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LIFE STYLE移住者の暮らし

自分のふるさとが「大好きだ」という誇りを

今田 智子さん

PROFILE
今田 智子さんの写真

今田 智子さん

鳥取県南部町出身。2020年7月東京都から鳥取県南部町に移住。

  • 移住時の年代:30代
  • 家族構成:独身
  • 移住スタイル:Uターン
  • 職業:フリーランス

海外駐在がきっかけで、故郷のことを知りたい気持ちが急上昇

世界中を訪れ、アメリカとイギリスでは駐在も経験した今田さんが新たな挑戦の場所として選んだのは、故郷の鳥取県南部町。「海外で暮らしたことで、生まれ育った日本そして南部町を深く知りたいという気持ちがより一層強くなりました。海外の方々は自分の故郷にとても愛着を持っていて、彼らはその良さをいつも自慢げに話していたからです。それまで自分の国や故郷が大好きだという感覚を持ったことがなかったので衝撃でした」

鳥取県南部町の田んぼ

アメリカでAIの活用が進む未来に思いをめぐらせ

大学卒業後、総合電機メーカーに就職。イギリスで約1年半、アメリカで約3年間、駐在を経験した今田さん。故郷に帰ることにしたのは、アメリカのサンノゼでの経験が大きく影響しているという。
「サンノゼでは、AI(人工知能)に関わる研究開発チームのメンバーと、20年後、30年後の世界について語り合い、新たなビジネスが生まれる時の大きなエネルギーを体感することができました。しかし、AIによって生活が便利になっていくと、生身の人間が持つ能力、すなわち五感を使う機会が少なくなることへの危機感も覚えました。また、便利さと幸福感とは、必ずしも比例するわけではないと思うようになりました」と今田さん。

2019年4月、駐在勤務を終えて東京に戻ると、仕事の合間に、さまざまな地域コミュニティに参加するようになった。出勤前に農作業を手伝うこともあり、土を触って季節の風のにおいを感じていると五感が呼び覚まされ、南部町の景色が目に浮かんだという。「みんなで梅干しをつくることになり、梅をどこで購入するかという話になった時に、はっとしました。実家を含め、地元ではいたるところに梅の木があるので、私自身梅を買うという概念がなくて。それまで、田舎には何もなくて、都会にすべてあると思っていましたが、もしかして違うのかもと思い直しました」

地元に戻ることに、葛藤がなかったわけではない。「進学、就職と、多くの人が歩むレールに乗って生きていました。これまで働いてきた会社を退職したら、そのレールを降りて何もない状態になってしまうという不安がありましたが、“今の自分”の興味に従いたいという気持ちが高まっていました」と当時を振り返った。

地元が新鮮!面白い人やモノとの出会い

移住に向けて準備を進める中で、地域おこし協力隊の存在を知った。活動内容に魅力を感じたことに加え、活動期間である3年の間に自分が進みたい道を決めることができると考え応募したところ採用が決まり、2020年7月、南部町に戻り活動を始めた。
「子どもの頃過ごした場所にもかかわらず、地元が新鮮に思えました。町内をまわっていると、毎回、面白い人やモノとの出会いがあり、旅をしている感覚にもなりました」。元気に年齢を重ねている高齢者と出会う機会が多く、「80代のおばあさんが朝から刈払機を担ぎ、精力的に草刈りをされている姿に元気をもらいます」と今田さん。「なんでもやってみ隊」と称し、自身が農作業や地域に伝わる手仕事を体験しながら、その様子をSNSで発信していった。

農作業中の今田さん

子どもたちに世界と南部町の魅力を伝える

町の魅力を発信する活動と並行し、南部町の子どもたちに世界の魅力を伝える取組にも注力した。町内の小・中学校などで、自身が撮影した世界約50か国の風景写真の展示や授業を行った。「当時はコロナ禍で海外渡航が難しかったため、子どもたちに海外への興味を失ってほしくないとの思いがありました。鳥取出身のイモトアヤコさんの存在が私の刺激になっていたように、南部町出身の私が行った国であれば、身近に思ってもらえるのではないかなと思いました」
また、海外に似た風景を南部町内で探してもらう企画「世界の風景に似ちょる南部町」も手がけた。水田に夕日が映り込むと、まるで南米のウユニ塩湖の鏡ばりのように思えたことがきっかけだ。地域の人から集めた約50点の風景と、似ている世界の風景とを見比べることができるようにして、1冊の本にまとめた。「みなさんの多様な視点のおかげで、南部町の“ボツワナのカバ”、“トルコの熱気球”などたくさんの風景が集まりました。世界に目を向けることで南部町の新たな魅力を発見し、発信することができました」

「イマタの世界あちこち展」の展示

南部町、鳥取県、山陰エリアの暮らしを世界に発信したい

「生まれ育った場所というのは、自分自身のアイデンティティ。ここに生まれた縁というか運命があると思っています。故郷を知ることは、自分自身を知ることに通ずると思います」。地域おこし協力隊の活動期間を終えた現在、南部町を起点に、鳥取県さらには山陰エリアの魅力を世界に発信したいと考えているという。「この地域には、五感や自然を大切にしながら生きる『人間力』の高い人が多いんです。『こんな暮らしもいいよね』という形で山陰エリアの魅力を伝えたいなと思っています」。今田さんは、唯一無二の故郷の風景と暮らしとともに新たな活動を見据えている。

南米のウユニ塩湖のような鳥取県南部町の田んぼ

(2024年2月5日取材)

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