当サイトを使用することにより、クッキーの設定および使用に同意したことになります。 詳細については、プライバシーポリシーを参照してください。
内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生
LIFE STYLE移住者の暮らし

子供の時から抱いていた夢を地方で実現

佐久間 夢実さん

PROFILE
佐久間 夢実さんの写真

佐久間 夢実さん

東京都出身。2020年4月に東京都から和歌山県串本町に移住。

  • 移住時の年代:20代
  • 家族構成:単身
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:水族館飼育員

地方生活も一人暮らしも全く初めての経験

紀伊半島の最南端―
2020年4月、実家のある東京都から和歌山県串本町へ移り住んだ。串本海中公園センター水族館に飼育員として就職が決まったからだ。

初めての一人暮らし。もちろん、地方生活も初めてである。

そこで単刀直入に聞いてみた。生活に便利な首都圏で生まれ育った人にとって、自然に恵まれているとはいえ、知り合いも少ない地方での生活に不安はなかったのか?

串本海中公園センター水族館の水槽

「それが全く不安じゃなかったんです。まあ、なんとかなるだろうって」と佐久間さんはにこやかに笑いながら答えてくれた。「これまで、同居していた親に何かと頼りがちだったので、自立して一人暮らしをしてみたいという気持ちもあったんです」

小学生の時、家族旅行でグアムに行き、海の青さと海中の生き物の色鮮やかさに心を奪われた。その時以来、「魚と触れあうことのできる仕事をしたい」と思い続け、高校入学の時には水族館に勤めようと決めていたという。周囲の同級生のほとんどが大学に進学する中、佐久間さんは自らの夢を実現するため、東京都江戸川区にある動物海洋専門学校に迷わず進んだ。

串本の水族館に魅了された

その専門学校で2年生の時に研修で訪れたのが串本海中公園センター水族館。目の前には太平洋が広がる。海域はテーブルサンゴの大群落で知られ、黒潮の影響から熱帯性の色とりどりの海中生物にも恵まれている。

都会の水族館では水槽に人工海水をつぎ足すケースが多いが、海に近い串本の水族館では自然の海水をそのまま引き込んでいた。約500種の多様な魚種を扱い、飼育されている魚にとっても適した環境づくりに努めているこの水族館で働けたらと思った。研修中、サンゴの一斉産卵やウミガメの産卵にも偶然立ち会うことができ、その思いはさらに強くなったという。

水槽の中で仕事中の佐久間さん

専門学校卒業後、東京のサンシャイン水族館に就職し、様々な経験を積みながら、串本の水族館で募集が出るのを待った。そして19年に募集が出た。

両親は地方での一人暮らしを心配したが、佐久間さんは迷わず転職を決めた。20年4月に入社、5月いっぱいまでは新型コロナウイルスの感染拡大で水族館は休館したが、生き物たちの世話はいつもと変わらなく進んだ。飼育員は館長を含めて5人。「開館中にできない設備の補修や清掃などを行ったので、むしろ忙しかったほど」と佐久間さん。20年9月中旬には台風が通過して、施設の保守点検に気をもんだりもしたという。しかし、佐久間さんの表情は生き生きとしていた。

通勤のストレスが減り、自分のための時間が増えた

東京都から串本へ。その生活は変わったのだろうか? まず、通勤時間が大きく変わった。東京時代、通勤通学には電車を乗り継いで1時間以上かかっていたが、それが現在は「自転車で15分ほど」。その分、自分のためだけに使える時間が増えた。

3LDKの「一人暮らしには広すぎる」と佐久間さんが話す社宅に住み、家賃は月5000円だ。

仕事中の佐久間さん

ただ、自宅近くに「お店がない」。最寄りのスーパーまで自動車なら約15分。自転車なら約30分はかかる。「気軽に家の近くのコンビニへ、というわけにはいきませんが、逆に休日の買い物がいい意味で気分転換になっています」

家族や親しい友人とも距離的に離れてしまったが、その寂しさをITが埋めてくれるという。パソコンやスマホを使ってテレビ電話で気軽に話せるようになったからだ。「買い物だってネットがあれば、どこにいても基本的に何でも手に入りますから」

水槽の中で仕事中の佐久間さん

これからも串本で暮らし続けるつもりだ。「経験を積み、研究を重ねて海の生物について専門を持ちたい」と目標を話してくれた。

佐久間さんは地方という新しいステージで夢に向かって走り出したばかり。その可能性は果てしなく広がっている。

(2020年10月28日取材)

地図から探す!日本全国移住関連情報リンク集移住のてびき

この記事をシェアする

LIFE STYLE移住者の暮らし