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LIFE STYLE移住者の暮らし

大自然と自由な時間の中で、自分にしかつくれない果物を

郷原 遼太郎さん

PROFILE
郷原 遼太郎さんの写真

郷原 遼太郎さん

東京都出身。2019年5月東京都内から群馬県中之条町に移住。

  • 移住時の年代:30代
  • 家族構成:独身
  • 移住スタイル:Iターン
  • 職業:農家

オーストラリアでの農業経験が移住を考えるきっかけに

「まさか自分が東京を離れて農業をするとは、思ってもいませんでした」と笑顔を見せるのは、群馬県中之条町で暮らす郷原さんだ。2019年5月、東京都内から中之条町に移住し農業を始め、今はリンゴ農家として生計を立てている。
郷原さんは、会社員として社会人のスタートを切ったが、「早朝から夜遅くまで仕事をするのが当たり前の職場環境で、常に仕事をしていなければいけないような会社の雰囲気が自分には合わなかった」という。働く環境を変えようと、29歳の時、勤務先の会社を退職して、ワーキング・ホリデー制度を利用してオーストラリアに1年半ほど滞在した。
オーストラリアでは、滞在先を移しながら、ワイン用のブドウ、イチゴ、ブルーベリー、ズッキーニ、リンゴなどの果物や野菜づくりに関わった。朝から作業を始めて、早い時は午前中、遅い時でも夕方までに終わる。仕事の後は、のんびりする時間を持つことができ、「自分の時間が持てる生活が、自分には合っている。とてもいいなと感じました。そして、日本に戻ったら地方に移住して農業を始めよう、と考えるようになりました」。

ワーキング・ホリデー中の郷原さん

地元農家でリンゴづくりの研修を受ける

31歳の時にオーストラリアから帰国し、移住へ向けた準備資金を貯めるため、自動車関連企業で2年間働いた。その間、自治体などが開催している移住フェアに参加するなどして、移住候補地を探して回り、東京の実家に帰りやすい群馬県の4つの自治体に絞った。実際に現地を訪ねて移住後の生活をイメージし、畑が借りやすく農業を始める環境が整っていた中之条町を選んだ。初めて暮らす土地で農業を始めることについて、「オーストラリアでしっかり農業を学んできたので不安はなかったです」という。
33歳で移住し、町内のリンゴ農家で1年半にわたって研修を受け、徹底的にリンゴづくりについて学んだ。新規就農者を資金面で支援する制度も利用した。現在、リンゴ農家として独り立ちして、ふじをはじめ、ぐんま名月、シナノスイート、秋映などの品種をつくっている。
「今は生食用のリンゴを作っていますが、今後は加工用として使える品種にも手を広げ、町内の飲食店に向けて販売できたらと思っています。それから、農薬や肥料を使わずにリンゴ本来の甘さを味わえるリンゴもつくって、それらを自前の直売所で販売できたら一番いいですね」と目標を掲げている。

リンゴの様子を見る郷原さん

自然と隣り合わせの日々 気候変動がより身近な課題に

農作業はすべて1人で行っている。冬の朝は比較的ゆっくりでき、午前7~8時頃に起きて、午前9時から夕方まで作業を行う。春になってリンゴの花が咲くと、摘花作業が始まるため、日の出とともに作業を始めることもあるという。「冬の作業のメインは剪定作業です。自分の畑の木は植えてからまだ3年ほどで、剪定すべき木の本数が多くないため、今は少しゆっくりできていますが、あと数年経って木が大きくなってくると仕事量も増えてくると思っています」。独り立ちしてから今年で3回目の収穫。栽培面積を広げ、収穫量も増えている。
「ただ、年々、気候変動の影響を受けやすくなっていると感じます。春先は霜対策、夏場は高温対策が必須です。東京にいた頃は、こんなにも自然を身近に感じることはありませんでしたが、今は死活問題。気候変動への対策を地域の皆さんと一緒に考えるようになりました。これは移住によって大きく意識が変わったことの1つです」
リンゴは、暑い時期が長く続くと糖度が上がらないそうだ。このまま気温上昇が進むと、自分が目指すリンゴづくりが難しくなるかもしれないと考え、気候に左右されないブドウの苗を植えるなど新たな一歩を踏み出した。

郷原さんの畑

移住して4年余り 地域の農家の人々との交流も楽しむ

中之条町に移住して4年余りが経った現在、地元の農家の人々と畑で話す機会も多いという。「特に60代、70代、80代の方々は、農業をはじめ、地域のいろいろなことを知っています。リンゴを栽培する過程で病気が発生した時の対応や、剪定時にどの枝を切るべきかなど、些細なことまで教えてもらって助かっています」と交流を楽しんでいる様子。また、高齢の農業従事者からは、自分の畑を引き継いでほしいと声をかけられたり、たびたび野菜を分けてもらったりするという。「野菜も果物も、同じ品種、同じものでもつくる人によって味が違うんです。これは、ここに来て初めて知ったことです」と郷原さん。

「生活はとにかく自由です。決めた期日までに必要な作業が終わっていればいいので、1日のスケジュールを自由に組み立て、自分のペースで働けるのがいいですね。畑から見える山の景色も気に入っています。秋は紅葉で山が赤く染まり、冬になると葉が落ちて遠くの山に雪が積もっているのが見えます。新緑の季節の景色も美しい。この景色が大好きで、このままずっと中之条町で暮らしながら、自分だからこそつくれる果物をつくり続けたいと思っています」

木になる美味しそうなリンゴ

(2024年2月16日取材)

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