自分の目で見て知る経験を求め、移住を決意
奥寺 優美子さん
奥寺 優美子さん
千葉県松戸市出身。2022年4月に東京都江戸川区から福岡県岡垣町に移住。
- 移住時の年代:40代
- 家族構成:夫、子ども1人
- 移住スタイル:Iターン
- 職業:フリーランス
自分の目で見て知ることを、伝えたい
「結婚後に過ごした東京での暮らしは便利で、世界中のモノや情報が集まり充実しているのですが、それらは他の土地から運ばれてきたものがほとんど。どう野菜が育ち、どう魚が獲れるのか、採れたての味はどうなのか、虫に刺されたらどうするのか…。情報社会の中で生きていく子どもに、自分の目で見て知ることを経験させたいなと思っていました」
奥寺さんは、これまでに産直ECサイトや飲食店のマーケティング、観光牧場の企画の仕事も手掛けてきた。一番長くいたアパレル業界の仕事では、台湾、香港などアジアでの海外生活も経験し、自分の目で見て知る経験を重ねてきた。しかし、コロナ禍で、オンラインでも仕事ができる文化が生まれ、東京にいる必要性が薄らいでいった。
「東京に居続ける必要がないなら、自然が豊かな場所に移住して、家族と一緒に、五感を使って毎日をもっと楽しむ生き方をしたいと考えました」
全部、書き出してみよう
移住先を探そうと、家族のことを考えながら日本地図を広げてみた奥寺さん。「持病がある家族のため、大きな病院が1時間圏内にあること」、「温暖な国で生まれ育った夫のため、雪が降る地域はNG」、「子どもが思いっきり走り、声をあげて笑えるような環境」、「自然豊かで五感を感じる場所」……。
「これからどう暮らしたいのかを全部書き出して、実際に足を運んで見て確かめてから決めるのが一番いい。自分の価値観などを整理しながら進めていけば、間違いがないのかなと思っています」
家族で話し合い、移住先を3地域に絞り込んだ段階で、「福岡よかとこ移住相談センター」のサイトに登録し、オンラインセミナーに参加。そこで、まったく名前も知らなかった岡垣町を知る。
おいしい天然地下水が自慢の町。「水がきれいだというのは、重要なポイントでしたね。子どもには、ハウスダスト、花粉などのアレルギーがあったので、水がきれいなのは子どもにとってもいいと思いました」
岡垣町には、6か所の水源と14本の井戸があり、町の水道水の85%はこの井戸からくみ上げた地下水でまかなわれている。
「移住後の生活を想定して丹念に下調べをし、町を実際に下見しました。平日にスーパーマーケットを回ったり、小児科の数を調べたり、道路もあえて混む時間に通ったり」。そして、最終的に移住の決め手になったのは「人」だという。
海も山もどちらもある、そして人の温かさが決め手に
「移住先に知り合いがおらず、孤独にならないか心配していましたが、町を下見している時、どこに行っても地元の人が親切に教えてくれたり、役所の方も丁寧に対応してくれたり、その不安をかき消す人の温かさをとても感じました。みんなが受け入れてくれて、知り合いがいない自分たちがこの町の1人として生きていけると実感できたこと、それが最後の決め手になりました」
岡垣町の北側はすべて海岸線で、青い海を見ながらサイクリングできる。また里山も近く、ハイキングも可能だ。家庭菜園をしたいと思えば畑が借りられるし、町の中にある果樹園で果物狩りを楽しむこともできるという。
「海も山もどちらもあり、岡垣町では、日常が自然と一緒に暮らす体験そのもののようです」
自然がそばにある暮らしを楽しむ
移住後の生活を通じ、今は、地域の成長や町の新しい取組への意欲を感じている奥寺さん。
「農家や観光事業者など、地域活性化に向けてイベントを行う方々との新しいコミュニティーの場も広がって、毎日を楽しんでいます。博多や北九州などの都市もすぐそばにありますし、海岸線の綺麗な福津エリアや、世界遺産に認定された『宗像・沖ノ島関連遺産群』などの名所を、その時の自分の気分によって楽しめるのもすごくいい。最近ではきれいな水を活かし、ワイナリーやクラフトビール醸造所、日本酒の酒蔵もできました。小さな町ですが、食の豊かさや、自然がそばにある暮らしの良さを実感しています」
(2022年12月9日取材)
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