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LIFE STYLE移住者の暮らし

文化性を高める場所づくりを通じ、福井のベースアップに役立つ

五十嵐 美雪さん

PROFILE
五十嵐 美雪さん

五十嵐 美雪さん

福井県出身。2020年7月に東京都から福井県福井市に移住。

  • 移住時の年代:30代
  • 家族構成:娘
  • 移住スタイル:Uターン
  • 職業:不動産業、飲食店経営

娘のことを最優先に考え、実家のある福井に移住

「実家の父から『家業の不動産業を手伝ってくれないか』と話があったのは、コロナ禍で自由に外で遊べなくなったことから、娘が精神的にとても不安定な状態になっていたタイミングでした」

一人娘のことを最優先に考え、これを機に、生まれ故郷の福井市に移住。「福井だと、東京より自由に外で遊べますし、家が広いので、家の中でも思う存分遊ぶことができます。大声を出しても、文句を言われることもありません。移住前とは比べ物にならないくらい居心地良さそうにしている娘を見ると、ほんと移住してよかったと思います」
娘は今も元気に保育園に通っている。

娘と楽しむ五十嵐さん

移住前は、流派を問わないお茶の先生のもとで、茶会の際に出す食事を作る仕事に携わっていた。日本文化に関心があり、それを表現する仕事をしたくて、大学で日本文学を学び、京都の和食のお店で修行した後に見つけたとてもやりがいのある仕事だった。

「私、東京が大好きなんですよ。地方と違って人間関係がとてもフラットなので。文化面でも、東京には地方にない良さがあります。家業を継ぐ話は前からあったんですが、茶懐石の仕事は東京でしかできないと思っていたので踏み切れずにいました。ところが、コロナ禍でそれができなくなったことで、東京にいる意味がなくなったんです」

茶懐石の仕事仲間達との集合写真

子どもの成長期を自然豊かなところで

一方で、もともと「子育てをするなら、地元の福井で」と思っていたそうだ。

「福井県は学力テストとか体力テストでずっと上位にランクしていて、それには確かな根拠があるんだろうと思ったのがまず一つ。それと、私が一時お世話になった東京のミシュラン一つ星レストランのシェフが、新潟の限界集落の出身で、自然の中で育つことで危機管理能力とか問題解決能力が身に付くということをおっしゃっていて、自分もその考えに同感だったんです。私も小学校の頃、片道2キロ歩いて通学した経験があり、生物として人間を考えた時に、成長期にそういった自然豊かなところで育つことはとてもいいことだと思っています」

娘と笑顔の五十嵐さん

家業のほか、料理の経験を生かし和食店も経営

現在は、71歳の父親と94歳の祖父との4人暮らし。東京では家賃25万円だったが、今は実家住まいなので、住居費についてはかなり軽減された。ただ、食材や日用品などの物価については、以前より負担を感じているそうだ。

「都会だと競争が激しいので、その分、質が良かったり、価格が安かったりしますよね。それと、料理の仕事に携わっていて、質にこだわりがあるので、近所のスーパーではなくて、週末に車で片道30分かけて、福井市内に1店だけある質の高い品が買えるお店に行って、まとめ買いしています。買い物だけでなく、地方暮らしの不便さはいくつかあります。たとえば、幼稚園や保育園の空きが少ないのもその一つ。お子さんをお持ちで、これから移住を考えている方がいらっしゃるなら、空きがあるのかどうか、なければ自分で子どもの面倒をみることができるかどうか、前もってよく見極めてほしいと思います」

和食のお店を開業し取材に答える五十嵐さん

実家が所有する土地の管理業務のかたわら、隣の鯖江市に和食のお店を開業し、週に2日、水曜と木曜にランチ営業をしている。茶懐石の流れを汲んだコース料理で、前菜から始まり、10品前後の料理の後にお抹茶で締めくくる。店の営業以外にも、注文に応じて茶懐石の出張料理も行っている。

福井の文化を高める存在に

近所に住む親戚とのつきあいを父親からどう引き継ぐかも課題だそうだが、将来の夢についてはこう話す。「"越前市最後の粋人"と称される方の別荘である古民家が売りに出されるという話があって、そこを使ってオーベルジュ(※)を始めてみたいという目の前の夢があります。ゆったりとそこで過ごしてもらい、私の料理を食べてもらうことで、多くの人に良い時間を持ってもらえればと思っています。もともと、日本文化への関心からこの世界に入ったこともあり、人間の営みについて色々考えることがあります。効率を求めて都市に機能が集中する一方で、地方は大きな可能性を秘めていると思うんです。北陸3県の中でも、福井県は文化面で遅れをとっているように感じます。食事とかお茶を絡めた文化性を高める場所づくりを通じて、福井のベースアップに役立つ存在になりたいです」

※オーベルジュ:郊外や地方にある、宿泊施設を備えたレストラン

食事とかお茶を絡めた文化性を高める場所づくり

(2021年11月10日取材)

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