会などが高齢者向けに行っている体操教室や、自ら地域の高齢者に宣伝して体験会を開催し、継続的に行いたい方にポールウォーキング教室を開催している。その一方で事業化の難しさも実感しているという。月5回程度行われている教室の参加費は500円。毎回10人前後が参加する。公的な福祉施策ならそれでいい。ただ、それをビジネスとして広げていくためには、仕組みを一から考え直さなくてはならない。「ポジティブなこともネガティブなことも。すべて自分に返ってくる。それが個人事業主の面白さでもあり、難しさでもあると思っています」

事業がスムーズに進まず、落ち込むこともある。そんな時に地元に仲間たちのいることが有形無形の支えになっているという。「Uターンして、地元で受け入れてもらえるか、実は不安でした」。地元に残っていた幼稚園時代からの仲間や後輩がUターンを受け入れてくれた。現在、そんな仲間たちがいる網代地区のまちづくりにも取り組んでいる。

網代活性化プロジェクト会議中の写真

魚の干物を扱う店が軒を連ね、多くの観光客で賑わっていた子どもの時の記憶がはっきり残っている。それが今は高齢化が進み、活力が失われてしまった。「あの時の活気を取り戻したい。網代の魅力を知ってもらいたい」とUターンやIターンをしてきた6名が集まり、網代の活性化に向け定期的な話し合いをしている。

東京へ新幹線で1時間ほどで行けるため、Iターンしてきた同世代の人も多い。「外からの視点も大切にしながら、生まれ育った街を仲間たちともり立てていきたい」

(2021年10月26日取材)

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