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LIFE STYLE移住者の暮らし

“移住”は旅の途中のようで、ちょっとハイテンション

梅村 竜矢さん

PROFILE
梅村 竜矢さんの写真

梅村 竜矢さん

愛知県岡崎市出身。2018年に千葉県から岡山県和気町に移住。

  • 移住時の年代:30代
  • 家族構成:妻、子ども3人(12歳、9歳、6歳)
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:学校教諭(非常勤)、民宿運営

知らない場所へ行く冒険心

梅村さんは、大学を卒業して会社員として働いたのち、木工家具の職人に転職。2010年に妻・久美さんと結婚して以来、約8年間、家族で千葉県に住んでいたが、夫婦ともにゆくゆくは地方で暮らしたいという思いがあったそうだ。
「子どもが生まれて子育てをしていく中で、自然豊かなところでのびのび育てたいと考えるようになりました。特に2人目が生まれた頃から、地方へのアンテナを強く張り始めましたね。一方で、まったく知らない場所に行くのも人生として楽しそうだな、という単純な冒険心のようなものもあったように思います」と笑って話す梅村さん。
久美さんは、「東日本大震災が起きて、原発のことなど、いろんな情報が世の中に発信されるようになって、どこにいるのが自分たちにとってベストなのかを考えるきっかけになったような気がします。私は関東に実家があるので、自分が西日本に住むイメージはまったく湧かなかったのですが、『どうせ住む場所を変えるなら、いっそ遠くまで行ってみよう』という夫の意見には賛成でした。都会でがむしゃらに働き、余裕のない中で子育てをし続けていくことにストレスを感じていたタイミングだったので、大きな決断ではありましたが、一歩を踏み出すことを決めました」

移住は子育てのタイミングで

第一子が小学校に入学するタイミングで移住したいと考え、インターネットなどで全国の自治体を調べるなど、移住先の検討を始めたそう。最初は、自身の出身地である愛知県や首都圏から近く、自然も豊かな長野県を移住先の第一候補に挙げてはみたが、さらにリサーチを続け、心惹かれたのが岡山県の和気町など4市町。「和気町に隣接する赤磐市に住む知人から、岡山の情報をよく耳にしていたこともあり、リサーチの対象を中国・四国地方まで広げてみたんです」と当時を振り返る。実際にこれらの地域に足を運び、移住検討者向けのお試し宿泊ツアーなどを利用して、数泊滞在したという。とりわけ当時の和気町は、移住プロモーションの一環で子育てに関するアピールを熱心に行っており、町全体の雰囲気にも惹かれ、この地への移住を決断した。
梅村さんは、大学時代にバックパッカーで旅をしていた経験があり、移動に関しては苦にならないタイプ。「千葉県と岡山県ってすごく遠いイメージがあるかもしれませんが、千葉県内でも流山から館山まで木更津を通って行くと、車で3時間ほどかかるんです。新幹線に乗ってしまえば、東京から岡山も3時間半くらいで着くので、距離に抵抗を感じなかったのかもしれないですね」
夫婦で意見が分かれることはなく、「周囲にも『私たち移住するんだ』と言ってしまっていたし、長男が小学校に入るタイミングで引っ越したいというリミットがあったので、その期間の中でリサーチを進め、流れに乗っていたら和気町にたどり着いたような感じがします」と久美さん。

自宅の庭で子どもたちと食事をする梅村さん

地方での“ほど良い距離感”

梅村さんの変化を楽しむおおらかな性格は、仕事探しにも表れていて、「仕事に関しては、ほぼ何も決めずに移住してしまいましたね(笑)。大学時代に教員免許を取得していたので、移住前に講師登録だけはしていました。岡山県内で講師の需要が高まっていることは知っていましたが、必ずしもポストがあるという保証はありませんでしたし、住む場所から遠い学校からオファーが来た場合には断ろうとも思っていました。講師の仕事に就けなくても、とりあえず現地に行ってしまえば何らかの働き口はあるだろうという漠然としたスタンスでしたが、とても幸運なことに、今は和気町の中学高校の非常勤講師として働けており、地域に貢献できているのが嬉しいです」
自宅は、移住前に空き家バンクで目星をつけ、実際に足を運んで購入を決めたという築100年以上の古民家だ。「水回りの施工をお願いした地元の建築会社は、私たちが自分たちでリフォームする際に道具を貸してくれたり、材料が余っているから使っていいよって言ってくださったり。今でもみんなが親身になってサポートしてくれています」
和気町では、そこに住む人たちがほど良い距離感でお互いのことを気にかけているそうだ。それは、子どもたちの環境も同じで、「都会は家がたくさんあるので、近所の方が単身者なのかファミリーなのかわからないというケースも多いと思いますが、この地域はみんな知り合いのような感覚ですね。年齢も関係なく、エリアの小学生と中学生はすごく仲がいいし、こういう関係っていいなって思って見ています」と久美さんも安心の様子。

子ども食堂での餅つきの様子

地域の人たちの楽しみや喜びの場に

移住してから1年半ほど経った頃、梅村さんは自宅の母屋の1室を使って、1日1組限定の宿を開業し、「いつか宿泊業をやってみたい」というかねてからの夢を叶えた。
さらに、築70年の朽ちた納屋を地元の高校生と一緒にセルフリノベーションし、宿の規模を拡大。これは、納屋の土を再生して再利用する「土壁塗り」の工程を高校生に学んでもらうため、独自の地域探究カリキュラムとして行ったものだ。このカリキュラムは今でも続いており、「高校生たちも非常に面白がって取り組んでくれています」と梅村さんは語る。
2022年には、夏休みに子ども食堂をオープンした。高校生とコラボしてつくった限定ランチを提供するなどして、今では多くの人が集まる場になっており、地元にどんどん溶け込んでいる。
「子ども食堂も計画性があってやったものではないのですが、地域のためにできることを少しずつ増やしていけたらいいなと思って取り組んでいます。結果として、地域の人たちや子どもたちの楽しみや喜びにつながったら嬉しいですね」

宿の写真と、「土壁塗り」の工程を学ぶ高校生たちの写真

(2024年3月4日取材)

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